企業がコンプライアンスを遵守するうえで、反社チェックはとても重要です。反社チェックにはさまざまな方法があります。この記事では、自社の反社チェックの体制を強化したいと考えている担当者へ向けて、反社チェックの方法を解説します。社内のコンプライアンスを適正化するために、ぜひ参考にしてください。
反社チェックの意味と必要性
反社チェックは企業にとって必要不可欠です。反社チェックとは、具体的にどのようなものでしょうか。ここでは、反社チェックの意味とともに、必要性について解説します。
反社チェックとは
反社とは「反社会的勢力」のことであり、暴力団などが運営している企業やフロント企業などを表しています。反社は反社である事実を隠し、資金を得るために一般企業への接触を試みています。
反社チェックとは、契約や取引を予定している相手が反社に該当しないか調べる方法です。新しく契約や取引を始めるときは、必ず反社チェックを行う必要があります。
反社チェックの必要性
反社と取引した場合、相手に利益が発生すると反社に活動資金を与えることになります。2011年までに全都道府県で暴力団排除条例が制定され、反社に対する利益の供与が禁止されました。そのため、反社チェックを怠って反社と契約を交わせば、暴力団排除条例に抵触する可能性があります。
暴力団排除条例の遵守は努力目標とされていますが、違反すると勧告の対象になることもあるため注意が必要です。また、不当な要求を避けるためにも、反社チェックにより反社と取引をしないよう徹底する必要があります。
反社チェックを行うべきタイミングとは
反社チェックが必要なタイミングはたくさんあります。新しく取引を始めるときだけでなく、契約を更新する際も改めて反社チェックをすべきです。
また、自社に新しい役員が就任する際や新しい従業員を雇用する際も反社チェックが必要です。本人に対する反社チェックだけでなく、家族も含めて確認しましょう。
さらに、株主を増やすときも反社チェックを実施する必要があります。株主の候補が法人であれば、代表者だけでなく、外部関係者の役員についても反社チェックを行ってください。
反社チェックを行う方法
反社チェックを実施する方法は複数あります。それぞれの特徴を理解し、適切に反社チェックを進められるようにしましょう。ここでは、反社チェックの具体的な方法について解説します。
自社で調査を行う
基本的な反社チェックは自社でも対応可能です。こまめに反社チェックを実施するには、自社で調査できる体制を整備する必要があります。ここでは、自社で反社チェックを行う方法について解説します。
取引条件を改めて調べる
取引の条件について改めて確認し、一般的な相場との乖離が大きすぎないかチェックしましょう。たとえば、取引条件が自社にとって有利すぎる場合、取引相手は何らかの事情を抱えている可能性があります。また、取引相手が契約を急いでいる場合も、自社が把握していない目的があるかもしれません。
ほかの取引と比較して違いや気になる部分があれば、必ず確認をとりましょう。契約は、完全に納得できる状態で締結すべきです。
データベースやインターネットで調べる
データベースやインターネットを活用すると、相手の反社とのつながりを確認できます。新聞のデータベースやインターネットの検索エンジンを活用し、キーワードを入力して検索しましょう。この方法は、データベースクリーニングとよばれています。
新聞のデータベースでは、法人名や個人名で検索をすると関連する記事が出てきます。また、インターネットでは、法人名や個人名とともに「暴力団」や「総会屋」などのキーワードで検索をかけてください。ネガティブなキーワードを組みあわせると、反社チェックに必要な情報を効率的に絞り込めます。
業界団体に問い合わせて調べる
業界によっては、業界団体が反社に関する情報をまとめた、独自のデータベースを構築している場合があります。問いあわせれば必要な情報を調べてもらえるため、ぜひ活用しましょう。たとえば、不動産流通推進センター、全国銀行協会、日本証券業協会などが反社についてのデータベースを設けています。信頼性の高い情報を得られるため、反社チェックを正確に実施するために役立てられます。
法人登記から企業情報を調べる
国税庁の法人番号公表サイトを利用すると、相手の企業情報を調べられます。法人番号がない場合、法人化されていないため注意が必要です。短いスパンで商号や本社所在地が何度も変更されている場合も、その企業が何らかのトラブルを抱えている可能性があります。
また、許認可事業であれば、許認可の取得の有無についても確認しましょう。古物商なら公安委員会、不動産関連なら国土交通省の企業情報検索システムなどを利用すると許認可の取得状況を簡単に調べられます。
相手企業が嘘をついて取引をもちかけている可能性も少なからずあるため、公式の情報を探して確認をとることが大切です。
専門業者に依頼して調査を行う
よりくわしく情報を得たい場合は、専門業者に調査を依頼する方法もあります。信用調査会社や興信所などに依頼すれば、自社では調べられない情報も調べてもらえる可能性が高いです。
たとえば、信用調査会社が相手企業の住所を訪問したところ、企業の前に街宣車が停車していたケースもあります。自社で調査して反社とのつながりが懸念される場合は、業者に依頼してより正確な情報を得ることが大切です。
業者によって調査できる内容や費用は異なるため、よく検討したうえで依頼先を決定してください。なお、顧問弁護士に相談して調査会社を紹介してもらうのもおすすめです。自社の目的にあう、信頼できる調査会社を紹介してもらえるでしょう。
行政機関に照会して調査を行う
取引を予定している企業が反社である可能性が高いときは、行政機関にも相談できます。警視庁では、組織犯罪対策第三課が反社に関する問題を扱っています。公益財団法人暴力団追放運動推進都民センターにも相談が可能です。行政機関に相談すると、トラブルを最小限に抑えやすくなります。
特に危険性の高い反社と関わりをもってしまいそうなときも、警察や暴追センターと連携すれば適切な対処が可能です。早い段階で行政機関に相談し、どのように対処すればいいか確認しておきましょう。
反社チェックを効果的にする3つの方法
反社との関わりをもたないようにするには、反社チェックの効果を高める必要があります。ここでは、反社チェックを効果的に進めるための方法について解説します。
1.継続的に調査する
相手と初めて関わりをもつ際に行った反社チェックで問題がなくても、相手が後から反社とつながる可能性もあります。また、簡単なチェックではわからないよう、反社とのつながりが巧妙に隠されているケースもあります。
自社が反社とつながりをもたないようにするには、定期的な反社チェックが必要です。定期的に何度も反社チェックを実施すれば、相手がどのタイミングで反社とつながっても気づけます。反社とのつながりが隠されている場合も、何度もチェックを重ねれば実態を暴きやすくなるでしょう。
2.反社チェックツールと他のチェック方法を併用する
反社チェックは、ツールを使用すると簡単に行えます。幅広い情報をまとめて検索できるため、反社チェックの対象が多くてもスムーズに調査を進められます。ただし、反社チェックの精度をさらに高めるには、反社チェックツール以外での調査も組みあわせると効果的です。
2つ以上の方法で反社チェックを実施すると、異なる角度から相手について調べられます。1つの方法だけでは得られない情報も探し出せる可能性があり、反社チェックの精度を高めやすくなります。ツールによる調査結果も踏まえ、ほかの方法も組みあわせて反社チェックを行いましょう。
3.反社チェックのエビデンスを記録しておく
反社チェックを行ったら、調査の内容をエビデンス(証拠)として記録しておきましょう。具体的には、反社チェックの条件、時期、結果などを具体的にまとめておく必要があります。インターネットで情報を検索した場合は、検索画面のURLやスクリーンショットなども残しておくと後から見る際も確かな情報を確認できます。
反社チェックのエビデンスをしっかり残しておけば、担当者が代わっても反社チェックの結果を正確に管理できるでしょう。自社が反社チェックに取り組んでいるという事実を示すためにも、エビデンスはきちんと残しておく必要があります。
自社に合った反社チェック方法の選び方
反社チェックの方法を選ぶときは、反社チェックにかけられる人手や予算もよく検討することが大切です。かけられる人手や予算を考えるうえでは、取引のリスクも考慮しましょう。取引のリスクが高いなら、人手や予算を多く割いてでも精度の高い反社チェックを実施する必要があります。専門業者にも反社チェックについて相談したほうがいいです。
一方、取引のリスクが低いなら、反社チェックに人手や予算をそれほど多く割く必要はありません。自社で使用できるツールを活用して検索をかければ、十分な情報を得られるでしょう。
まとめ
企業が取引を進めるうえでは、反社チェックをしっかり行う必要があります。さまざまな方法で反社チェックを行えるため、状況にあわせて必要な情報を確認することが大切です。
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