「松屋」や「松のや」などの飲食チェーンを全国展開する松屋フーズホールディングス株式会社。牛めし定食事業を中心に、とんかつ事業、寿司事業、カフェ事業など、多様な飲食ブランドを展開し、顧客のニーズに応える多彩なメニューを提供しています。
今回お話を伺ったのは、同社で総務部 総務・広報グループ チーフマネジャーを務める春日高男さん。各部署で個別に行われていたコンプライアンスチェック業務を法務部門に集約し、RoboRoboの導入によって大幅な効率化と品質向上を実現した事例について詳しく伺いました。
目次
各部署で個別対応していたコンプライアンスチェック業務の課題
春日さん(以下春日):当社は「松屋」ブランドで知られる牛めし定食チェーンを中心に、「松のや」(とんかつ)、「福松」(寿司割烹)、「麦のトリコ」(生パスタ)、「トゥックン²」(石鍋)など、多様な飲食業態を全国で展開しています。元々、牛めし一筋というわけではなく、定食とカレーも一緒に提供し、昼は学生さん、夜は会社員の方に食事をしていただくというコンセプトで運営してきました。
春日:一般的に飲食業はBtoCがメインですが、飲食店運営には多くの企業と取引があります。具体的には仕入れ先、建設関係の下請け業者、各店舗の廃棄物処理業者など、多岐にわたる取引先との関係があります。こうした企業との取引においては、コンプライアンスチェックが欠かせません。
特に近年は企業の社会的責任が厳しく問われるようになり、取引先の問題が自社の評判にも影響することが増えてきました。そのため、新規取引先だけでなく、既存の取引先についても定期的なチェックが重要になってきているのです。

コンプラチェックの重要性について語る春日さん
春日:以前は各部署が独自に対応しており、チェック方法も統一されていませんでした。主にGoogle検索や日経テレコンでの記事検索、与信確認の際に合わせてチェックするといった方法でした。各部署がどの程度チェックしているのか全社的な把握ができていない状態でした。
また、判断基準も担当者によって異なり、チェックの品質にもばらつきがありました。さらに、コンプライアンスチェックは本来の業務に加えて行う作業なので、担当者の精神的・時間的負担が大きかったのです。特に問題となるケースでは調査に時間がかかり、その間に他の業務が滞ってしまうことが課題でした。
直感的なUIと情報の網羅性が決め手に—RoboRobo導入の背景
春日:昨年中頃から、業務効率化の一環として取引先のコンプライアンスチェックツールを探していました。さまざまな業者をリストアップして比較検討する中で、RoboRoboに出会ったのです。
当初は別の部門でも同様のツールを探していたところだったので、私が主導して調査・選定を行い、最終的にRoboRoboの導入を決定しました。同時に、各部署で分散していたコンプライアンスチェック業務を総務部に集約するという業務改革も計画しました。

各部署で分散していたコンプラチェックを総務部に集約
春日:大きく2点あります。1つは導入企業の多さです。特に飲食業界での導入事例があったことは安心材料になりました。
2つ目は、使いやすさとコストパフォーマンスのバランスです。直感的なUI(ユーザーインターフェース)が非常に良く、私自身、ITに詳しいわけではないのですが、マニュアルをほとんど見ずに操作できました。業務集約の際、ツールが難しいと新たな負担になりますが、RoboRoboは習得が容易だったため、スムーズに運用に乗せることができました。

春日:コンプライアンスチェックの重要性と新しい依頼方法について、各部署の管理職を集めた説明会を何回か開催しました。2024年1月1日から新しい運用を開始すると案内し、各部署の理解を得ました。
驚いたことに、現場からの反発はまったくありませんでした。むしろ「判断を法務部門がやってくれる」と好意的に受け止められました。当社は店舗経験者が多く、現場と本部の相互理解がある社風なので、部門間の壁が低いこともスムーズな移行に役立ちました。
業務集約とシステム導入がもたらした効率化・見える化・品質均一化・精神的負担軽減
春日:成果は大きく4つあります。第一に、作業時間の大幅な削減です。1件あたりのチェック時間が5~6分から1~2分に短縮されました。私だけでも導入から1年で月平均87時間の業務時間削減効果があったことがダッシュボードで確認できています(写真)。これは一人の作業時間としては非常に大きな削減です。

RoboRoboの管理画面では時間削減効果も確認できる
春日:コンプライアンスチェックの「見える化」です。以前は各部署で行っていたため、全社的な実施状況が不明確でした。現在は総務部で一元管理しているため、「いつ、どの取引先をチェックしたか」という証跡が明確になりました。
特に監査対応が容易になりました。チェック結果をExcelやCSVで出力できるので、監査部門からの問い合わせにも迅速に対応できるようになりました。以前は監査時に各部署から資料を集める必要がありましたが、今はまとめて提示できるため、全社的な業務透明性が向上しています。
春日:3つ目は、チェック品質の均一化です。RoboRoboはリスクレベルを3段階(高・中・低)で客観的に分類してくれるため、担当者による判断のバラつきがなくなりました。これにより、どの取引先に対しても一定水準のコンプライアンスチェックが実施できるようになりました。
4つ目は、各部署の担当者の精神的負担の軽減です。コンプライアンス判断は責任が重く、誤った判断をすれば会社全体に影響を及ぼす可能性もあります。各部署の担当者にとって、本来の業務に加えてこうした重い判断を行うことは大きな負担でした。
現在は「会社名」「所在地」「代表者名」という最小限の情報さえ提供していただければ、総務部で対応します。各部署からは「本来の業務に集中できるようになった」と好評です。1~2営業日、多くは当日中に結果を返せるようになったので、スピード面でも満足していただいています。

春日さんは「4つの大きな効果があった」と振り返る
春日:各部署からの依頼を既存の電子稟議システムで受け付け、私が一括してRoboRoboでチェックする形です。検索結果をシステムに添付して返却するという仕組みです。
私自身も、以前は「この情報をどう判断すべきか」という判断に頭を悩ませていましたが、今はRoboRoboがリスクレベルを客観的に分類してくれるので、高リスク案件だけに集中できるようになりました。これにより、精神的な負担が減り、法務相談や契約書チェックなど他の重要業務にも十分な時間を割けるようになりました。
春日:強いて言えば、企業の「プライバシーポリシー」などがリスク高として検出されてしまう点ですね。これはネガティブワードを含む内容を検出する仕組み上、やむを得ない面もありますが、AI機能の進化によって今後改善されることを期待しています。
といっても、検索結果のタイトルや概要で内容が判断できるので、実用上は大きな問題ではありません。全体としては非常に満足しています。

おおむねご満足いただいているご様子
春日:10件まで無料でお試しできるので、まずは実際に使ってみることをお勧めします。実際に操作してみれば、その使いやすさとパワーを実感できると思います。
コンプライアンスチェックの重要性は今後もさらに高まると予想されます。効率的で確実なチェック体制を構築するための強力なツールとして、RoboRoboは大いに役立つと確信しています。
編集協力=きいてかく合同会社