登記簿謄本は、会社の起業時に法務局で登録し、法人であることの証拠となる書類です。会社の決算申告や登記の変更などで必要となります。担当者の中には、何度も法務局に足を運んでいる人も多いのではないでしょうか。この記事では、登記簿謄本の種類やオンラインで登記簿謄本を取得する方法を解説します。社内の業務効率化に役立ててください。
目次
法人の登記簿謄本とは
法人の登記簿謄本とは、会社が法人として認められるための登記手続きを完了することで取得可能な書類です。法人登記の目的は、法人が日本に実在することを証明することになります。法人登記には、社名や住所、設立年月日、設立の目的などが記載されています。
法人の登記簿謄本によって、日本に実在する会社であるということが証明されるため、法人での手続きの際に証明書として使用されます。登記事項証明書と混同されることがありますが、内容は同じです。登記事項証明書は、コンピュータ処理している内容を印刷したものになります。登記簿謄本は、登記所で登記用紙に記載している登記を複写し発行したものです。
法人の登記簿謄本の種類
登記簿には、法人登記や商業登記、不動産登記の3種類があります。それぞれ登記簿謄本を取得することができて、登記事項を証明することが可能です。この記事では、法人の登記簿謄本について解説します。
現在事項証明書
現在事項証明書は、過去の登記変更履歴などは記載されておらず、現在において効力のある登記情報のみを証明する書類です。現在事項証明書は2種類あります。1つは、現在効力のある全ての情報が記載された、現在事項全部証明書です。もう1つは、必要な一部の事項のみが記載された、現在事項一部証明書になります。用途に合わせて申請しましょう。
履歴事項証明書
履歴事項証明書は、現在事項証明書に記載されている事項に加えて、過去の登記履歴まで証明する書類です。法人登記では、役員が抹消されたり、追加されたりした事項や株式の発行部数が変更された場合など、全ての履歴を証明できます。
なお、登記の変更などが記載される期間は限定されています。履歴事項証明書の交付請求日の3年前の1月1日から、交付請求日までです。
履歴事項証明書も、登記事項の全てが記載された履歴事項全部証明書と、必要な部分のみが記載された履歴事項一部証明書があります。法人の登記簿謄本といえば履歴事項全部証明書のことです。
閉鎖事項証明書
閉鎖事項証明書は、閉鎖した登記事項が記載された証明書です。履歴事項全部証明書には、閉鎖した登記事項が記載されません。閉鎖事項証明書も、閉鎖事項全部証明書と、必要な部分だけが記載されている閉鎖事項一部証明書があります。
代表者事項証明書
代表者事項証明書とは、会社の代表者の代表権に関する事項が記載された証明書です。代表権の資格や現在効力のある事項が記載されているため、資格証明書の代替とすることが可能な書類となります。
法人で登記簿謄本が必要なケース
法人が登記簿謄本を必要とするケースは多種多様です。ここでは、代表的なケースを4つ紹介します。
登記の変更
法人が登記事項を変更する際には、登記簿謄本が必要です。登記事項には、役員や発行可能株式などが記載されています。また、新たな事業を展開するためには、登記の事業目的を追加記載しなければなりません。
登記変更の手続き中は、登記が確認できないため過去の登記を取得しておく必要があるのです。どこを変更するのか、そして、変更しない箇所はどこなのかを確認するため、履歴事項全部証明書を取得するとよいでしょう。
融資を受ける
法人が金融機関から融資を受ける際にも、登記簿謄本の提出を求められます。会社が金融機関に申告している情報に、間違いがないのかを確認するために使用します。
発行可能株式や役員の入れ替わりなども確認されるため、履歴事項全部証明書の提出が必要です。また、データではなく、紙の登記簿謄本が必要なので、事前に取得しておくとよいでしょう。
決算申告時
法人の決算申告時にも、登記簿謄本が必要となる場合があります。必ずしも必要な書類ではないのですが、税理士が、申告の基本情報を確認するために提出を依頼するケースがあるのです。
特に、顧問税理士に決算申告を依頼した1年目に、税理士から求められます。税理士を変更したり、登記事項を変更したりした場合には、予め準備しておくとよいでしょう。現在事項証明書で事足りますが、履歴事項証明書を必要とする税理士もいます。
補助金の申請
国をはじめとする行政は、必要に応じて補助金を支給するケースがあります。補助金の要件に当てはまるようであれば、補助金を申請しますが、その際に登記簿謄本の提出を求められます。行政は、補助金を支出するために、さまざまな書類を要求し、行政の指示に従って登記簿謄本を取得しましょう。
登記簿謄本の取得方法
登記簿謄本を取得する方法は3つです。法務局での取得や郵送による取得、そしてオンラインでの取得となります。
法務局で取得
ITが進化する前は、登記簿謄本の取得といえば、法務局で直接取得することでした。現在でも、法務局で取得するケースは少なくありません。全国どこの法務局でも取得できるため、利便性はよいといえます。
郵送で取得
登記簿謄本は、郵送でも取得できます。時間に余裕がある場合や法務局などが遠い場合に有効です。登記簿謄本の交付請求を郵送で行う場合は、返信用の封筒や切手、収入印紙600円分を同封して法務局に送付します。手続きにかかる日数は1週間程度です。時間とコストがかかることを認識して利用しましょう。
法務局のオンラインサービスで取得
法務局のオンラインサービスでも、登記簿謄本を取得できます。「かんたん証明書請求」を利用すれば簡単に登記簿謄本をはじめとする証明書を請求可能です。インターネットが利用できる環境であれば、だれでも利用できるサービスとなっています。
利用できる時間は、平日の8:30~21:00までで、手数料はインターネットバンキングやATMでの納付となります。手間が簡略化できて、コストも抑えられるため、登記簿謄本の取得におすすめです。
オンライン交付請求の手順
登記簿謄本の交付請求は、オンラインが主流になりつつあります。ここでは、オンラインでの交付請求の手順を解説します。
登記・供託オンラインシステムにアクセス
オンラインで登記簿謄本を交付請求する場合は、法務局が運営する「登記・供託オンラインシステム」にアクセスしなければなりません。下記のリンクからアクセスできます。
申請方法を登録
オンライン交付請求を利用するには、申請者の登録が必要となります。申請者を登録する際には、氏名や住所、電話番号、メールアドレスなどの入力が必要です。申請者IDとパスワードの入力もあるため、事前に好きな文字列を準備しておきましょう。
準備ができましたら、登記・供託オンラインシステムのトップページの「申請者情報登録」をクリックします。申請者情報をもれなく入力して「送信」しましょう。
申請者情報を登録するのは最初の1回だけです。2回目からは、準備したIDとパスワード入力ですぐに交付請求できますので、IDやパスワードを忘れないようにしてください。ただし、1年間ログインしないと申請者IDが無効になります。
証明書請求を行う
登記簿謄本の交付請求を行うには、サイトトップの画面左側にある「かんたん証明書請求」をクリックします。その際にIDとパスワードの入力が必要です。証明書請求メニューから「登記事項証明書」を選び、法人検索画面で会社を検索し、必要な登記簿謄本を選択します。交付方法は、「郵送」か「窓口受取」を選択できます。
手数料を納付
登記・供託オンラインシステムで登記簿謄本の交付申請が完了したら、処理状況照会画面を確認してください。そのページ内に「納付」があるのでクリックし、手数料の納付方法を選択しましょう。納付方法は、インターネットバンキングかペイジー(Pay-easy)です。
インターネットバンキングでの納付は「電子納付」をクリックし、納付手続きを進めることになります。ペイジーでの納付は、近隣のATMを利用するため、表示されている収納機関番号・納付番号などを正確に記載する必要があります。プリントスクリーン機能を使って、必要な番号を印刷する方法も便利です。
登記簿謄本の料金
登記簿謄本を取得するためには、取得方法に関わらず料金が発生します。取得方法ごとの料金は以下のようになります。
・法務局での直接取得(書面請求):600円
・郵送による取得(1通):600円+往復郵送料金約200円
・オンライン請求よる取得(郵送):500円
・オンライン請求よる取得(窓口交付):480円
まとめ
法人の登記簿謄本には4つの種類があり、必要なものを交付申請し取得します。申請方法は、直接法務局に出向くか郵送での申請が主流でした。しかし、法務局が運営する、登記・供託オンラインシステムを利用すれば、インターネットで交付申請できるようになっています。業務効率を上げられるため、多くの法人がこのシステムを活用しています。
オープンアソシエイツは、ビジネスのルールが大きく変わる時代にあって、新たなルールを作り出す側として果敢に挑戦している企業です。