コンプライアンス意識の高まりから、企業の反社チェックの重要性が知られ、反社チェックツールを導入する企業が増えています。
取引や雇用の契約書でも、暴力団排除条項(暴排条項)は一般的になりました。
しかし、反社チェックツールや企業調査のデータベースでは、会社情報が主体のものが多く、個人の調査はどうやったらいいのか迷うこともあるでしょう。
この記事では、個人事業主やフリーランスとの取引において重要な、個人の反社チェックを効率化する、クラウドツールを使う方法や注意点について解説します。
個人が構成員となる注意すべき組織形態や、反社チェックと個人情報保護との関係、特に2022年改正法についても解説します。
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目次
個人を対象に反社チェックする必要性
個人事業主のほか、フリーランスや副業など、近年、多様な働き方が増えています。
特にプログラミングなどのデジタル分野や、クリエイターなどのフリーランスとの取引は、ますます増える傾向になるでしょう。
個人事業者が増えれば、取引先に多様な個人が増えるため、反社が紛れ込む機会が増えているともいえます。
企業暴排指針での個人の位置づけ
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(平成19年犯罪対策閣僚会議)では、反社勢力に含まれる個人について、下記のように注記しています。
暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である「反社会的勢力」をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である。
出典:法務省 企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針
暴排条例での個人の位置づけ
都道府県暴排条例でも、反社勢力に含まれる個人について規定しており、企業が契約書に盛り込む反社条項でも、同様の規定を置くようになっています。
たとえば東京都暴排条例では、規制対象者にさまざまな類型の個人を含めています。
東京都暴排条例の解説では、条例に規定する「暴力団員と密接な関係を有する者」について、次のように説明しています。
「暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者」とは、
例えば、
- 暴力団又は暴力団員が実質的に経営を支配する法人等に所属する者
- 暴力団員を雇用している者
- 暴力団又は暴力団員を不当に利用していると認められる者
- 暴力団の維持、運営に協力し、又は関与していると認められる者
- 暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有していると認められる者
引用:警視庁 東京都暴力団排除条例 Q&A
暴力団員以外の反社会的勢力、反社会的行為を行う個人事業者や従業員の事例も相次ぎ、個人を対象とした反社チェックは、企業にとって必須です。
特に、個人事業者は登記の必要もなく、会社情報のようにデータベースも充実していないため、調査が難しいケースもあるでしょう。
「バイトテロ」「バカッター」という言葉も生まれた相次ぐSNS炎上事例
本来は反社ではないはずの、普通の従業員やアルバイトが、ネットや実店舗で反社会的行為をしたニュースも後を絶ちません。
TwitterなどのSNSに投稿され、瞬く間に拡散、炎上することから、「バイトテロ」「バカッター」という言葉も生まれました。
たとえば2013年8月、ステーキ・ハンバーグチェーン店で働くアルバイト従業員が、厨房の大型冷蔵庫に入り、笑っている写真をSNSに投稿。
瞬く間に拡散され、ネット上では店舗や従業員が特定。
店舗運営会社には、食品衛生やモラルに問題のある行為に対する苦情が殺到しました。
結果として従業員は解雇されましたが、似たような事案が今日に至るまで繰り返されています。
テレワーク、リモートオフィス勤務等により、目が行き届きにくくなっていることも、個人チェックが必要な背景です。
RoboRoboコンプライアンスチェックツールなら、個人事業主や従業員の一括登録・検索で、SNSもリアルタイムで検索します。
氏名、屋号などの自由なキーワードも使って、個人チェックが可能。
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個人に対する反社チェックの目的は?
取引先の個人事業者や、会社の役員・責任ある立場の従業者が、重大なコンプライアンス違反や、反社会的行為に関われば、たちどころに会社の信用問題となります。
たとえ発端は、個人による小さな違反行為であっても、社会的責任、組織の信用に関わるコンプライアンス事案となれば、業績にも影響します。
ときには取引の安全や、金融機関からの融資にも重大な影響を及ぼすでしょう。
株主などステークホルダーへの対応も必要となり、株式市場への上場は困難となります。
上場企業であれば、上場契約に違反したことを理由として、最悪の場合には上場維持できるかどうかという話になるかもしれません。
従業員や役員など関係者の反社チェックは、企業内部に反社が紛れ込むというリスクを排除し、組織防衛をするために必要な対策です。
個人事業者・フリーランスとの取引でも、契約に暴排条項が必要
個人の反社チェックを行い、反社排除をするには、政府の指針や暴排条例に準拠した、取引や雇用の契約書、社内規定、役員規定などを整備しておくことが必要です。
個人事業者やフリーランスとの取引でも、反社条項に該当すれば無条件で契約解除できる規定が必要です。
反社チェックツールで個人事業主・フリーランスを調査するには?
契約書に暴排条項を入れただけでは不十分。
暴排条項を遵守し、その証明をするために、反社チェックの導入が不可欠です。
反社チェックは、取引先や従業員のすべてを調査し、しかも定期的に継続して行うべきものです。
自動化ツールでスクリーニング調査を行い、コストと手間を削減すれば、追加での調査が必要な個人に対する重点的な調査も可能です。
RoboRoboコンプライアンスチェックツールなら、取引先や従業員の個人の名簿ファイルなどの一括登録・検索で、AI自動判定によるスクリーニング調査ができます。
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個人の調査で反社チェックツールを選ぶための注意点
ここでは、個人事業主・フリーランスのほか、従業員や役員などの関係者個人をチェックする注意点について解説します。
検索対象となるデータの情報源は?
個人事業のデータベースは、企業情報に比べて情報ソースが少ないといえます。
企業情報では、商業登記された経営者、取締役などの情報はあります。
ただし、一般の従業員や個人事業者のデータは十分ではありません。
データの蓄積期間についても、データベースごとに確認しておくことが必要です。
消費税のインボイス制度の導入に伴い、個人事業者の適格請求書発行事業者は、一覧で公開されています。
しかし、反社勢力の個人事業者が、適格請求書を発行し、情報を公開し、消費税の納税を適法に行うかは疑問です。
インターネット、SNSではリアルタイム検索できるツールがおすすめ
インターネットの記事や書き込み、SNS投稿には、リアルタイムの記事検索が有効。
反社チェックツールがSNS検索にも対応しているか、確認が必要です。
独自データベースに収録したツールでは、データの蓄積期間にタイムラグがあることも。
あらかじめ取捨選択されたデータだけが収録されている場合もあり、注意が必要です。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、リアルタイム検索が可能!
検索結果もすぐに取得するツールの無料お試しは、簡単な登録だけで始められます。
個人調査で、ツールにあったら便利なおすすめ機能
個人チェックの場合には、取引先・社員名簿など、個人名や屋号の一覧ファイルで検索対象を指定できると便利です。
検索条件の入力も、ネガティブワードの推奨ワードのほか、自由なキーワードが入力でき、会社名や屋号での調査のほか、個人名での検索ができるツールがよいでしょう。
個人名や屋号で検索をしても、架空の屋号やハンドルネームなど、個人の特定が難しいケースさえあります。
反社チェックを効率的に行うには、スクリーニング調査を自動化することが効果的。
反社が疑われる場合には、ツールでのスクリーニング調査に加え、手作業での調査を必要することもあります。
スクリーニングの結果、追加調査が必要かどうかの判定機能があるとよいでしょう。
クラウドで反社アラートも! RoboRoboコンプライアンスチェック
誰が担当してもチェック業務ができ、操作がしやすい機能があることが、長期にわたり定期的に継続する秘訣です。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、調査したい取引先や個人をExcelにまとめ、ドラッグ&ドロップすれば、一括して対象者の登録ができます。
取引先名簿、従業員名簿などを使い、定期的にチェックをするのが効率的。
新規取引先や従業員の登録もスムーズです。
検索結果にヒットした記事は、独自アルゴリズムのAIが判定することで、3段階の反社アラート機能がリスクを知らせてくれます。
注目度が高い記事を優先的に確認し、重点チェックが必要な対象者について、一定の基準により抽出し、追加調査や外部への調査依頼をすることが可能です。
検索結果データは、コメントとともにフォルダに分けて保管すれば、いざという時の証拠として残せます。
個人の反社チェックができる、おすすめ調査方法
反社チェックに利用できる多くのデータベースでは、会社名などのほか、個人名での検索、調査ができます。
ただし、個人を調査対象とした場合、会社情報に比べデータが充実していないため、調査方法にも注意すべき点があります。
企業情報などのデータベース検索
企業情報や、信用情報のほか、民間のデータベース事業者では各種の独自データベースが提供されています。
経営者などの個人情報や、商業登記情報、業界情報、なかには行政処分情報、警察情報などの専門データを収録しているものもあります。
データベース検索ツールや、検索代行サービスなどを使えば、各情報ソースから、個人名や屋号での検索での個人チェックが可能です。
新聞記事の自動検索ツール
全国紙、地方紙、業界専門誌、雑誌などの検索ツールは、定期的にチェックすべき情報の代表。
信頼できる情報ソースを反復継続して検索し、個人事業者や、従業員などの個人チェックをすることができます。
WEB、SNSを自動検索できるクラウドツール
インターネットやSNSには、日々、膨大な情報が書き込まれます。
更新もされることから、リアルタイムでの検索をできるツールを導入したいもの。
個人事業者のチェックには、個人名や屋号での検索などができますが、注意点もあります。
個人名、屋号のほか、SNSのアカウント名、携帯電話番号、過去の勤務先など、さまざまなキーワードを考えて行いましょう。
掲示板やSNSでは、個人調査のほか、自社の企業名などで検索し、風評の書き込みを特定することも大切です。
WEBやSNS検索に対応するチェックツールなら、自社の従業員による反社会的書き込みや、他人による風評書き込みを発見できます。
難しい個人調査には、クラウドツールのほかに調査依頼サービスも
自動検索ツールでのスクリーニング調査の結果、反社アラートなどで抽出された要注意の検索結果について、オプションでの調査業務代行や、専門調査会社への依頼を検討しましょう。
個人調査の場合には特に、インターネットやデータベース検索だけでは、個人の特定が難しく、手作業の調査を必要とするケースがあります。
個人名が本名やフルネームで書かれているとは限らず、同姓同名が存在することもあるためです。
屋号は登記の必要もありません。
複数の屋号を使い分け、変更できることも、調査を難しくする一因です。
反社アラート機能があれば、重点チェックも簡単!
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、調査対象者の検索結果を、独自のアルゴリズム(特許出願済)で3段階の「注目度」により判定できるのが強みです。
無料トライアルもできるため、反社アラートなどの機能は、実際に体感してみるのがおすすめ。
確認すべき対象者を自動で絞り込んで、反社の疑いある対象者には補足調査にかけることが可能です。
取引先の個人に反社の疑いが強い場合の対処方法
個人事業者の取引先に、反社の疑いが強い場合には、契約条項に基づく契約解除などの対応を検討します。
コンプライアンス担当者のみで判断するのは避けましょう。
警察や暴追センターへの相談や、弁護士への依頼なども、あらかじめ対応マニュアルとして整備しておきましょう。
実際に取引停止をする場合には、理由を明示するかどうかなどの対応や、余計なトラブルを起こさない注意も必要です。
従業員個人に反社の疑いが強い場合の対処方法
従業員、役員などに反社の疑いがある場合には、社内規定や、雇用契約に基づく対応を検討します。
事案に応じ、警察、暴追センターや、弁護士への相談も、あらかじめ対応マニュアルとして整備しておきましょう。
退職してもらう場合にも、対応には注意して慎重に進めます。
個人の反社チェックツールを使用する時期は?
ツールを使った個人チェックは、すべての取引先、従業員について行うものです。
定期的に行うため、効率的に実行できるツールの機能が役に立つでしょう。
個人事業主に対する反社チェックを行うタイミング
個人事業主に対する反社チェックはどのタイミングで実施するのがいいのでしょうか。
新規取引の商談、契約時のチェック
新規取引先の開拓では、営業、商談、契約の段階で、反社チェックを行います。
個人事業者やフリーランスとの新規取引の際には、反社条項を含む契約書、反社会的勢力でないことを誓約する覚書を交わすことが重要です。
免許証、パスポート、保険証、マイナンバーカードや取引金融機関の口座なども、本人確認のため、必要な範囲で提示してもらいましょう。
個人事業主や常駐フリーランスの契約更新時のチェック
契約更新時も、個人チェックの機会です。
本人確認書類なども、必要に応じ提示してもらいましょう。
既存取引での担当者の定期的チェック
個人事業者でも従業員がいるケースや、取引の担当者が変わることもあります。
反社チェック結果はわかりやすく保管し、継続して定期的に調査することが大切です。
個人事業主チェックの留意点
個人事業者のチェックでは、屋号の変更や、複数の屋号を使い分けている場合、個人事業者が別会社も所有するなどの関与に注意します。
個人事業やその屋号は、法人とは異なり登記が不要です。
検索する場合には、個人名、屋号のほか、過去の勤務先など、さまざまなキーワードを考えて行いましょう。
ただし同姓同名である可能性にも注意が必要です。
従業員個人に対する反社チェックを行うタイミング
従業員個人に対する反社チェックはいつ行うのがいいのでしょうか。
従業員、役員採用の際の個人チェック
従業員の採用や、役員など関係者の就任にあたっては、人材を絞り込む段階での反社チェックが必要。
雇用契約、委任契約などでの反社条項を含む契約書、反社会的勢力でないことを誓約する覚書を交わすことが重要です。
免許証、パスポート、保険証、マイナンバーカードや取引金融機関の口座なども、本人確認のために提示してもらいましょう。
採用後の定期的チェック
人材採用後の定期的チェックも必要です。
従業員名簿などにより、一括してチェックができるツールを利用すれば効率的です。
M&A、事業譲受、事業再編の際の相手方のチェック
別会社を買収したり、対等合併や吸収合併などの企業再編をする場合には、相手方の会社、組織のほか、その代表者や役員、従業員などの関係者について、反社チェックをすることが重要。
別会社の一部事業の譲り受けや、合弁会社設立の場合にも、従業員や担当役員が移籍してくるケースがあり、同様にチェックをする必要があります。
M&A相手の取引先、株主、その他の関係者についても、調査が必要。
弁護士や監査法人などとも相談しながら、慎重な作業が求められます。
上場準備のための関係者チェック
株式市場への上場を目指す場合には、上場申請の数年前から、経営者や役員、従業員、取引先のほか、上場申請チームや株主のチェックをすることになるでしょう。
上場申請時、さらに上場後も、反社会的勢力の排除に向けた次の対応が求められます。
- 企業行動規範への規定等
- コーポレート・ガバナンスに関する報告書における開示
- 確認書の提出
「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」は、上場申請日における役員、役員に準ずる者、重要な子会社の役員のほか、上場申請日における上位株主や、直前事業年度の連結ベースで上位の仕入先・販売先が提出しなければなりません。
特に、投資事業組合などの構成員などは、注意が必要で、上場審査においても調べられるポイントです。
特に注意すべき組織の構成員である個人は?
特に注意すべき組織の構成員について解説します。
登記が必要な組合・協同組合・NPO法人
投資ファンドなどに利用される、有限責任事業組合、投資事業有限責任組合や、事業協同組合、2022年に制度化された労働者協同組合。
いずれも、個人が構成員となることのできる組合です。
それぞれの法律によって設立がされ、登記が必要です。
登記には、代表者や役員などの個人名のほか、有限責任事業組合、投資事業有限責任組合では構成員も登記されます。
しかし、事業協同組合、労働者協同組合のほか、NPO法人などは、役員以外の構成員までは登記されません。
別途、定款などの調査をしなければわかりません。
登記の必要がない組合
民法上の任意組合、商法上の匿名組合については、設立にあたり、登記の必要がありません。
いずれも契約によって設立され、個人のほか、法人も構成員となることができます。
投資ファンドなどに利用されることが多いものの、調査が難しい組織形態で、注意が必要といえます。
休眠会社が取引に使われることも
登記された法人であっても、役員などの変更登記がされていなければ、実態はわからないといえます。
事実上、廃業や倒産状態にあるものの、登記がそのまま閉鎖されずに残っている休眠会社も、節税や脱税、その他の目的で利用されるケースがあるでしょう。
変更登記がされていないこと、事業内容や役員の顔ぶれが実態は入れ替わっていることなど、専門の手作業調査によって明らかにすべき要注意ケースです。
ツールで個人情報を取り扱う場合の法令の注意点
個人事業者や従業員について、反社チェックを行う場合に、個人情報保護法との関係はどうなのか、疑問に思う担当者もいるかもしれません。
企業の従業員名簿などは、個人情報保護法に従い管理されているでしょう。
ここでは、反社チェックとの関係や、最新の法改正について解説します。
反社情報データベースと個人情報保護
反社チェックに利用される反社データベースに登録された個人情報は、個人情報保護法の適用対象外とされています。
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の解説では、次のように説明があります。
下記の取り扱いは、あくまでも反社勢力のデータベースについてのものです。
反社とは判定されていない個人事業者やフリーランス、従業員などの個人情報には、個人情報保護法が適用されます。
勘違いしないように注意し、内部管理体制を整備しましょう。
取得段階 | 事業者が、上記目的に利用するため反社会的勢力の個人情報を直接取得すること、又は事業者がデータベース化した反社会的勢力の個人情報を、上記目的に利用するため、他の事業者、暴力追放運動推進センター等から取得すること |
法18条4項1号(本人又は第三者の生命、 身体又は財産その他の権利利益を害するおそれがある場合)及び2号(事業者の正当 な権利又は利益を害するおそれがある場合)に該当し、本人に利用目的を通知または公表する必要はない。 | |
利用段階 | 事業者が、他の目的により取得した反社会的勢力の個人情報を上記目的に利用すること |
法16条3項2号(人の生命、身体又は財産の保護の ために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき)に該当し、本人の同意がなくとも目的外利用を行うことができる。 | |
提供段階 | 事業者が、データベース化した反社会的勢力の個人情報を、上記目的のため、他の事業者、暴力追放運動推進センター等の第三者に提供すること |
法23条1項2号(人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき)に該当し、本人の同意がなくとも第三者提供を行うことができる。 | |
保有段階 | 事業者が、保有する反社会的勢力の個人情報について、一定の事項の公表等を行うことや、当該本人から開示(不存在である旨を知らせることを含む。)を求められること |
当該個人情報については、法24条に定める義務の対象とならず、当該個人情報取扱事業者の氏名又は名称、その利用目的、開示等の手続等について、公表等をする必要はない。 |
引用:法務省 企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説
(法務省)より引用のうえ表作成
2022年改正・個人情報保護法ではここが変わった
2022年4月に施行された改正後の個人情報保護法では、6か月以内に消去される短期保有データも、保有個人データに含まれ、保護の対象とされました。
個人情報の不正取得や、目的外利用のほか、次の場合にも、個人情報の利用停止や消去を請求できるようになりました(個人情報保護法第35条第5項)。
- 個人情報取扱事業者が、保有個人データを利用する必要がなくなったとき
- 保有個人データの漏えい等が生じたとき
- その他、保有個人データの取扱いにより、本人の権利又は正当な利益が害されるおそれがあるとき
引用:個人情報保護委員会 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)
2022年改正・公益通報者保護法ではコンプライアンス体制の強化も
2022年6月に施行された改正後の公益通報者保護法では、内部通報に適切に対応するために必要な体制の整備が、事業者に義務づけられました(公益通報者保護法第11条)。
ただし、従業員が300人以下の中小企業では、努力義務にとどまります。
さらに改正によって、内部調査に従事する者の情報の守秘義務が定められました(公益通報者保護法12条)。
「法令に基づく場合」、「調査等に必要である範囲の従事者間で情報共有する場合」などの、守秘義務の例外があります。
法律で保護される公益通報の範囲が、刑事罰の対象となる犯罪行為に加え、行政罰である過料の対象となる行為が追加されました。(出典:消費者庁 公益通報者保護制度 > 事業者の方へ)
コンプライアンスと個人情報保護を含む内部管理体制が必要
公益通報者保護法の対象となる、刑事罰にあたる犯罪行為や、行政罰にあたる違反行為は、企業のコンプライアンス事案でもあります。
通報される対象者は同時に、個人の反社チェック対象ともなるものです。
内部通報に適切に対応できる体制整備が義務づけられ、事業者は、反社チェック、内部通報を含むコンプライアンス体制を整備しなければなりません。
反社チェックでの個人情報保護への対応
個人情報保護法の改正では、保有個人データが漏えいした場合、個人情報保護委員会への報告と、本人への報告が義務づけられました。
個人の反社チェック検索結果は、適切な部署の担当者によって、厳重に管理されなければなりません。
「調査等に必要である範囲の従事者間で情報共有する場合」などに限定して、収集した個人情報を管理することが必要です。
個人情報保護の例外
なお、仮名加工情報である個人データにすれば、漏えい等の報告義務や、開示請求、利用停止等請求などは適用されません。
反社と判定された場合のデータについても、個人情報保護の例外となります。
ただし弁護士や警察などに相談し、対応を検討するべき事案です。
反社チェックツールでの個人情報の管理
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、ファイル出力により検索結果を社内で共有でき、取引先や授業員ごとに、フォルダ管理で業務を効率化できます。
誰が担当してもわかる便利なツールですが、担当業務の範囲を決めて、個人情報を共有するメンバーを限定して運用することも大切です。
API連携では、顧客管理や従業員管理システムなどの社内システムとの連携が可能です。
反社判定の3段階アラートを使い、重点チェックすべき対象者のデータについては社内で共有する方法など、社内の運用体制を整備するのがよいでしょう。
まとめ
個人事業主やフリーランス、従業員などの個人について、反社チェックをする必要性や、ツールを使い効率的に、コスト負担も少なく運用する方法を解説しました。
個人事業主、従業員、役員のそれぞれについて、継続して個人チェックを行うには、インターネットやSNS、新聞記事も含め、自動化ツールで効率的にチェックすることが望ましく、手間やコストが軽減できます。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、調査対象者の一括登録や、フォルダ管理やAPI連携でさまざまな機能を用意しています。
削減したコストや人員は、手間のかかる個人調査や、内部管理体制の整備に振り向けることも可能です。
個々の従業員に対しては、反社勢力の関与を排除する必要性や、個人情報保護などの研修も行い、コンプライアンスに万全な社内体制を目指しましょう。