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東証の上場審査で求められる反社チェック|確認書の内容・提出書類・実務の進め方を解説

東証審査で求められる反社チェックとは?!具体的なやり方も解説!_アイキャッチ

「東証審査で求められる反社チェックって何?」「どうすれば審査をとおり抜けられる?」

このような疑問を持っていませんか?

東証審査で求められる反社チェックは、「取引先が反社会的勢力でないか」「従業員や役員が反社と関係を持っていないか」をチェックするものです。

東証審査をとおり抜けるポイントとして、本記事で解説している基本指針を参考に専門家と指針を作成しましょう。その他にも、なぜ反社チェックするのか、東証が反社チェックを重要視しているポイントについて解説しているので参考にしてください。

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東証の上場審査における反社チェックとは

東証審査に必要となる反社チェック(コンプライアンスチェック)とは_画像

東証の上場審査における反社チェックとは、上場申請会社の役員・従業員・株主・取引先が反社会的勢力と関わりを持っていないかを確認する審査プロセスです。

反社会的勢力とは、暴力・威力・詐欺的手法を用いて経済的利益を追求する集団または個人を指し、暴力団やその構成員だけでなく、暴力団関係企業・総会屋・特殊知能暴力集団なども含まれます。(※1)

東証では、上場申請時に「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」の提出を義務づけており、申請会社自身のチェックに加え、主幹事証券会社による独自調査も行われます。いずれかの段階で反社との関係が疑われた場合、上場審査は通過できません。(※2)

反社会的勢力と関係を持ってしまった場合のリスクは深刻です。既存取引先からの取引停止や銀行融資の中断による経営破綻、反社との関係発覚による上場廃止、さらには脅迫・恐喝・不当請求といった犯罪に巻き込まれる可能性もあります。

こうしたリスクを回避するために、IPO準備の早期段階から体系的な反社チェック体制を構築しておくことが不可欠です。

東証が反社チェックを重要視する3つの理由

東証が反社チェックを重要視する3つの理由_画像

ここからは東証がなぜ反社チェックを重要視しているのか解説していきます。主に以下3つの理由があります。

・投資家と市場の信頼を守るため

・反社会的勢力への資金流入を遮断するため

・上場後の信用毀損・上場廃止リスクを未然に防ぐため

それでは、順番に解説していきます。

投資家と市場の信頼を守るため

東証は証券市場の運営者として、投資家が安心して取引できる環境を維持する責任を負っています。反社会的勢力と関係のある企業が上場すれば、不正な資金の流れや株価操作といったリスクが生じ、市場全体の信頼性が損なわれます。

投資家保護の観点から、上場企業には高い健全性が求められており、反社チェックはその根幹を支える審査項目です。

反社会的勢力への資金流入を遮断するため

上場企業が反社会的勢力と取引を行えば、意図していなくても結果として反社への資金提供とみなされます

証券市場を通じた資金調達が反社の活動資金になることを防ぐため、東証は上場申請の段階で関係の有無を厳格にチェックしています。

2007年の政府指針では、企業が反社会的勢力と一切の関係を持たないことが明確に求められ、これを受けて東証も上場制度に反社排除の仕組みを組み込みました。

上場後の信用毀損・上場廃止リスクを未然に防ぐため

上場後に反社との関係が発覚した場合、株価の急落、取引先の離反、銀行融資の停止に加え、最悪の場合は上場廃止に至ることもあります。こうした事態は当該企業だけでなく、投資家や市場全体に深刻な影響を与えます。

東証が審査段階で厳しくチェックするのは、上場後にこれらの問題が顕在化するリスクを事前に排除するためです。

実際に、反社との関係が原因で上場廃止や上場延期に至ったケースも過去に存在します

具体的な事例やIPO準備全体の流れについては「IPO準備企業が実施すべき反社チェックの手順とは?上場廃止事例や上場後の対策も解説」で詳しく解説しています。

上場申請時に提出が必要な書類と確認書の内容

東証審査前に定めるべき反社チェックの基本方針_画像

東証への上場申請時には、反社会的勢力との関係がないことを証明するために、以下の3つの書類を提出する必要があります。

①反社会的勢力との関係がないことを示す確認書

上場申請会社の代表者名で提出する書類で、有価証券上場規程施行規則第204条第1項第5号に基づき求められます。

確認書には、以下の関係者リストを添付し、それぞれが反社会的勢力と関係がないことを確認した旨を記載します。

  • 役員(取締役・監査役)
  • 役員に準ずる者(執行役員・相談役・顧問等)
  • 重要な子会社の役員
  • 主な株主(非上場企業の場合、上位50名)
  • 主な仕入先および販売先(連結ベースで上位各10社)

つまり、上場申請までにこれらすべての関係者に対して反社チェックを完了し、問題がないことを確認しておかなければなりません

②宣誓書

上場規程第443条に基づき、新規上場申請者は宣誓書を東証に提出する義務があります。

宣誓書には、役員等が反社会的勢力ではないこと、および反社会的勢力との間に社会的に非難されるべき関係を有していないことを記載します。

東京都暴力追放運動推進センター 暴力団対応ガイド総合版_誓約書の具体的内書式例

出典・引用:東京都暴力追放運動推進センター 暴力団対応ガイド総合版

確認書が「事実の確認結果」を示す書類であるのに対し、宣誓書は「会社としての誓約」にあたる書類です。両方の提出が求められます。

③主幹事証券会社による上場適格性調査に関する報告書

申請会社の確認書とは別に、主幹事証券会社が独自に調査した結果をまとめた報告書の提出も必要です(施行規則第204条第1項第6号)。

主幹事証券会社による調査で問題ありと判断された場合、IPOは事実上断念せざるを得ません。そのため、申請会社自身のチェックだけでなく、主幹事証券が納得するレベルの調査体制と証跡管理が求められます。

主幹事証券会社による反社チェックの流れ

東証審査に不可欠な反社チェックの具体的やり方_画像

東証の上場審査では、東証自身がすべてを直接審査するのではなく、主幹事証券会社が反社チェックの中心的な役割を担います。

主幹事証券が「問題あり」と判断すれば、IPOは事実上断念となるので、慎重に進めていきましょう。

  1. 主幹事証券の選定・事前協議(N-2〜N-1期)
  2. 引受審査における反社チェック(N-1期〜申請期)
  3. 上場適格性調査報告書の作成・提出

1. 主幹事証券の選定・事前協議(N-2〜N-1期)

主幹事証券会社を選定した段階で、反社チェックの対象範囲・方法・使用するデータベースについて事前に協議します。

証券会社ごとにチェック基準や求める調査範囲が異なるため、この段階で認識を合わせておくことが不可欠です。

2. 引受審査における反社チェック(N-1期〜申請期)

主幹事証券会社は、申請会社から提出された確認書・添付リストをもとに、独自のデータベースや外部調査機関を活用して反社チェックを実施します。

チェック対象は、役員・株主・主要取引先にとどまらず、証券会社の判断によってはさらに広い範囲に及ぶ場合もあります

3. 上場適格性調査報告書の作成・提出

主幹事証券会社は調査結果を「上場適格性調査に関する報告書」としてまとめ、東証に提出します。

この報告書で反社との関係が疑われる事項が1つでもあれば、上場審査は通過できません。

主幹事証券の審査を通過するためのポイント

主幹事証券による引受審査をスムーズに通過するために、以下の3点を早期に整備しておきましょう。

チェック方法を事前にすり合わせる

どのデータベースを使うか、新聞記事検索の範囲はどこまでか、外部の調査会社を使うかなど、主幹事が求める水準を早い段階で確認します。

自社のチェック体制が主幹事の基準に満たないと判明してから対応するのでは遅いため、N-2期以前の事前協議の段階で具体的にすり合わせておくことが重要です。

証跡を一元管理する

主幹事証券は「どのように調査し、どう判断したか」のプロセスと証跡を求めます。

反社チェックの検索結果・判定理由・対応履歴を、対象者ごとにまとめて保管しておきましょう。証跡がバラバラに管理されていると、審査時に整合性を問われるリスクがあります

チェック体制の属人化を避ける

反社チェックを特定の担当者1人に任せきりにすると、審査の際に「担当者の忖度や見落とし」を疑われるリスクがあります。

チェックの実施と判定を分離する、上長の承認フローを設けるなど、組織的な運用体制にしておくことが求められます。

東証審査に向けて整備すべき反社チェック体制

東証審査後も継続的にやるべき5つの反社チェック対策_画像

上場審査を通過するには、反社チェックを「その都度やる作業」ではなく「組織として運用する仕組み」として整備しておく必要があります。

政府指針(※1)では、企業が平素から取り組むべき項目として以下の5つを定めており、東証もこれに準じた体制整備を求めています

①基本方針の策定と社内外への宣言

代表取締役等の経営トップが「反社会的勢力とは一切の関係を持たない」という基本方針を策定し、社内外に宣言します。反社会的勢力への対策となる基本方針は、政府指針の「平素からの対応」に記されています

平素からの対応

○ 代表取締役等の経営トップは、(1)の内容を基本方針として社内外に宣言し、その宣言を実現するための社内体制の整備、従業員の安全確保、外部専門機関との連携等の一連の取組みを行い、その結果を取締役会等に報告する。

○ 反社会的勢力による不当要求が発生した場合の対応を統括する部署(以下「反社会的勢力対応部署」という。)を整備する。反社会的勢力対応部署は、反社会的勢力に関する情報を一元的に管理・蓄積し、反社会的勢力との関係を遮断するための取組みを支援するとともに、社内体制の整備、研修活動の実施、対応マニュアルの整備、外部専門機関との連携等を行う。

○ 反社会的勢力とは、一切の関係をもたない。そのため、相手方が反社会的勢力であるかどうかについて、常に、通常必要と思われる注意を払うとともに、反社会的勢力とは知らずに何らかの関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点や反社会的勢力であるとの疑いが生じた時点で、速やかに関係を解消する。

○ 反社会的勢力が取引先や株主となって、不当要求を行う場合の被害を防止するため、契約書や取引約款に暴力団排除条項∗を導入するとともに、可能な範囲内で自社株の取引状況を確認する。

○ 取引先の審査や株主の属性判断等を行うことにより、反社会的勢力による被害を防止するため、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築する。同データベースは、暴力追放運動推進センターや他企業等の情報を活用して逐次更新する。

○ 外部専門機関の連絡先や担当者を確認し、平素から担当者同士で意思疎通を行い、緊密な連携関係を構築する。暴力追放運動推進センター、企業防衛協議会、各種の暴力団排除協議会等が行う地域や職域の暴力団排除活動に参加する。

引用:法務省

方針の策定にあたっては、反社排除を専門とする弁護士と協力して作成しましょう。

②社内体制・就業規則の整備

反社会的勢力による不当要求が発生した場合に対応を統括する部署を設置し、情報を一元管理する体制を整えます。

あわせて、就業規則に以下のような項目を盛り込み、役員・従業員が反社と関係を持つことを明確に禁止しておきましょう。

  • 反社への資金提供・便宜供与の禁止
  • 反社を助長・加担する行為の禁止
  • 違反した場合の懲戒処分

③契約書への暴排条項の導入

取引契約書に「反社会的勢力の排除」に関する暴排条項を盛り込みます

この条項があることで、取引先が反社と判明した場合に催告なしで契約を解除でき、損害賠償の請求も可能になります。暴排条項がないまま取引を開始すると、反社と判明してもスムーズに関係を解消できないリスクがあります。

④対応マニュアルの整備

反社との関係が疑われた場合の初動対応・報告ルート・外部機関への連絡手順などをマニュアル化しておきます。

マニュアルがない状態では、従業員個々の判断で取引を進めてしまい、結果として反社と関係を持つリスクが高まります。

⑤従業員研修の実施

契約書やマニュアルを整備しても、従業員が反社会的勢力について正しく理解していなければ実効性は上がりません。

反社の見分け方、不当要求への対処法、社内の報告ルートなどを定期的に研修で周知しましょう。

⑥外部専門機関との連携

暴追センター・企業防衛協議会・暴力団排除協議会等の外部機関と平素から連絡先・担当者を確認し、緊密な連携関係を構築しておきます

いざという時にすぐ相談できる体制があることは、上場審査でも評価されるポイントです。

これらの体制は、上場審査を通過した後も継続して運用する必要があります。上場後に反社との関係が発覚すれば上場廃止のリスクがあるため、「審査のための準備」ではなく「企業として恒常的に維持する仕組み」として位置づけましょう。

東証審査に不可欠な反社チェックの具体的やり方

東証の上場審査に対応する反社チェックの手法は、大きく分けて3つあります。コストと精度のバランスを考え、組み合わせて実施するのが一般的です。

①自社によるスクリーニング調査

最も基本的な方法として、インターネット検索や新聞記事データベースを使ったスクリーニング調査があります。対象者の氏名・企業名と「不祥事」「行政処分」「暴力団」などのネガティブワードを組み合わせて検索し、該当する情報がないかを確認します。

手作業で行う場合は1件あたり10〜20分の工数がかかるうえ、担当者によって検索範囲や判断基準にバラつきが生じやすい点がデメリットです。

②外部調査機関・データベースの活用

帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査会社や、暴追センターへの照会を活用する方法です。自社のスクリーニングではカバーしきれない情報(信用スコア、過去の訴訟歴、暴力団データベースとの照合など)を取得できます。

主幹事証券会社から「外部調査機関の利用」を求められるケースも多いため、どの機関を使うかは事前に主幹事と協議しておきましょう。

③反社チェックツールの導入

対象件数が多い場合や、定期的なチェックを効率的に行いたい場合は、反社チェックツールの導入が有効です。

対象者リストを一括登録するだけで、ネット記事・新聞記事・SNSを横断検索し、結果をAIが自動判定してくれるため、工数を大幅に削減できます。

検索結果や判定理由が証跡として自動保存されるツールであれば、主幹事証券に求められる証跡管理にもそのまま対応可能です。

上場審査に向けた実務上の組み合わせ方

実務では、以下のように段階的に手法を組み合わせるのが効果的です。

  1. 一次スクリーニング(全対象者)
    →反社チェックツールで一括検索し、リスクの有無を3段階程度で判定
  2. 二次調査(一次で疑義が出た対象者)
    →外部調査機関への照会や、信用調査会社のレポートを取得して深掘り
  3. 三次確認(二次でもグレーな対象者)
    →暴追センターや警察への照会、弁護士への相談

この流れで進めることで、全対象者に対して効率よく網羅的なチェックを行いつつ、疑義のある対象には重点的にリソースを割けます。

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東証審査で確認される反社との関係性の範囲

東証審査では反社との関係性を確認される_画像

東証の上場審査では、反社会的勢力と「取引がないこと」だけでなく、あらゆる形での「関与がないこと」を広範囲にチェックされます。

チェック対象となる関係者

確認書に添付するリストの対象者に加え、審査では以下のような関係者まで確認が及ぶ場合があります

区分 具体的な対象
役員・経営層 取締役、監査役、執行役員、相談役、顧問
従業員 採用予定者、重要なポジションの社員
株主 上位50名、株式譲渡・第三者割当増資の相手方
取引先 仕入先・販売先の上位各10社、継続的な購入先、買掛が生じる取引先
子会社・関連会社 重要な子会社の役員、関連会社の主要取引先
その他 寄付・接待の相手方、業務委託先、コンサルタント

「関与」とみなされる関係性

単なる取引だけでなく、以下のような関係性も「反社との関与」として問題視されます。

  • 反社会的勢力への資金提供・便宜供与
  • 反社会的勢力が経営に実質的に関与している関係
  • 反社会的勢力を業務に利用している関係
  • 役員や経営に関与する者が反社と社会的に非難されるべき関係を有していること

東証は、これらの関係性が「現在」だけでなく「過去」にも存在しなかったかを確認します。特に役員については、就任前の経歴まで遡って調査されるため、役員選任時の反社チェックは入念に行いましょう

チェック対象の範囲は主幹事証券と協議して決める

上記はあくまで一般的な範囲であり、実際にどこまでチェックするかは主幹事証券会社の判断によって異なります。

主幹事との事前協議の段階で「どの範囲まで調査すべきか」を明確にし、漏れのないチェック体制を構築しておくことが重要です。

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まとめ

東証の上場審査における反社チェックは、確認書・宣誓書の提出と主幹事証券による調査という二段階の審査をクリアする必要があり、形式的なチェックでは通過できません。

これらの体制整備は上場審査のためだけでなく、上場後も企業を守り続ける仕組みとして継続的に運用することが大切です。

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【参考】
※1 法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針
※2 東京証券取引所「反社会的勢力排除に向けた上場制度及びその他上場制度の整備について」