反社でないことの誓約書は、定型的なモデル書式も出回り一般的にはなりましたが、文面が形式的なため法的な実効力があるのか、不安に思っていませんか?
誓約書単体では、反社の関係がないことを確認するだけのものかもしれません。
しかし誓約書は、取引や雇用の契約書に盛り込んだ暴排条項とセットで、いざという時に法的効果を発揮します!
取引先や従業員からもらう誓約書は、自分が反社会的勢力ではなく、関係がないことを確約する書面です。
将来にわたり、反社会的行為をしないことに対する誓約も盛り込むのがよいでしょう。
必要な条項が入っていて、署名・捺印を適正にもらえれば、タイトルは「確約書」「確認書」「覚書」などでも問題ありません。
この記事では、誓約書、確約書の法律的意味や、モデル書式と応用例、署名・捺印の方法、条項の意味や注意点を解説します。
この記事を読んでいただければ、もう迷わずに、自社に必要な誓約書を準備して、継続的な反社チェックや保管を効率的に実行できるでしょう。
また、記事内では、効率的に精度の高い反社チェックができるチェックツールもご紹介します。ぜひご参考に!
目次
1 反社でないことの誓約書とは?
誓約書は、取引や入社にあたり、次のことを表明し、確約する書面です。
- 反社会的勢力ではないこと
- 自分は反社への関与がないこと
- 反社会的行為をしないこと
従業員の入社、役員就任などの際に提出してもらい、企業が反社会的勢力に侵食されないために必要です。
取引先などの関係者にも誓約してもらい、取引相手や企業内部から反社を遮断する意義があります。
暴力団対策法(暴対法)
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)は、1992年(平成4年)に施行され、2012年(平成12年)に施行された改正暴対法では、取締りや罰則が強化されました。
暴対法は、暴力団またはその構成員による暴力的要求行為を禁止し、被害者を援助するものです。
国や地方公共団体の責務が規定され、企業に対して資料の提供、助言など必要な援助を行うとされました。
一方で、暴力団員に不当な利益供与をしないなど、事業者の責務が規定されています。
ただし努力義務で、暴対法に罰則はありませんが、条例では罰則が設けられました。
暴力団排除条例(暴排条例)
2007年に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(出典:法務省)が犯罪対策閣僚会議により公表され、各都道府県や市町村で、暴排条例が施行されました。
暴排条例では、暴力団またはその構成員から対象を広げ、反社会的勢力を規制し、企業に対しても、暴力的不法行為や利益供与の禁止などを義務づけています。
違反すると、企業に対しても勧告、公表、命令などの罰則があります(東京都暴排条例第24条など)。
誓約書が必要とされる背景
誓約書が必要とされる背景として、国の指針にあるように、反社会的行為は近年、暴力団と構成員だけではなく、多様な組織形態の反社勢力により、巧妙に経済活動にも紛れ込む活動実態があります。
企業活動を装うなど巧妙に、金融取引、不動産取引ほかの経済活動を通じ、企業にも接近するため、企業が反社会的勢力と一切の関係を遮断することが求められています。
取引先が反社関係企業と知らずに事業を行ったり、従業員に対して不当な要求をしたりすれば企業の信用が傷つき、重大な損害を被るなどのリスクがあります。
反社が従業員や株主などの関係者に入り込めば、企業が内部から侵食されるおそれもあります。
そこで、反社でないことの確約を得る誓約書が、重要なリスク管理となりました。
2 反社でないことを確約するための誓約書の意義
誓約書は、法令上も企業のコンプライアンスの観点からも、重要な意義があります。
反社チェックは企業の責任
暴対法、暴排条例では、企業が反社勢力を排除し、利益供与などを禁じる社会的責任が規定されています。
反社に協力するなど、法令を守らない場合には罰則があり、取引先や従業員、関係者に反社がいないかどうかチェックすることは、企業の責務です。
大企業や上場企業では、法務部や、コンプライアンス部のような専任部署を設置して、反社チェックに対応しています。
中小やベンチャー企業では、反社チェックにまで手が回らないとお考えでしょうか?
しかし罰則があるだけでなく、反社との関係が表ざたになれば企業の信用が損なわれ、最悪の場合には存続の危機となってもおかしくありません。
ベンチャー企業、スタートアップの株式上場への道も閉ざしてしまうでしょう。
反社チェックは、ツールを導入し自動化すれば、中小・ベンチャー企業でも安価に導入できます。
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暴排条例
暴排条例について、みてみましょう。
①反社でないことの確約義務
反社でないことの確約義務は、各都道府県などの暴排条例に規定されています。
東京都暴排条例では、事業者の責務として、契約時に確認することが義務づけられました。
「事業者は、その行う事業に係る契約が暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認める場合には、当該事業に係る契約の相手方、代理又は媒介をする者その他の関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めるものとする。」
引用:「東京都暴排条例」第18条第1項
ただし努力義務のため、罰則がありません。
また、すべての契約で、反社でないことの誓約書が義務化されているわけではありません。
契約によって、暴力団の活動を助長するおそれや、暴力団の運営に資する疑いがある場合に限ります。
条文上、反社ではなく、暴力団に限定されています。
暴排条例は国の指針を受けて規定されているため、他の都道府県でも同様の規定となっています。
企業としては、反社の区別がつきにくくなっているため、できる限り広く解釈し、すべての取引先や従業員などに誓約をもらうことが必要です。
②反社条項(暴排条項)の規定義務
反社条項(暴排条項)の規定も、暴排条例で企業に義務づけられています。
努力義務ですが、暴力団と構成員に限定されません。
東京都暴排条例では、事業者の責務として、契約相手が暴力団関係者であるとわかったら、催告なしに契約を解除できる反社条項を規定するよう求めています。
「事業者は、その行う事業に係る契約を書面により締結する場合には、次に掲げる内容の特約を契約書その他の書面に定めるよう努めるものとする。
一 当該事業に係る契約の相手方又は代理若しくは媒介をする者が暴力団関係者であることが判明した場合には、当該事業者は催告することなく当該事業に係る契約を解除することができること。(以下、略)」
引用:「東京都暴排条例」第18条第2項
暴力団関係者とは、暴力団員と密接な関係を有する者を含みます。
企業としては、より広く解釈し、さまざまな属性や、反社会的行為を含む反社条項を設けた契約をする必要があります。
誓約書で規定すべき反社会的勢力
反社の類型が多様化し、人の外見や組織の形態から見分けるのが難しくなっているため、企業が誓約書で規定する反社は、できる限り広く含む必要があります。
反社でないことの誓約書は、暴力追放運動推進センター(暴追センター)により、モデル書式が公開されています。
なお暴追センターは、暴対法に基づき全国と、各都道府県に設置された相談機関です。
東京都暴追センターの書式では、「表明・確約書」となっていますが、誓約書と意味は同じです。(出典:東京都暴力追放運動推進センター 暴力団対応ガイド総合版)
モデル書式では、反社を次のような類型に分けて定義しています。
- 暴力団
- 暴力団員
- 暴力団員でなくなった時から5年を経過していない者
- 暴力団準構成員
- 暴力団関係企業
- 総会屋等、社会運動・政治活動等標ぼうゴロ
- 特殊知能暴力集団
- その他前各号に準ずる者
各業界の規制法に応じた規定をすることも
暴対法のほか、反社を規制する基本法としては、組織犯罪対策法、犯罪収益移転禁止法があります。
業界を規制し、許認可などを定める業法(公共の福祉のために特定の業種の営業の自由を制限する内容の法律)では、許可、認可、免許などの欠格事由や、違反行為に対する罰則規定があります。
金融業、不動産業、建設業、飲食業、廃棄物処理業ほか、さまざまな業界の業法があり、自社に関連する法令は把握しておきましょう。
こうした法律の多くには、反社勢力の排除規定があり、それ以外の違反行為も含めて、罰則があります。
3 誓約書に必要な反社条項は?
誓約書は、暴排条例に準拠して、取引先用、従業員用、役員用などを企業で準備しておく必要があります。
誓約書に記入をしてもらえば、反社会的勢力ではないことを確認できます。
誓約書への記入をしてもらうやりとり自体も、反社チェックの機会となり、なるべく直接本人の目の前で、あるいは少なくとも自筆で記入してもらうのがおすすめです。
誓約書の必要な反社条項としては、次の内容が必要です。
反社でないことの確約条項
- 自分は反社会的勢力でないこと
- 自分は反社会的勢力との関係がないこと
反社でないことの確約は、誓約する相手の属性要件です。
反社行為をしないことの確約条項
- 反社会的勢力に類する行為をしないこと
- 下請けや関連事業者に暴力団等反社会的勢力を用いないこと
反社行為をしないことの確約は、誓約する相手の行為要件です。
実際の誓約書では、反社のさまざまな類型や、反社行為の具体例を列挙しておくのがよいでしょう。
誓約に違反した場合の催告なしでの解除条項
誓約書に違反した場合には、催告なしに契約解除できるという条項は、取引や雇用の契約書、委任・準委任の契約書に規定しておくのが一般的です。
誓約書に解除条項がなくても有効ですが、念のために入れておけば、実際に契約解除が必要となったときに、言い逃れることはさらに難しくなるでしょう。
解除により損害を与えた場合の賠償責任を、契約書とは別に規定しておくこともできます。
東京都暴追センターのモデル書式では、これらを6条で規定しています。
コンプライアンス違反をしないことの確約も
従業員の入社時などに、秘密保持やハラスメント、名誉棄損などのコンプライアンス違反行為について、誓約を求める企業もあります。
反社誓約書に入れることもできますが、入社時の誓約書など、別の誓約書で規定することもできます。
人事部、総務部、弁護士、社会保険労務士などとも相談し、調整のうえ、どの書式で何を規定するかを決めましょう。
公的機関や業界の誓約書の応用例・文面サンプル
公的機関が求める誓約書には、その組織特有の文面を入れた応用例があります。
企業が求める誓約書でも、業界特有の条項が必要な場合もあるでしょう。
暴追センターのモデル書式など、定型的なひな形が出回っていますが、書式にはない条項が必要かどうかのチェックが必要です。
①公的機関の応用例
たとえば省庁では、次のような条項を誓約書に入れるケースがあります。
- その省庁から指名停止の措置を受けている期間中でないこと。
- 入札時までの過去5年間に職業安定法又は労働者派遣事業法の規定等に違反していないこと
- 入札時までの過去3年間に、その省庁所管の法令違反があり、事業の遂行に支障を来すと判断される者でないこと。
- 再委託先についても上記と同様であること
②企業の応用例
企業でも同様に、自社の属する業界での処分歴や、過去の法令違反についての誓約を求めることは有益です。
③団体の応用例
商工会議所や青年会議所のような団体に加盟する際に交わした誓約が、虚偽だと判明した場合に、加入の拒絶、会員の除名を受けても異議を申し立てない条項を入れるケースがあります。
取引などの契約解除ではなく、加入拒絶、除名という条項が必要なケースです。
いずれもモデル書式そのままでは対応できないために、加えられた条項です。
誓約書は、モデル書式を参考に、必要に応じカスタマイズする
反社でないことの誓約書も、反社条項(暴排条項)のある契約書も、モデル書式をそのまま流用するのではなく、弁護士などに相談しチェックすることが大切です。
一度、書式を用意すれば何度も使えます。
ただし反社に関する法律や制度、業界の関連法令などが改正された場合には、誓約書に変更は必要かどうか、チェックすることも大切です。
誓約書の準備と同時に、反社チェック体制も整備しましょう。
誓約書が正しいかどうか、契約に違反することになっていないかは、実際に継続してチェックしてみないと、証明できません。
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4 【書式サンプル】反社でないことの誓約書
東京都暴追センターの「表明・確約書」モデル書式を例に、反社でないことの誓約書を見ていきましょう。
誓約書・具体的な書式例
誓約書の書式例です。
出典・引用:東京都暴力追放運動推進センター 暴力団対応ガイド総合版
誓約書の条項・文面の説明
誓約書の条項・文面について詳しく見てみましょう。
①タイトル
書面のタイトルは、表明・確約書でも、誓約書でも問題ありません。
書面の各条項がどのように規定されているかが、実質的な内容となるからです。
②誓約者
個人の場合には、住所、氏名のほか、同姓同名を考慮して生年月日や年齢の記入欄を設けましょう。
③反社でないことの確約条項
誓約者自身が、現在だけでなく、将来にわたり反社に該当しないことを確約する条項です。
将来にわたり確約することにより、反社でないという約束が民法の「債務」となり、債務不履行を理由とする契約書の解除を可能にするものです。
契約書では、債務不履行でなくても、反社であると判明すれば解除できる条項を設けるため、「現在または将来にわたって」は、念のために規定した条項です。
反社会的勢力には、前述した「暴力団」、「暴力団員」、「暴力団員でなくなった時から5年を経過していない者」、「暴力団準構成員」、「暴力団関係企業」、「総会屋等、社会運動・政治活動等標ぼうゴロ」、「特殊知能暴力集団」を列挙します。
「その他前各号に準ずる者」で、さらに広く解釈できる余地を残しています。
④反社との関係がないことの確約条項
誓約者が、現在だけでなく、将来にわたり次の反社との関係をもたないことを確約する条項です。
反社会的勢力との関係として、さまざまな類型を列挙します。
- 反社会的勢力によって、その経営を支配される関係
- 反社会的勢力が、その経営に実質的に関与している関係
- 自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図り、又は第三者に損害を加えるなど、反社会的勢力を利用している関係
- 反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関係
- その他役員等又は経営に実質的に関与している者が、反社会的勢力との社会的に非難されるべき関係
引用:東京都暴力追放運動推進センター 暴力団対応ガイド総合版
⑤反社行為を行わないことの確約条項
誓約者が、反社行為を行わないことを確約する条項です。
- 暴力的な要求行為
- 法的な責任を超えた不当な要求行為
- 取引に関して脅迫的な言動をし、または暴力を用いる行為
- 風説を流布し、偽計又は威力を用いて貴社の信用を毀損し、又は貴社の業務を妨害する行為
- その他前各号に準ずる行為
引用:東京都暴力追放運動推進センター 暴力団対応ガイド総合版
⑥下請け・再委託先条項
東京都暴力追放運動推進センターのモデル書式では、下請け・再委託先との関係についても4条で規定しています。
これは東京都暴排条例の、第18条第2項にある規定に対応したものです。
- 下請けまたは再委託業者が反社でなく、反社と関係を持たず、反社行為をしないこと。
- 下請けまたは再委託業者がこれに違反したときは、契約解除や必要な措置ができること。
5条ではさらに、下請け・再委託先が、反社会的勢力から不当要求や業務妨害等の不当介入を受けた場合に、これを拒否し報告すること、捜査機関への通報に協力することを規定しています。
⑦誓約に違反した場合の催告なしでの解除条項
6条は、誓約者が違反した場合、または誓約書が虚偽の申告であると判明した場合の規定です。
- 催告なしで取引きが停止、解約されても一切異議を申し立てないこと
- 賠償ないし補償を求めないこと
- 損害が生じた場合には誓約者の責任とすること
この条項は、取引などの契約書にも反社条項(暴排条項)として規定しておくべきです。
海外事業での誓約書に書式やテンプレートはある?
海外企業が相手の場合には、誓約書を単に英訳しただけでは不十分な可能性があります。
日本法人が日本法に準拠して国内で事業を行う場合ならまだしも、相手国の反社会的勢力の実態や、現地法令に準拠した誓約、管轄裁判所などの問題があります。
海外事業での契約にあたっては、誓約書、契約書のいずれも、渉外弁護士や外国法事務弁護士、現地国の弁護士などに相談しましょう。
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5 誓約書の書式の注意点
契約は口頭でも書面でも成立し、どのような書式やファイル形式であっても誓約書の真正性は保たれます。
パソコンで、Word、Excel、PDF、その他のファイル形式で作成しても、いずれも有効です。
紙でも電子ファイルでも問題ないものの、電子署名を用いた場合を除けば、署名、捺印のある原本が必ず存在することになります。
書類や、電子データの保管・バックアップ方法には注意しましょう。
社内での文書管理方法をマニュアル化しておき、取引先情報、従業員情報の管理や、ファイル保管のルールに従い管理する必要があります。
6 誓約書の署名・捺印の注意点
誓約書に署名をしたり、捺印をしたりする際の注意点をご紹介します。
①署名と記名
署名、パソコン印字などの記名いずれも有効ですが、記名には捺印が必須。
自筆の署名の方が証明力が高く、いざというときの証拠として署名に捺印の方法をおすすめします。
②捺印とサイン
サインも有効ですが、日本では捺印が一般的。
必ずしも実印である必要はないものの、証拠能力は高まるため、重要な契約では実印がよいでしょう。
サインが一般的な国の誓約者であれば、署名で問題ありません。
誓約書への署名では、署名押印だけでなく、記載内容を理解して同意した意思表示をチェックさせるなど、相手の行為により記録に残すことが大切です。
東京都暴追センターのモデル書式では、条項ごとに「(いたします・いたしません)」の確認を求める方法を採用しています。
③電子署名
電子署名も法的には有効です。
ただし自筆での確認とは異なる方式となるため、指定項目への入力やチェックなど、確認を求める方法を工夫しましょう。
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7 誓約書はいつ誰からもらう?
誓約書は、取引先や従業員、役員、その他の関係者全員に提出してもらうことが必要です。
取引先・関係者
取引先、提携先であれば会社だけでなく、個人事業者やフリーランスを含め必要です。
①取引契約前
契約前の商談などの段階から、反社チェックが必要で、契約までに誓約書をもらいましょう。
商談などの際に自筆署名するのがベストです。
②事業提携時
M&Aや合弁会社の設立時、フリーのコンサルタントなどとの提携時など、さまざまな提携にあたり誓約書をもらいましょう。
③取引開始後の定期チェック
誓約書は定期的に更新するのが理想。
契約更新時などに誓約してもらい、反社チェックは定期的にすることが必要です。
④取引先・関係先名簿、ファイルの保管
RoboRoboコンプライアンスチェックなら、取引先・関係先名簿と、反社チェック結果とを関係づけてフォルダ保管できます。
社員・非正規従業員
社員のほか、非正規従業員や、委任・準委任契約のフリーランスであっても必要です。
①入社時
入社前の選考段階から反社チェックが必要で、入社までに誓約書をもらいましょう。
面談などの際に自筆署名するのがベストです。
②定期チェック
誓約書は定期的に更新するのが理想、従業員の反社チェックも定期的にすることが必要です。
③従業員・役員・関係者名簿、ファイルの保管
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役員・関係者
監査役、社外取締役のほか、顧問・コンサルタント・株式上場チームなどの関係者も誓約書が必要です。
請負契約や雇用契約ではないコンサルタントなどの委任、準委任契約の相手からも、誓約書をもらい、反社チェックを実行しましょう。
①役員等の就任時
役員等の選任前から反社チェックが必要で、就任までに誓約書をもらいましょう。
面談などの際に自筆署名するのがベストです。
②再任時
役員再任時にもチェックします。
③定期チェック
誓約書は定期的に更新するのが理想、定期的な反社チェックが必要です。
コンサル契約なども長期にわたる場合には、継続してチェックしましょう。
株式市場への新規上場申請の際には、確認書の提出が義務づけられています。
大株主
上場会社などでは大株主の反社チェックが必要です。
新規上場申請時のほか、第三者割当増資など所定のタイミングで、反社でないことの確認書が義務づけられています。
上場後にも大株主のチェックはできますが、取引先でない場合などには誓約書をもらえるかはわかりません。
非上場会社では、株式譲渡の際などに誓約書を求める機会があるかもしれません。
誓約書は、取引や入社などの契約書とセットで法的効果を発揮します。
契約書の反社条項に違反していないかどうか?
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8 誓約書の効果は反社排除条項とセットで
誓約書違反は、契約書の反社条項にも該当し、両者がセットで法的効果が増大します。
催告なしに解除できる反社条項があれば、反社と判明した場合に契約の解除ができ、損害があれば相手方への損害賠償請求ができます。
契約書の反社条項との違い
誓約書も一種の契約といえます。
署名捺印した時点で反社でないという事実の表明および、
「将来にわたり反社でない、反社に関わらない」という将来に向けての約束です。
一方、契約書の反社条項(暴排条項)は、反社であるという事実があれば、催告なしに、反社条項による解除条件が成立するという条項です。
誓約書での約束違反(債務不履行)による解除では、民法では催告する必要があります。
反社条項なら、催告なしに、直ちに解除できます。
念のため、誓約書の確約と、反社条項が両方あれば、万全といえるでしょう。
誓約書に違反したら債務不履行にも
誓約書で、将来にわたり反社でないことを確約していれば、違反したときには債務不履行となり、債務不履行による契約解除も可能に(民法第541条)。
反社条項とは別の解除理由もでき、万全です。
誓約書が虚偽であるか、または将来にわたり反社でないことを確約していれば、違反したときに刑法の詐欺罪で立件することも容易です。
誓約書と契約書は分けたほうがいい?
誓約書と契約書は、別々の書類に分けることが必要です。
その理由は次の通りです。
- 定期的に誓約書を差し出すようにすれば、契約書を更新しなくてもよい
- 取引の契約書は会社対会社であっても、個人の誓約が必要なこともある
- 取引相手の役員や担当者が変わることがある
契約書に確約条項を入れるべき?
契約書にも、確約条項を入れることができます。
争いを未然に防ぐ誓約書、契約書には、何重にも網を張っておくとよいでしょう。
相手先の会社や役員、下請けや再委託先などの関係者が反社でないこと、反社に関わりなく、反社行為をしないことを、入れておくのがよいでしょう。
9 反社でないことの誓約書の法的効果
前述したモデル書式の条項を含む誓約書は、現在の事実表明であるとともに、将来にわたる約束(債務)となる契約書の一種です。
したがって、民法にある契約、債権の規定が適用され、権利義務規定の対象となります。
民法の契約解除
契約書に必要な反社条項は、反社であることが判明した場合に催告なしで解除できる規定です。
反社条項を入れることは、暴排条例で定める努力義務となっています。
民法の債務不履行
2020年に施行された改正後の民法第541条では、次のように規定されています。
「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」
ただし、「契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。」という例外規定があります。
そのため、万全を期すためにも、誓約書に、債務不履行による契約解除ができる条項があれば、軽微かどうかに関係なく、法的効果を発揮できます。
東京都暴追センターのモデル書式では、6条で規定しています。
契約書で、反社条項とは別に同様の規定をすることも有効です。
一方、契約書に反社条項があれば、催告なしに契約解除した場合でも、会社側は債務不履行にはなりません。
民法の損害賠償請求権
民法に規定される損害賠償請求権は、不法行為(民法709条)に基づくものと、債務不履行(民法423条)に基づくものとがあります。
刑法や暴排条例、各業界の法律、その他の法令に違反した場合には、不法行為に基づく損害賠償請求が可能です。
一方、将来にわたり反社でない、反社に関わらない、反社行為をしないという確約があれば、誓約書に違反したときに債務不履行となります。
それ以外の事由で債務不履行となった場合を含め、債務不履行に基づく損害賠償請求が可能です。
その他の法律上の権利義務
反社であることが判明したときに、契約解除することを想定し、契約書に必要な条項を設けることも重要です!
原状回復または違約金、解除前までに履行途中であった事案の取り扱い、解除後にわたる秘密保持義務など、必要な条項を明記しましょう。
そのため、定型的な契約書も弁護士による作成やチェックを行い、非定型的な契約書は特に入念に作成することが必要です。
契約書は将来の紛争を防止するためのもの。時には会社経営を左右します。
誓約書などの書類のほか、いざという時のために反社チェック結果なども証跡として保管しておけば、訴訟になっても耐えられる証拠にもなります!
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10 反社に関する最近の情勢、統計最近の傾向は?
令和4年警察白書の統計資料によれば、最近の反社に関する相談内容の内訳は、次の表の通りです。
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令和3年中 | |||
相談内容 | 警察 | 暴追センター | 合計 |
1 暴力的要求行為等に関する相談 | 346 | 241 | 587 |
2 縄張に係る禁止行為に関する相談 | 2 | 3 | 5 |
3 準暴力的要求行為の要求等に関する相談 | 4 | 2 | 6 |
4 離脱・勧誘・加入強要に関する相談 | 489 | 101 | 590 |
5 暴力団事務所等に関する相談 | 50 | 11 | 1 |
6 民事訴訟に関する相談 | 74 | 52 | 126 |
1~6に該当しない不当行為に関する相談 | 824 | 215 | 1039 |
暴力団対策法に関する相談 | 138 | 1816 | 1954 |
その他の暴力団関係相談 | 17360 | 24330 | 41690 |
合計 | 19287 | 26771 | 46058 |
相談種別暴力団関係相談受理件数
出典:警察庁 「令和4年警察白書統計資料」より作成
一般的なその他の相談を除けば、暴力的要求行為、離脱・勧誘・加入強要、その他の不当行為についての相談が多いとわかります。
より具体的には、次のような事例が特に多く、金融や債権取り立て、示談への介入など、経済活動に入り込み、民事訴訟や刑法違反に該当する事案も多いことがわかります。
- 人の弱みにつけ込む金品等要求行為
- 不当贈与要求行為
- 不当下請等要求行為
- みかじめ料要求行為
- 高利債権取立行為
- 不当債権取立行為
- 不当貸付等要求行為
- 不当示談介入行為
- 因縁をつけての金品等要求行為
- 刑罰法令に該当する行為
企業がちょっとした不注意やコンプライアンス違反から、重大な事案に巻き込まれてしまうリスクも多く、誓約書、反社条項がいかに大切かがわかるでしょう。
11 誓約書に違反したときの反社会的勢力への対応は?
誓約書に違反したことがわかったら、直ちに弁護士に相談するとともに、警察や暴追センターへの照会、相談が必要です。
違反時の契約解除を通知
弁護士に相談のうえ、適切なタイミングで、適切な相手に契約解除を通知します。
法務部レベルの担当者だけで動いてはいけません。
暴追センターや警察にも相談しつつ、業界独自の相談センターなどがあれば活用するべきです。
違反時の損害賠償・違約金などの確認
違反が判明したときの契約状況や、業務の履行状況など、現状を把握しましょう。
弁護士や会社上層部の判断を仰ぎつつ、相手方との間の債権債務などを確認します。
相手の身元だけでなく、周辺や背後関係なども含めて、調査会社なども使い、重点調査することも必要です。
取引解除や退職・辞任に伴う対応
取引先との契約解除に伴い、事業が中断する場合であれば、取引中止に伴う事後処理を行いましょう。
違約金請求や損害賠償請求、ときには原状回復請求などを、弁護士らとともに慎重に進めます。
従業員や役員などの事案であれば、退職、辞任手続を進めます。
損害賠償請求や、物品・書類・データなどの返還請求などを、弁護士らとともに慎重に進めます。
取引先、従業員や役員、関係者のいずれの事案でも、契約解除後の秘密保持、競業禁止、相手からの余計な訴訟などができないような予防措置を講じます。
可能であれば退職時、辞任時などに覚書を交わすほか、あらかじめこれらを想定した契約書、誓約書としておくことが最善の予防策になります!
12 まとめ
誓約書は、反社との関係がないことを書面で確約することで、後々のトラブルに対応でき、反社条項のある契約書の法的効力を確実にするものです。
取引や内部に反社会的勢力が紛れ込むことを防ぐ、企業防衛に必要なものであるとおわかりでしょう。
誓約書、確約書のモデル書式と応用例、署名・捺印の方法などを理解しておけば、自社に必要な誓約書を準備して、継続的な反社チェックや保管を効率的に実行できるでしょう。
名簿や書類、反社チェック結果の保管もツールを導入して効率化すれば、安いコストで、最小限の人員で日常的な運用はカンタン!
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いざという時のために証跡も保管しておけば、弁護士などにもスムーズに相談できます。