近年、企業にとって無視できない存在がコンプライアンスです。
「社員のコンプライアンス意識を向上させるにはどうすればいいの?」と頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
結論として、コンプライアンス意識を向上させるには長期的な目で根気強くコンプライアンスについて教育をする必要があります。
この記事では、このような悩みを持つ方に向けてコンプライアンス違反の具体例や適切な教育方法を分かりやすく解説します。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
企業にとってコンプライアンス意識が高い状態とは?
コンプライアンスは法令遵守という意味です。企業は、主に以下の内容を理解して遵守する必要があります。
- 法律
- 企業理念
- 社会規範
- 企業で定めている規則やルール
- 常識的に考えてモラルに反する行動
企業がコンプライアンスを守らずに利益を優先したり、労働者を劣悪な環境で働かせていたりした場合、社会問題として厳しい処罰が下されます。
コンプライアンス意識が高い状態というのは、全社員が法律や規則、常識的なモラルについて理解しており、一丸となって守り抜く姿勢が保たれている状態です。
コンプライアンスに関する知識があるだけではなく、守るという意識が何よりも大切です。
コンプライアンス意識の向上が求められている3つの主な理由
次に、近年コンプライアンス意識の向上が急速に求められている理由について解説します。
今回ご紹介する理由は、主に以下の3つです。
- 企業には社会的責任(CSR)が求められている
- IT資産の管理の重要性が高まった
- SNSの拡大によるリスクの増加
それでは、詳しく見ていきましょう。
①企業にはCSR(社会的責任)が求められているため
CSRとは「Corporate Social Responsibility」(コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ)の略語です。日本語で「企業の社会的責任」という意味になります。
現代では企業がCSRに取り組むことは、環境や社会と共存していくために当たり前と言われる時代になりました。
CSR活動のテーマは主に4種類あります。
- 環境
- 人権
- 経済
- 慈善活動
「人権」における労働環境の改善などCSRを企業が取り組むうえで欠かせないのがコンプライアンスです。
社員のコンプライアンス意識を向上させることは、企業が社会的信用を得るために重要な取り組みになります。
②IT資産の管理がさらに重要視されるようになったため
最近は急速に、IT化やデジタル化、DX(ディーエックス)という言葉を聞くようになりました。
会社から支給される携帯電話がガラケーからスマートフォンに代わるなど、IT化を肌で感じる機会も増えてきたのではないでしょうか?
会社から支給される以下のようなものをIT資産といいます。
- PC
- スマートフォン
- タブレット機器
- サーバー
- ネットワーク機器
- ソフトウェア
IT化が進んだことによりIT資産が増え、管理に対する姿勢がさらに重要視されるようになりました。
特に問題視されているのが、セキュリティ対策です。まれに個人情報が流出したというニュースを耳にする機会があると思います。
個人情報の流出はコンプライアンス違反となり、企業の信用をガタ落ちさせてしまう要因です。
万が一に備えて、社員が社外でスマホを使用する際の注意点など、コンプライアンス意識を向上させておく必要があるでしょう。
③SNSの拡大によりリスクが増加したため
現代ではSNSの流行により、誰でも簡単に不特定多数の人へ発信を行えるようになりました。
企業はコンプライアンス違反が発覚した場合、SNSで拡散されてしまうリスクがあります。つまり「バレなければ…」「大事にならなければ…」という考えでは通用しません。
ネット社会となった現代では、全社員のコンプライアンス意識を向上させて、このようなSNSによるリスクから企業を守るようにしましょう。
コンプライアンス意識が高い企業の特徴3選
「実際に、コンプライアンス意識が高い会社は何を行っているの?」
「コンプライアンス意識が高い会社の特徴が知りたい!」
次に、このような疑問をお持ちの方に向けて、コンプライアンス意識が高い企業の主な特徴を3つ紹介します。
- コンプライアンス担当者が存在
- コンプライアンスの研修を定期的に開催している
- 上層部の人間こそ、コンプライアンス意識が高い
ぜひ、このまま最後までお読みください。
①コンプライアンス担当が存在する
コンプライアンス意識の高い企業には、コンプライアンスに関する知識が豊富な担当者が存在しています。
社内にコンプライアンスの担当者や部署がないと、疑問や悩みを誰に相談すればいいのか分かりません。
あらかじめ担当者を設けておけば、反社と取引をしてしまった場合の対処法や反社と関わらないための方法などを明確にでき、会社のコンプライアンス意識を高められます。
会社のコンプライアンス意識が高まれば、企業のイメージ向上にもつながるでしょう。コンプライアンス担当者がいない場合は、担当者を設けることをおすすめします。
②コンプライアンスに関する研修を定期的に行っている
コンプライアンス意識が高い企業は、定期的にコンプライアンスに関する研修を行っています。
コンプライアンスに関する法律は不変のものではなく、定期的に改訂が行われるためです。また、1度のコンプライアンス研修では中々理解度を深められません。
企業では人の入れ替わりなども考えられるため、定期的に研修を行う必要があります。
③上層部が徹底したコンプライアンス意識を持っている
コンプライアンス意識の高い企業は、上層部の方々こそ徹底的に意識しています。
上層部こそ徹底したコンプライアンス意識を持つメリットは主に以下の通りです。
- ハラスメントなどの行為を防止できる
- 上層部の人がコンプライアンス意識を高く持つことにより社内全体が引き締まる
- 若手社員の見本になる
パワー・ハラスメントは「部下に教えていたつもり」という認識で起きる場合が多いです。そうならないためにも、どのように指導したらパワー・ハラスメントになるのか知っておく必要があります。
また、コンプライアンス意識が低い企業では若手社員が上司からのプレッシャーにより、普段から行われているコンプライアンス違反を黙認しているケースも考えられます。
反対に、コンプライアンス意識が高い企業は上司が部下のコンプライアンス違反を注意したり、コンプライアンス違反を告発する社員がしっかりと守られていたりと、社内全体の風通しがいいことが特徴です。
コンプライアンス意識が低い! 違反の具体例を3つ紹介
次に、コンプライアンス違反の具体例を紹介します。今回紹介する内容は、主に以下の通りです。
- 労働環境
- 不正会計や不正受給
- ハラスメント
それでは、詳しく見ていきましょう
①社員の労働環境によるコンプライアンス違反
残業代の未払いや長時間労働の強制など、社員の労働環境に関するコンプライアンス違反は問題視されています。
特に長時間労働の強制により過労死や自殺をしてしまうケースがあり、早急に社会全体で解決しなければならない問題として声が挙げられています。
また、労働環境に関するコンプライアンス違反は社員が当事者のためSNS等で拡散されるリスクも高いです。
厚生労働省が発表している時間外労働の上限規制や有給休暇の取得日数など、正しい知識を身に付ける必要があります。
労働環境によるコンプライアンス違反は、社内で当たり前となっているケースがほとんどです。コンプライアンス意識を高めて、根本から改善していく必要があるでしょう。
参照:
厚生労働省「労働基準に関する法制度」
②不正会計や不正受給によるコンプライアンス違反
不正会計や不正受給によるコンプライアンス違反が発覚すれば、企業のイメージダウンは免れません。
最悪の場合、会社の存続すら危ぶまれる状況になることが考えられます。不正会計とは主に以下のようなことを指します。
- 経営状況の隠ぺい
- 財務諸表の改ざん
「どこの企業もやっていることだから…」と不正会計が常習化している社内環境は直ちに改善することが求められます。後に引けない状況になっては、経営状況が悪化し取り返しがつかない状態になりかねません。
不正受給は国からの助成金などを虚偽の申請で受け取ることを指します。不正受給も発覚すると信用が地に落ちてしまい、会社が倒産してしまうことも珍しくありません。
最悪の場合、詐欺罪として処罰されます。バレなければ問題ないという安易な考えで、不正会計や不正受給を行うことは絶対にあってはならないことです。
③ハラスメントによるコンプライアンス違反
パワー・ハラスメントやセクシュアル・ハラスメントもコンプライアンス違反です。
まずは、ハラスメントについての正しい知識を身に付けましょう。厚生労働省によると主に以下の3つの要素をすべて満たすものをいいます。
- 上司と部下など逆らうことが難しい関係にある
- 仕事で必要と思われる行動や言動を明らかに超えている
- 働いている人が行動や言動で不快な思いをしている
ゆえに、仕事上で必要な指導の場合は、ハラスメントとみなされません。また、パワー・ハラスメントなど有名なハラスメント以外にも多様なものが存在します。
- モラル・ハラスメント
- ジェンダー・ハラスメント
- マタニティ・ハラスメント
あくまでこれは一例にすぎません。
ハラスメントによるコンプライアンス違反を防ぐためには、ハラスメントの正しい知識を身に付けて、不快な言い回し等に注意しながら指導するようにしましょう。
参照:
厚生労働省「あかるい職場応援団」
なぜコンプライアンス違反が起きるの? 問題は知識不足と社内環境にあった!
なぜこのようなコンプライアンス違反が起きてしまうのでしょうか?コンプライアンス違反が起きてしまう根本的な原因は、主に以下の2つがポイントです。
- そもそもコンプライアンスに関する知識がない
- 社内環境に問題がある
それでは、分かりやすく解説していきます。
①そもそもコンプライアンスに関する知識がない
コンプライアンス違反をしてしまうケースとして多いのが「知らなかった…」「こんな大事になるなんて思っていなかった」というものです。
この場合、コンプライアンスに関する知識が不足していることが原因として挙げられます。
コンプライアンスに精通している人材がいないため、注意する人もいないという状況が考えられるでしょう。コンプライアンスの知識がなければ、反社会勢力の人と繋がってしまい、会社の経営状況を悪化させる事態になる恐れがあります。
今一度、社員は「コンプライアンスに関する知識が自分に足りているのか」考える必要があるでしょう。
②社内環境に問題がある
コンプライアンス違反が起きる背景として、コンプライアンス違反が日常となっているケースが考えられます。
社内環境に問題があると、コンプライアンス違反が当たり前という認識になってしまうため、改善は難しいです。若手社員が入ってきても「これが当たり前」といういわゆる洗脳状態に陥ってしまいます。
社内環境に問題がある場合は、客観的に社内を観察できる第三者を上手に活用しましょう。
コンプライアンスを意識・向上させる教育方法3選
それでは、具体的にコンプライアンス意識を向上させる教育方法について解説していきます。
これらを正しく行うことによって、社員のコンプライアンス意識は高まること間違いなしです。
今回紹介する方法は主に以下の3つです。
- 社内研修を繰り返し行う
- 外部の専門家に講義を依頼する
- 社員が安心してコンプライアンスについて相談できる窓口を設けて周知する
それでは、このまま最後までお読みください。
①社内研修を繰り返し行う
社内研修を繰り返し行うことによって、社員のコンプライアンス意識を高められます。
同じ場所で一斉に社内研修をすることにより、参加した社員に共通したコンプライアンス意識を持たせられることも魅力的です。
さらに、社員同士でコンプライアンスに関して話し合う機会を与えることで「昨日の言動は少しやりすぎたかな…」など、考えるきっかけになります。ほかの人の意見を聞くことは、コンプライアンス意識を高めるうえで重要です。
また、社内研修を1度だけでなく、繰り返し行うメリットとしては
- コンプライアンスに関する法律や社内ルールが変更になった際、対応できる
- 繰り返し教育することにより、定着させられる
これらが挙げられます。具体的に自分の行動を振り返るようにすると、アウトプットの機会が増えてさらに効果が見込めます。
社内研修を行うタイミングは主に以下がおすすめです。
- 1年に1回は決まった時期に必ず行う
- コンプライアンスに関する社内ルールや法律が変更になった場合に行う
- 社内でコンプライアンス違反が起きてしまった場合に行う
全社員がコンプライアンス意識を高く持つことが、何よりも重要になります。
②外部の専門家に講義を依頼する
外部の専門家にコンプライアンスについての講義を依頼する教育方法もあります。
外部の専門家に依頼するメリットは、主に以下の通りです。
- 専門家による正確でフレッシュな知識を学べる
- 研修担当者の事前準備などの負担を軽減できる
- 社内環境を第三者に公平に見てもらえる機会ができる
コンプライアンスに関する専門家に講義を依頼すれば、正しい知識と新鮮な情報が得られます。社内では当たり前として考えられていたことが、実はコンプライアンス違反だったと気づけるかもしれません。
このように社外の人に講師を頼むことは「間違った正しさ」を認識するためでもあります。また、研修担当者が事前に情報を調べて研修資料を作成する手間がなくなるため、負担が軽減されるでしょう。
外部の専門家は、社内の人間ではありません。いつもと違う特別な緊張感をもって研修を行えるはずです。
③社員が安心してコンプライアンスについて相談できる窓口を設け周知する
最後に、社員が安心してコンプライアンスについての悩みを相談できる窓口や部署を設けて周知する必要があります。
社内研修や外部講習などでコンプライアンスに関する知識を身に付けても、社内環境に問題があり泣き寝入りしなければならない状況では意味がありません。SNSでの拡散リスクなどを考えて、労働者の意見を聞く必要があります。
このような窓口や部署を設置する際には、主に以下のポイントを守りましょう。
- 相談が原因で不当な扱いを受けることが絶対に起きないようにする
- 積極的に上層部の方たちが利用や周知をすることにより、相談しやすい環境を整備する
特に、相談により不当な扱いを受けるようでは、窓口を設けた意味がありません。社員が安心して相談できることが何よりも大切になります。
また、上司が利用している姿を若手社員に見せることにより、行動しやすい環境を整備してあげることも重要です。
社内報や定例会議などで周知することも忘れないようにしましょう。
まとめ
この記事では、コンプライアンス意識を高める方法やコンプライアンス意識が高い企業の特徴をお伝えしました。
改めてまとめると以下の通りです。
- 現代ではSNSの拡大などによりコンプライアンス意識の向上が求められている
- コンプライアンス意識の違いは、コンプライアンスに関する知識量と社内環境にある
- コンプライアンス意識を高めるには研修を繰り返し行い、社員が安心して相談できる窓口を設ける必要がある
また、コンプライアンスを守らない取引先と関係を持ってしまうと自社にとってリスクとなります。
せっかく全社員に適切なコンプライアンス知識を学んでもらったのに、取引先のコンプライアンス違反の巻き添えで自社の信用が落ちてはあまりにも悲しいですよね。
ゆえに、リスクを排除するためにもコンプライアンスチェックツールの導入を検討する必要があります。
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