企業がビジネスを進めるうえで、コンプライアンスが重視されています。しかし、コンプライアンス違反により社会的な信用を失う企業は少なくありません。コンプライアンスを強化するには、コンプライアンス違反の事例を参考にしつつ、自社にとって最適な対策をとる必要があります。
この記事では、コンプライアンス違反に注意したいと考えている企業に向けて、コンプライアンス違反の企業事例を紹介します。
コンプライアンスとは?
コンプライアンスとは、企業が社会のルールに沿って公正に業務を進めることです。英語の「Compliance」を直訳すると、法令遵守という意味になります。近年、さまざまな企業でコンプライアンス違反が発生しているため、十分な注意が必要です。
以下ではコンプライアンス違反の具体的な事例を紹介します。
コンプライアンス違反の事例まとめ
業界や業種を問わず、さまざまな企業がコンプライアンス違反を起こしています。ここでは、コンプライアンス違反の事例を紹介します。
情報漏洩
教育関連の事業を展開するある企業では、情報漏洩によるコンプライアンス違反が発生しています。2014年に、3,500万件の顧客情報が流出した事実が発覚しました。原因は、システム管理の依頼先の企業で働いていた派遣社員がデータを不正に持ち出したためです。
この企業も被害者であり、データを持ち出した派遣社員は逮捕されています。しかし、顧客からの信頼が大きく失墜し、顧客離れにつながりました。
不正会計
金属を専門に扱うある商社では、不正会計が行われていた事実が2015年に発覚しました。前社長から新社長に交代した際に、過去の不適切な会計処理が明るみになっています。具体的には、在庫の商品価値を過大評価して計上したり、仕入れの計上を翌期に遅らせたりしていました。その結果、表面上は黒字に見えるようにしていたようです。
新社長により不正会計を正しく計上し直しましたが、取引先や金融機関の納得は得られませんでした。その結果、破産にいたっています。
偽装事件
ある自動車メーカーは、車両の問題点に関する届出が2000年と2004年に必要でしたが、届出を怠っていました。その結果、2件の死亡事故が発生し、業務上過失致死傷罪として有罪判決を受けています。また、2016年にも軽自動車の燃費をごまかして計上した事実が発覚しました。
何度も不正を重ねた結果、大きく信用を落としています。さまざまな不正が明るみになった後は、他社の傘下として再建を目指しています。
不正受給
事業用のプリンターを製造・販売しているある企業は、補助金を不正受給していました。福島県に新しい工場を建てる際に費用を水増しして計上し、「ふくしま産業復興企業立地補助金」を不正に受け取っていました。
その後、不正受給が明らかになり、補助金の返還を求められています。また、信用が急激に落ちた結果、資金繰りにも苦戦しています。2017年には、多額の負債を抱えて事業停止にいたりました。
出資法違反
ある出版社は、出資法違反により社長が逮捕されています。金融機関や個人から資金の借り入れをしていたものの、資金繰りに苦労していました。その結果、不正な方法で雑誌の購読者から資金を集めていました。融資ではなく、出資として資金を募ったために違法とみなされています。
逮捕された社長は、執行猶予付きの有罪判決を受けました。また、会社の再建も困難になり、民事再生手続きを行っています。
景品表示法違反
格安SIMを販売しているある企業は、消費者庁から景品表示法違反の指摘を受けました。扱っている格安SIMの通信速度について、明確な根拠がない状態で誇大広告による宣伝を行っていたためです。
この企業は指摘を受けた事実を公表し、訂正の公告を行っています。景品表示法違反によってこのように消費者の信頼を裏切る行為をした場合、経営にも影響を与えかねないため注意が必要です。
労働環境
ここでは、社員の労働環境に対するコンプライアンス違反の事例を紹介します。
違法残業
ある広告代理店では、社員に違法な残業をさせていた事実が明るみになりました。2015年には、ある女性社員が過労死自殺しています。また、4人の社員に違法残業をさせていたことを理由とし、2017年には労働基準法違反で略式起訴されました。裁判では、2014年度にも毎月1,400人の社員が違法残業を強いられていたことが指摘されています。
残業時間は労働基準法に基づいて適切に管理する必要があります。違法残業が発覚し、この企業は世の中から批判を集めるようになりました。
残業代未払い
ある飲食業の企業では、社員に対して残業代を支払っていませんでした。飲食店で働く社員が残業していないように見せるため、勤務記録を書き換えていたようです。一般の社員だけでなく、店長の残業の記録も書き換えていました。
残業で働けば、社員は当然残業代を受け取る権利があります。不正に残業代を支払っていなかったこの企業の体制は、世間からも注目を集めて問題視されました。
著作権侵害
国家試験の予備校を運営するある企業では、著作権侵害を行っていました。アップル、アドビ、マイクロソフトなどのソフトウェアを不正コピーし、社内で日常的に使用していました。その結果、著作権侵害を理由として数千万円以上の損害賠償を請求されています。この事例では、今後のコンプライアンスの徹底を条件として和解が成立しています。
しかしながら、法人による著作権侵害は、数億円の罰金を命じられる可能性もある重大な犯罪行為です。
食品衛生管理
ある菓子メーカーは、賞味期限切れの材料を使用して洋菓子を製造していました。2007年に内部告発されてその事実が発覚しています。内部告発がきっかけとなり、食品衛生管理の不備も明るみになりました。
複数の不正が発覚した結果、事業の休止に追い込まれています。また、洋菓子を製造していた工場は、保健所により業務改善命令を受けました。消費者からの信頼も大きく揺らいでいます。
コンプライアンスの違反事例から参考にすべきポイント
自社のコンプライアンス違反を防ぐには、事例を参考にした対策が必要です。参考にすべきポイントを解説します。
コンプライアンス違反が起こる原因
今回紹介した事例からわかるとおり、組織ぐるみの不正や上層部による意図的なコンプライアンス違反などが多く発生しています。社内体制や慣習により、不正につながっているケースもめずらしくありません。
ほかにも、不正行為が起こりやすい環境ができあがっているケースもあります。また、法律に対する理解が不十分なために、意図せずコンプライアンス違反が発生してしまう場合もあります。コンプライアンス違反を防ぐためには、よくあるコンプライアンス違反の原因を把握したうえで対策を練ることが大切です。
コンプライアンス違反のリスク
コンプライアンス違反を起こせば、法的な責任を追求されたり損害賠償を請求されたりする恐れがあります。また、社会的な信用を失った結果、業績悪化や倒産につながるリスクもあるため注意が必要です。
帝国データバンクが実施した調査によれば、2020 年度にコンプライアンス違反を原因として倒産した事例は 182件にのぼります。コンプライアンス違反は企業の存続を脅かす重大な問題であり、十分に気をつける必要があります。
※参考:特別企画: コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2020 年度)|帝国データバンク
コンプライアンス違反の防止策と起きてしまったときの対応方法
自社でコンプライアンス違反を起こさないためには、企業全体でどのようなルールを守る必要があるか確認することが大切です。遵守すべき法律を把握し、社員全員が理解できるようにしましょう。そのためには、定期的にコンプライアンス研修を実施したり、しっかりとした管理体制を構築したりする必要があります。
万が一、コンプライアンス違反を起こした場合は、速やかに状況を把握したうえで謝罪しなければなりません。また、関係者の処分についても検討が必要です。問題を大きくしないためには、適切な事後対応が重要な意味をもちます。
まとめ
さまざまな企業がコンプライアンス違反を起こしており、信頼の失墜や業績悪化などにつながっています。コンプライアンス違反にならないようにするには、日頃から徹底的な対策が必要です。
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