帝国データバンクの評点の見方や目安は？他信用会社との比較も解説

信用調査会社の報告書を受け取ったものの「評点の見方がよくわからない」と悩んでいる方もいるでしょう。

信用調査会社による評点は、会社によって点数の付け方が異なります。評点の付け方や評点から読み取れる危険度などを知ることで、与信管理に必要な情報についてより深く報告書を読み解けます。評点の見方に対する理解を深めることは与信業務に不可欠なのです。

今回は信用調査会社の最大手である帝国データバンクの評点の見方や基準を解説します。 与信業務の精度を高めていきたい方はぜひご覧ください。

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帝国データバンクの評点を適正に見るための前提知識

まずは、帝国データバンクの評点を見るために必要な前提知識を身につけていきましょう。以下3点をおさえれば、評点からさまざまな情報を読み取れるようになります。

帝国データバンクの評点が高い信用度を誇る理由

帝国データバンク株式会社は日本の信用調査の約60%のシェアをもつ、全国区対応の信用調査会社です。最大手なので多くの企業で与信調査のために利用され、各企業の与信管理の担当者が目にします。

銀行の融資などの判断にも用いられるため、帝国データバンクの評点は企業の信用力として重視されています。

格付け・評点・倒産予測値の違い

企業のコンプライアンスチェック・信用調査では「格付け」「評点」「倒産予測値」という3つの単語への理解が必須です。それぞれの関係性を簡潔に表すと「格付け＝評点＋倒産予測値」です。

実際にはそのほかの要因も絡んできますが、ここで挙げた3つの単語の関係性だけを考えるならこの式の理解で十分でしょう。それぞれの単語の詳しい意味は以下の通りです。

• 格付け：企業の信用調査の結果のこと。評点や倒産予測値などを総合的に判断して決められる。
• 評点：格付けを決めるための評価項目における点数のこと。
• 倒産予測値：数年以内に倒産する確率を示した数値。信用調査会社によって呼び名が異なる。

倒産予測値は、％表記の予測確率のほかに、確率を10段階に区分した予測値グレードを併用して表示し、G1～G10までの数字が大きくなるほどリスクが増大する評価となります。

この倒産予測値は倒産するリスクのみを表す指標であり、経営力などの細かな評価は表示されません。しかし、リスクが高いと判断された企業は速やかに取引を停止する判断が必要なラインにあるため、素早い対応が必要な与信管理には非常に有効な判断指針となり得ます。 東京商工リサーチのリスクスコアと併せることでより正確な倒産リスクを算出できます。

また、よくあるのが格付けと評点を混同することです。格付けは評点よりも意味が広く、評点は格付けを決めるひとつの材料に過ぎません。区別した上で調査結果を見るようにしましょう。

分布と基準

帝国データバンクの評点の分布と基準について知っておけば、実際に評点を見たときに高いのか低いのかの判断ができるようになります。

帝国データバンクの評点は100点満点ですが、学力テストの点数のように考えるとデータを見誤ってしまいます。同じ100点満点でも分布と基準が違うからです。

帝国データバンクの評点で最も多いのが40点台です。つまり、40点台であれば平均的な水準（平均点）と言えます。

一方で、取引をするにあたって「比較的安全」と判断できる基準は51点以上です。51点以上であれば平均よりも点数が高く、より安定的な経営をしている企業といえるからです。

ちなみに30点台は35点以下が最低ランクであり、36点以上がそのひとつ上のランクに当たります。平均点より下の結果となりますので、取引をするかどうかは倒産予測値などのそのほかの要因も検討しながら慎重に判断しましょう。

帝国データバンクの評点

帝国データバンクの評点は、企業の健全な経済活動や支払い能力などを独自基準で数値化しています。

多くの企業が帝国データバンクの信用調査を受け入れていますが、一部の企業は調査取材を受けないため、その場合評点が予測値になることもあります。また、金融機関や保険会社、保健所や外国公館、公的機関も評価対象外となります。

帝国データバンクの評点についてより理解を深めるために、以下2点についても確認してきましょう。

帝国データバンクの評点についての考え方

帝国データバンクの評点は100点満点で評価を行います。業績・業歴などの「定量評価」と経営者や企業活力などの「定性評価」の合計7項目に加え、十分に反映されない要素があると判断された場合、加点・減点の項目で評点を調整します。

帝国データバンクの7項目の評価項目の内容と配点については以下のとおりです。

このうち、業歴・資本構成・規模・損益・資金現況が定量評価、経営者・企業活力が定性評価です。 帝国データバンクは定性評価に比較的重点を置いた判断を行うため、この2項目については配点比重がやや高くなっています。

総合点については以下のようにランク付けされます。

• 86～100点がA評価
• 66～85点がB評価
• 51～65点がC評価
• 36～50点がD評価
• 35点以下がE評価

資金力や規模・業歴などの面から、比較的社歴の浅いベンチャー企業や多くの零細企業はボリュームゾーンである40点台に分類されD評価となる傾向があります。

評点項目から読み取れる情報

評点が同じであっても、信用力がまったく同等とは言い切れません。どの評点項目が大きく評価されているのか、今後は上昇していく流れにあるのか下降していく流れになるのかに注目する必要があります。

• 業歴
  • 企業の継続性を評価します。
  • 長期的に経営が続いていれば、業界や地域で信頼を得ていると考えられます。
• 資本構成
  • 財務状況の安定性の評価です。
  • 高いほど健全な財務状況と言えます。
• 規模
  • 年間の売上高や従業員数など経営規模が評価されます。
  • 点数が高いほど規模が大きく安定した企業と言えます。
• 損益
  • 決算報告書などを参考に会社の損益のバランスを評価します。
• 資金状況
  • 業況や収益・支払い・回収状況・資金調達余力などを評価します。
  • 高いほど資金力があります。
• 経営者
  • 経営者個人の資産状況や経営経験・人物像・専門分野などを評価します。
  • 経営判断力の高さを表します。
• 企業活力
  • 人材や取引先の多様さ・生産力・販売力・将来的な成長力を評価します。
  • 高いほど成長力と将来性があります。

たとえば業歴が浅く定量評価では平均以下であっても、新しい製品を打ち出し積極的にクラウドファウンディングなどで資金調達を行っているような、資金状況や経営者評価・企業活力が高いベンチャー企業は、評点ではDであっても今後高い成長力を秘めている可能性があります。

逆に業歴が長く、定量評価が平均的であっても、経営者の交代や経営方針の変更などがあり、定性評価が下方修正された企業は、経営陣に問題がある可能性を示唆しているため、今後の評価に対して注意深く動向を見守る必要があります。

実際に帝国データバンクの評点を見る方法

帝国データバンクが調査した企業の評点を見るためには、サービスの利用が必要です。以下3つのサービスのいずれかを利用すると評点を見られるようになります。

• 信用調査報告書
  • 既存データ1社あたり：15,000〜24,000円
  • 新規調査依頼1社あたり：上記料金に出張費・不動産登記閲覧料金・速度料金が加算される
• 企業概要データCOSMOS2
  • 料金は要問い合わせ
• 企業定点観測サービス SAFETY
  • 既存データ1社あたり：30,000〜48,000円

すでに調査された企業であればサービスに加入して料金を支払うだけで閲覧可能になります。まだデータがない企業については、調査を行うため閲覧までには時間がかかります。また、料金もアップするので注意してください。

評点を見たい企業がすでに調査を受けているのかどうかについては、帝国データバンク公式サイトの「TDB企業サーチ」にて確認できます。

ちなみに『Roborobo与信調査代行』なら、与信調査代行1件あたり1,600円〜利用可能です。さらにコンプライアンスチェックも1件100円で同時に行えます。

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信用調査会社7社の評点

ここまで帝国データバンクの評点を紹介しました。しかし、帝国データバンク株式会社のほかにも信用調査会社があり、それぞれ評点の求め方が異なります。

評点の違いを理解することで、より帝国データバンクの評点の特徴が見えるのと同時に、目的にあった信用調査会社を選びやすくなります。この記事では、以下7つの信用会社の評点について触れていくので、評点への理解を深めたり信用調査会社選びの手間を省いたりするのに活用してみてください。

東京商工リサーチの評点

国内第2位のシェアをもつ東京商工リサーチの評点は定量データの評価に強いと言われています。

100点満点で評価され、12の調査項目を4つに分類した評価で判断されます。 評点は報告書のほか、インターネット企業情報サービスや企業データファイルなどで閲覧可能です。

東京商工リサーチの報告書である「TSR REPORT」はグラフィカルで見やすいことに定評があるほか、企業の経営状態を診断するベンチマークツールによるローカルベンチマークの報告も付属し、定量データによる企業判断資料として重用されています。

①東京商工リサーチの評点についての考え方

東京商工リサーチの評点は、以下の12の調査項目を4つに分類した評価分類で判断されます。

定量データに分類される成長性や安定性に評点の点数比重が高くなっていることがわかる通り、東京商工リサーチの評点評価は定量データの分析に強みがあります。

また、報告書に7世代前まで評点を残すことにより、評点の評価の推移がわかりやすく、企業の体質変化を視覚的に捉えられるのが大きな魅力です。

総合点については以下の通りです。多くの中小零細企業は一応警戒から多少注意に分類されています。

②評点項目から読み取れる情報

東京商工リサーチの評点項目に対する考え方と読み取れる情報は以下の内容です。

• 経営者能力
  • 経営者の資産担保余力・経営姿勢・事業経験などの定性データを評価した点数です。
  • 高いほど経営者としての資質が高いと判断できます。
• 成長性
  • 売上の伸長・利益確保の状況・取扱い商品の市場性など、企業の成長性を評価します。
  • 高いほど市場が安定し、今後も利益が伸びると考えられます。
• 安定性
  • 業歴の長さ・財務内容や企業体力・取引先（仕入先・販売先）・金融機関などのステークホルダーとの関係・決済状況などを判断します。
  • 高いほど企業は安定した経済力があると判断できます。
• 公開性・総合世評
  • 企業の情報公開や総合的な世評、その他点数の加減調整です。
  • 高いほど情報公開に積極的であり、社会的な評価が高いと言えます。

同じ評価値であっても、安定性が低いと判断されても経営者能力や成長性が高い企業は今後の成長に期待できます。一方で7世代分の情報を参照し、安定性が高くても成長性が徐々に低下している、経営者能力が落ちているなどのマイナス評価がある場合は、今後の経営動向に注意が必要です。

③リスクスコア（倒産確率）とは？

リスクスコア（倒産確率）は、東京商工リサーチの独自の算出方法によって1年以内の倒産確率を評価した100点満点の倒産リスクです。

スコアが99～100の企業の1年以内の倒産確率が0.02%であるのに対し、スコアが1と判断された企業は19.84%高い確率で倒産します。

リスクスコアは東京商工リサーチが収集した過去の倒産企業の統計分析データを元に、倒産と関連部会データ項目をベースにして算出モデル式を構築した独自評価です。 帝国データバンクの倒産予測値とあわせて考えることで、より正確な倒産リスクを算出できます。

信用交換所の評点

繊維業界に強く業界特化した信用調査が可能な企業です。

評点は100点満点で行われ、A～Eの評価で分類されます。点数に対する評価の分類は以下の通りで、信用交換所における評価のボリュームゾーンはDa～Dbです。

企業サイト上で倒産情報についてデータ公開を行っているため、こちらもあわせて閲覧すると業界の動向をより明確に判断できます。

繊維業界の動向を追いたい場合や、繊維業界の企業のコンプライアンスチェックを行いたい場合におすすめの信用調査会社です。

東京経済の評点

九州地方に強い地盤をもつ信用調査会社である東京経済は、定性データを特に重視した評点評価を行っています。100点満点で、50点未満はD1、D2、D3で表示します。50点に近い方からD1、D2、D3となります。

企業の調査報告に代表者の詳細な人物調査レポートを添付し、評価しているのが特徴です。 代表者の氏名・生年月日・現住所・経歴・関係事業及公職・所有不動産・出身畑・就任経緯・人物像・趣味・家族・後継者・健康状態などの定性データを重視しており、評点評価の重点も人物像に重きをおいています。

九州地方の企業を調べたい場合や代表者の人物像について詳しく知りたい場合に、参考になる評点であると言えるでしょう。

金融工学研究所の評点

金融工学研究所の評点はC1からC10の10段階で表示され、数字が大きくなるほどリスクが高いことを示しています。また、独自の統計から1年・2年・3年間に該当企業が倒産する確率を予測して表示します。

評価はチャート式のグラフで行われ、下記の項目について評価されます。

• 財務：規模・収益性・成長性・健全性・流動性
• 非財務：資本関係・取引関係・定性情報
• 事業環境：地域・業種・規模

AGSの評点

AGSの評点はAGS金融機関の融資審査ノウハウをベースに行われています。

9段階で評価し、数字が大きいほどリスクが高いことを示しています。 財務情報＋企業情報による総合的な判定を行うAモデルと企業情報で判断するBモデルで判定が異なるのが特徴です。

Aモデルの場合はA1～A9、Bモデルの場合はB1～B9と表示されます。 評点と同時に予測倒産率を算出しており、A7・B7以下の企業は倒産確率が1.0%～7.0%の要注意先と判断されます。

リスクモンスターの評点

リスクモンスターが行っている評点では、企業をA〜Fの6段階で分類しています。Cが平均値で、D以下は支払い能力に懸念があり倒産リスクが2%を超えると判断されます。

リスクモンスターの評点は倒産判別に特化しており、与信管理業務の目的に則したシンプルな指標となっています。

クレディセイフの評点

海外資本であるクレディセイフの評点は、100点満点で5段階のA～Eランクに分類されます。

29点以下のD評価、20点以下のE評価は取引リスクが高いと判断されます。 判断基準は倒産確率をベースとしており、統計評価から算出した倒産確率を評点の基準としています。

そのため、30～50点が分布するC評価がボリュームゾーンとしてなだらかな分布となっています。

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帝国データバンクの評点に関するFAQ

最後に記事の内容を質問形式でまとめておきます。気になる箇所やもう一度確認しておきたい箇所があればチェックしてみてください。

帝国データバンクの評点はどうして信用度が高いの？

帝国データバンク株式会社は、信用調査会社の中でもトップの規模を誇っているからです。銀行も帝国データバンクの評点をもとにして、企業に融資するかを判断しています。

評点を決める項目が幅広く、総合的な評価が得られるのも魅力でしょう。

信用度の高い帝国データバンクの評点ですが、実際に活用するには費用がかさみます。まとめて何十社ほどか依頼すると割引が受けられるサービスもありますが、調査対象が少ない場合や調査自体を始めてする場合には敷居が高く感じるかもしれません。

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帝国データバンクの評点の基準・分布は？

帝国データバンクの評点の基準と分布は以下の通りです。

• 基準：51点以上なら比較的安全と判断される
• 分布：40点台が最も多い

ちなみに評点の最低ラインは30点台で、35点以下が最低ランクのE評価となります。

海外企業の格付けはどこの格付けを見れば良い？

海外企業の格付けは、世界規模での企業情報を取り扱う信用調査会社のデータを参照する必要があります。

日本国内でデータを入手するなら、基本的に海外規模で情報を共有している企業（帝国データバンク・東京商工リサーチ・クレディセイフ）の格付けを見みましょう。

また中国や東南アジアなど、目まぐるしく経済状況が変化する地域の格付けについては、当地の調査を専門としている信用調査会社を別途探し、依頼する必要があります。評点を見たい企業の属性に応じて使い分けていきましょう。

まとめ

企業の格付けの見方について、各社さまざまな評価軸をもっていることが理解できたでしょうか。

評点の評価軸が異なるため、調査会社によっては多少の評点に違いが出ることも珍しくはありません。 膨大なデータからはじき出された格付けや倒産リスクですが、これらはあくまでも企業を評価する情報の一つとして考え、過信しすぎてはいけません。

大切なのは、評点の中にある情報を細かく読み解き、倒産リスクと併せて今後の取引を迅速に判断していくことです。 反社チェックや信用調査の他の情報などを加味して、多角的な目線から判断を行うことが大切です。

また『RoboRobo信用調査代行』のようなインターネット情報（ニュースサイト、SNS、ブログなど）からリスクのアラートを提供するサービスとも連携し、多くの情報を総合的に判断して、リスクヘッジを行う必要があります。

格付け・評点・附帯(ふたい)するさまざまな情報を読み取り、どのような長所短所をもち合わせた企業であるのかを理解した上で判断し、同時にリスクを知らせるアラートツールを活用することで、万一のときにも素早く対応するのが、高度情報化社会における企業の与信管理です。

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