企業の経営におけるリスク回避には、反社チェックが重要な手段のひとつです。しかし、反社チェックを行う担当者や社員がその重要性を理解できていなければ、作業が形骸化する恐れがあります。この記事では反社チェックの重要性と、具体的な対応策や予防策について解説します。
反社チェックの重要性について
反社チェックは企業経営において、欠かせない業務として広まっています。以下では、反社チェックの重要性について解説します。
反社チェックはリスク回避につながる
反社チェックは、自社を守るリスク回避につながります。反社会的勢力と取引をしたり、資金提供を行ったりしてしまうと、企業の存続に関わるあらゆるリスクを被ることになるでしょう。
利益を優先して反社チェックを軽視すると、結果的に大きな損失につながることもあります。
反社チェックの重要性を理解することで回避できるリスク
反社チェックの重要性を理解することは、具体的に以下のようなリスクを回避することにつながります。
反社チェックの重要性① 会社の信用が失墜するリスク
反社チェックの重要性を理解することで、会社の信用が失墜するリスクを回避できます。反社会的勢力と関係を持ってしまうと、会社の評判や信用度が低下し、その後の取引が制約しづらくなったり、既存の企業から取引中止を言い渡されたりするリスクがあるでしょう。
仮に相手が反社と知らずに関係を持った場合でも、「反社チェックを怠った」という事実から、会社の信用を取り戻すことは難しくなります。
反社チェックの重要性② 上場廃止や融資の停止のリスク
反社と取引をした場合、上場が廃止される理由にもなってしまいます。上場廃止がおきれば投資家からのイメージダウンは避けられず、その後の資金繰りが困難となるでしょう。
銀行からの融資が止まることも考えられるため、企業経営を続けられなくなる可能性もあります。
反社チェックの重要性③ 法令違反のリスク
反社チェックを怠って反社会的勢力と関係を持った場合、法令違反に該当するリスクがあります。地方公共団体の条例である「暴力団排除条例違反」においては、反社会的勢力との関係が明るみになれば、罰則を受ける可能性があります。
会社に対して行政指導が入る可能性もあり、社会的な信用を失うきっかけにもなり得ます。
反社チェックの重要性④ 営業停止に陥るリスク
反社チェックをせずに企業取引を行った場合、会社の事業内容次第では営業停止を余儀なくされる可能性もあります。その間は営業活動が行えないため、企業にとっての利益が減少することになるでしょう。
また、社員が会社を信用できなくなり、退職してしまうなどのリスクもあります。
反社チェックの重要性⑤ 取引先から契約破棄を申し出されるリスク
反社チェックに力を入れずに反社会的勢力と関係を持ってしまった場合、既存の取引先から契約破棄を申し出されるリスクがあります。取引先の企業が「暴力団排除の条項」を契約書に設けている場合には、契約違反を指摘されて損害賠償等の問題に発展する可能性もあるでしょう。
取引先からの信用も失い、結果的に今後の取引ができなくなることが考えられます。
社内に反社チェックの重要性を周知するのもポイント
反社チェックを実施する際には、社内に向けてその重要性を周知させることもポイントです。
しっかりと反社チェックを行えるように、以下を参考に社内への周知方法を確認してみましょう。
反社チェックのリスクを社内教育などで周知する
反社チェックを行うときには、反社会的勢力と取引をするリスクについて、社内教育を通して周知させることが重要です。社員それぞれが反社と関係を持つリスクを理解できれば、安易に接点を持つことがなくなります。
普段の行動にも注意を促せるため、反社側からのアプローチを回避しやすくなります。
反社に対する基本的な行動指針を明確にする
反社に対してどのような対応をすべきなのか、基本的な行動指針を会社で明確にするのもポイントです。
個々の判断に任せるのではなく、会社が示した行動に合わせて対応することで、社員に危害が及ぶリスクを避けられます。
また、社員個人が反社との関係を持った場合、懲戒解雇などの対象になるといった方針を示すことで、行動を抑制することも可能です。
反社チェックの重要性が広まった理由とは
近年、反社チェックは企業にとって、欠かせない業務のひとつとなっています。反社チェックの重要性が広まった理由には、以下のような背景があります。
政府方針によって重要性と対応が明確化された
反社チェックの重要性は、政府方針によって反社と関係を持つことのリスクや、対応方法が明確化されたことによって広まりました。例えば2007年に発表された政府指針「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」や、各都道府県における「暴力団排除条例(暴排条例)」によって、反社会的勢力との関係における方針や考え方が明確になっています。
企業はこのような政府および各都道府県の方針を参考に、反社チェックの重要性を理解する機会が増えました。
反社チェックの重要性が分かる事例
反社チェックの重要性を理解するためには、過去の事例を参考にするのがポイントです。
例えばスルガコーポレーションは反社会的勢力との取引が発覚したことで、信用を失い金融機関等からの資金調達が困難となり、2008年6月24日に民事再生申立てを行うまでに至りました。
また、取締役らが仕手筋から恐喝を受け、300億円を交付した「蛇の目ミシン事件」も有名な事例です。反社会的勢力に資金を提供したことで裁判は最高裁までもつれ、結果的に取締役らの忠実義務・善管注意義務違反および利益供与禁止規定違反が認定されました。
これらの事例を参考にすると、反社会的勢力との取引に、どれだけリスクがあるのかが分かるでしょう。
反社チェックを徹底して問題の芽を摘み取ることが、これからも企業にとってのリスクヘッジになるでしょう。
反社チェックを行う際に重要なポイント
反社チェックを実施する際には、いくつか重要なポイントがあります。
取引企業の情報を正確に把握する
反社チェックを行う場合、まずは商業登記情報をチェックして企業情報を把握します。商号、本社所在地、役員などの情報と、公開されている内容に齟齬がないか照らし合わせましょう。
各種会社の情報が頻繁に変わっている場合などは、反社会的勢力に属する企業として疑う理由になります。
インターネットを使う場合は情報の真偽に注意する
もっとも簡単かつコストのかからない方法として、インターネットを使った反社チェックも行われています。ネットを調べるだけなので簡単に反社チェックが行えますが、そこに掲載されている情報が全て真実とは限らない点には注意が必要です。
例えば会社名や代表者名がヒットしなかったからといって、相手が反社ではないという確証は得られません。少しでも疑わしい部分があるのなら、ネット以外の方法でさらに深くまで反社チェックを行う必要があるでしょう。
契約前に「反社会的勢力の排除条項」を作成する
反社チェックを行う際には、事前に契約用の書面に「反社会的勢力の排除条項」を作成するのもポイントです。反社会的勢力に対してしっかりと対応していることを示すことで、怪しい企業からのアプローチを防止できます。契約時に条項に対する相手の反応が怪しい(書面から削除できないか聞いてくるなど)場合には、こちらから取引を断ることができるでしょう。
反社チェックの専用ツールなどを活用する
反社チェックに使う時間が取れない場合には、調査専用ツールを活用するのもおすすめです。専用ツールの導入は調査時間の短縮と正確性の向上のほか、反社チェックのための環境を社内に完備できるメリットがあります。
反社チェック後に行うべき対応策
反社チェック後に相手企業に反社会的勢力の疑いがかけられた場合、以下の方法で対応を行います。
反社チェック後の対策① 理由を伝えずに取引を中止する
反社チェックの結果、相手が反社会的勢力と疑われる場合には、取引の中止を告げます。その際にはトラブルやクレームを避けるために、中止の理由を伝えないように注意しましょう。どうしても理由を聞かれる場合には、「弊社の都合」や「厳正な審査の結果」といった言葉で対応するのがポイントです。
反社チェック後の対策② 弁護士や警察に相談する
反社チェックによって相手企業が反社会的勢力であることが確定したなら、まず弁護士や警察に相談しましょう。具体的な対応方法の指導を受け、その通りに実行してスムーズな解決を測ります。
特に、ある程度仕事の話が進んでしまっている場合には、弁護士や警察に仲介してもらうことも考えなくてはなりません。
まとめ
反社チェックは、企業として健全な経営をしていくために欠かせない作業です。この機会に、反社チェックの重要性を再度確認し、リスク回避をできるように備えましょう。
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