「反社に関わる法律って何なの?」
「反社チェックって必要?」
反社会的勢力(以下、反社)との関係遮断を強く求められている現代において、このような疑問をお持ちになった方がいるのではないでしょうか。
この記事では反社に関わる法律や必要性、具体的な反社チェックのタイミング、取引先が反社だった時の対処方法などをまとめて解説しています。
目次
法律を守るために必要な反社チェックとは
主に企業が契約や取引を始める前に、取引先が反社と関係していないかを見極める作業を「反社チェック」といいます。
反社チェックを行うことで、自社が反社へ資金を渡すことを回避でき、すでに取引を行っている企業や人材との信頼関係の維持ができるなど、様々なメリットがあります。
反社会的勢力に関する法律とは
反社に関する法律は、各業界にも存在しています。
それは、現代において企業は法律や政府指針によって、反社との関係遮断を強く求められているからです。
この章では、反社に関わる法律として代表的な暴力団対策法と、金融業界に関わる犯罪組織移転防止法について解説していきます。
暴力団対策法
暴力団対策法(以下、暴対法)とは、正式には「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」といいます。民事介入暴力への対策を進め、暴力団員同士の抗争による市民への危害の防止を目的とした法律です。
暴対法が施行されたことにより、27項目の禁止行為が定められています。ここでは27項目のうち最初の5項目を紹介します。
1.口止め料の要求:事実を宣伝・公表しないことの対価として金品などを要求すること
2.寄付金等の要求:寄付金、賛助金、その他の名目で金品等を要求すること
3.下請け参入の要求:資材や物品の納入やサービスの提供を要求すること
4.みかじめ料の要求:縄張り内の営業者に対し金品等を要求すること
5.用心棒料等の要求:縄張り内の営業者に対し物品購入や用心棒料等を要求すること
参照:暴力団対策法
以上の禁止行為は暴力団員に対して法律で定められたものですが、全ての反社に定められたものではないことを押さえておきましょう。
犯罪収益移転防止法
犯罪収益移転防止法(参照:警察庁)とは、文字通り「犯罪で得た収益の移転を防止するための法律」です。
この法律を解説するうえで、マネーロンダリング(資金洗浄)という言葉を知る必要があります。
マネーロンダリングとは、お金の出どころをわからなくすることをいいます。
マネーロンダリングの例は下記の通りです。
薬物を売って500万円得たとします。この場合500万円の出どころは「薬物」です。
しかし、この500万円を使って宝石を購入後、再び宝石を売却して手に入れた500万円の出どころは「宝石」となります。
同じ500万円ではありますが、マネーロンダリングを行うことによって出どころがわからなくなります。
犯罪収益移転防止法(参照:警察庁)は上記のような問題を防止し、犯罪に関わる資金の流れを食い止めるために必要な法律です。
反社会的勢力とは
ここまで、反社チェックや反社に関わる法律についてまとめてきました。
では反社の定義とは何なのでしょうか。
反社とは、暴対法と政府の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(参照:法務省)によって以下のように定義されています。
「集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」
「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(参照:法務省)
そして、近年の反社の実態は以下のようになっております。
暴力団は、組織実態を隠ぺいする動きを強めるとともに、活動形態においても、企業活動を装ったり、政治活動や社会運動を標ぼうしたりするなど、更なる不透明化を進展させており、また、証券取引や不動産取引等の経済活動を通じて、資金獲得活動を巧妙化させている。
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(参照:法務省)
上記のように、近年、反社は組織を隠ぺいする動きが強まっているため、様々な反社を属性化し広く分類することによって、契約書を利用し炙り出さなくてはいけません。
具体的な反社会的勢力とは
先ほどの章で暴力団と出てきましたが、反社は暴力団に限りません。
暴力団を構成する暴力団員や暴力団準構成員、フロント企業も反社とされていますが、この章では主に以下の反社会的勢力についてまとめていきます。
- 総会屋
- 社会運動標榜ゴロ
- 特殊知能暴力集団
総会屋
株式を複数所有することによって株主総会に出席し、株主としての権利を乱用することによって会社から不当に金品を求める集団をいいます。特殊株主やプロ株主とも表現されます。
社会運動標榜ゴロ/政治活動標榜ゴロ
環境問題や人権問題といった社会運動を仮装・標榜し、不正な利益を求めて暴力的不法行為を行う可能性のある、市民生活の安全に脅威を与える集団又は個人を指します。
標榜とは自らの主義・主張などを明確に掲げ、示すことを指しますが、抗議デモとの判別が難しい一面もあります。
特殊知能暴力集団等
暴力団との関係を背景に威力を用いて、又は暴力団と資金的なつながりを有し、構造的な不正の中核となっている集団又は個人をいいます。
反社チェックの必要性とは
ここまで反社や法律、反社チェックそのものについてまとめてきました。
ではなぜ反社チェックが必要なのでしょうか。
反社との関係遮断を強く求められている中で、企業価値を維持し反社に利益を与えないためです。以下では5つに分けて反社チェックが必要な理由を解説していきます。
- 政府指針に従うため
- 都道府県別の暴力排除条例を守るため
- 企業価値の維持や存続のため
- 反社会的勢力への資金源を遮るため
- 企業のコンプライアンス(法令遵守)と社会的責任を守るため
それぞれ詳しく解説していきます。
政府指針に従うため
政府指針で反社との取引を含めた一切の関係遮断を求められているため、反社チェックを行う必要があります。
具体的には、2007年に発表された政府指針「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」の中の原則に、反社との関係遮断を要求しているものがあります。以下が原則の内容です。
1 反社会的勢力による被害を防止するための基本原則
○ 組織としての対応
○ 外部専門機関との連携
○ 取引を含めた一切の関係遮断
○ 有事における民事と刑事の法的対応
○ 裏取引や資金提供の禁止「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(参照:法務省)
しかし、政府指針であるため反社チェック自体には法的義務がないことも押さえておきましょう。
都道府県別の暴力排除条例を守るため
暴対法をはじめとする様々な法律が存在していても、法律のみで警察が反社全てを取り締まることは難しいです。この問題を解決するうえで生まれたのが都道府県別の暴力排除条例(以下、暴排条例)です。
条例は各自治体・都道府県で発令されるため、それぞれで内容は異なります。
例えば、東京都や大阪府、愛知県などでは不動産譲渡等における暴排義務が課されていますが、京都府では暴排義務は課されていません。
企業価値の維持や存続のため
反社と取引を行った場合、企業が存続できないほどの被害が生じる場合があります。反社との取引は資金提供を行ったとみなされるため、暴排条例違反で罰則が課されます。
さらに、上場廃止や銀行からの融資停止といったリスクを受ける可能性やコンプライアンス違反企業といったレッテルを貼られるかもしれません。
このような可能性を無くすためにも、反社チェックを徹底する必要があります。
反社会的勢力への資金提供を遮るため
何度も言いますが、反社と取引を持つことは反社に対して資金を提供することを意味します。反社は表では健全な経済活動を行っていたとしても、裏では犯罪行為に手を染めていることが多いです。
暴力団同士の抗争による殺人や傷害、一般市民を標的とした詐欺、違法薬物の密輸など反社による犯罪は数多く存在しています。
企業が反社と取引を行うということは、上記の犯罪行為を助長することに繋がり、企業が犯罪行為に加担していると評価されても仕方がないです。
反社を助長するような資金の提供は避け、反社チェックを通じて反社との取引を遮断することが求められます。
企業のコンプライアンス(法令遵守)と社会的責任を守るため
近年ではインターネットによる情報伝達技術が向上し、それゆえ企業に対する監視が強まり、コンプライアンスの重要度が増してきています。
反社は暴力や脅迫などの違法行為に関与する組織であり、コンプライアンスの観点からみて企業が関わりを持つべき存在ではありません。また、近年の法改正等の動向を考えると社会全体として反社を排除する方向性が明確になってきています。
そのため企業の社会的責任の観点から、厳格な反社チェックを行うことにより反社との関係性を徹底的に遮断して、企業が違法行為に加担する事態を防ぐ必要があります。
反社チェックが必要な場面とは
では反社チェックはいつ行うべきなのでしょうか。
反社チェックが必要な場面として、以下が一例として挙げられます。
- 従業員の採用時
- 取引開始・契約締結前
- 取引継続・契約更新前
- 資金調達・上場審査前
従業員の採用時には本人と親族が調査され、取引が継続する場合には定期的に反社チェックを行いましょう。
反社の具体的なチェック・調査方法5選
実際に反社チェックの方法はどのようなものがあるのでしょうか。
以下では具体的な反社チェックの方法を5つ紹介したいと思います。
- Google検索で確認する
- 企業の基本情報を確認する
- 反社会的勢力排除条項への反応を見る
- 専門機関に調査を依頼する
- 警察や暴追センターへ照会する
Google検索で確認する
世間に公表されている情報(公知情報)を調べて、反社かどうかを確認しましょう。
「データベースクリーニング」と呼ばれたりしますが、Google検索と新聞記事を併用して調べるのが望ましいです。
理由としては、Google検索は新しい情報を見つけるのは簡単ですが、過去の情報を見つけるのは難しいからです。
そのため、過去の情報が見つけやすい新聞記事のデータベースを利用することによって、企業の情報を詳しく調べることが可能です。
Google検索で法人名や取締役などの氏名を検索し事件やトラブル、反社との関係を調査します。その際に以下のようなキーワードを組み込むと割り出しやすいです。
キーワード検索時に使用するキーワードの例は下記の通りです。
暴力団
総会屋
検挙
摘発
逮捕
違反
脱税
行政処分
行政指導
詐欺
不法
違法
被害
脅迫
恐喝
横領
漏洩
着服
粉飾
迷惑
不正
情報収集を行った場合は、方法や日付、確認結果などの記録を残しておくのも重要です。担当者が変わった場合の引き継ぎも容易になり、企業の取組みの証拠を残せます。
企業の基本情報を確認する
取引予定の企業情報を、国税庁が出しているサイト「法人番号公表サイト」にて確認ができます。
先ほど紹介したGoogle検索と同じようなものですが、この方法は商号や名称、本店所在地から法人番号を検索できます。
検索した結果、法人番号がない企業や短期間で商号や本店所在地が変更している企業は注意しましょう。
反社会的勢力排除条項への反応を見る
契約する際に反社条項を定め、取引先の反応を確認する方法があります。
反社条項の内容を要約すると以下のようになります。
「私たち(自社)は、あなた(取引先)が反社だった場合や、反社と不当な関係を持っている場合、不当な行為をしていた場合は、あなたに報告することなく契約を解除します。」
上記のような反社条項を記載し、取引先が規約に抵抗してくるかどうかで判断しましょう。
また、報告することなく契約を解除することは無勧告解除といい、速やかに契約解除を行う上で重要な項目となっています。
専門機関に調査を依頼する
より正確性の高い情報を得たい場合や、Google検索での収集により取引先が反社の疑いがあると判断した場合は、専門機関である調査会社へ調査を委託する方法があります。
専門機関とは、信用調査会社や興信所などを指します。調査会社の調査方法は、官公庁情報や各種メディアの情報、内偵調査といった詳細なものや、独自のデータベースを元に検索する方法などさまざまです。
調査を依頼する際は、調査内容や費用なども確認・検討する必要があります。また、自社に顧問弁護士がいる場合は、弁護士に調査機関を紹介してもらうのも1つの手です。
警察や暴追センターへ照会する
警察や暴追センターへ照会することで、情報提供をしてもらえます。
情報提供を依頼する際は、調査対象者の名前や生年月日などの情報と、疑わしいと判断した内容や資料などを準備しておくと良いです。また、自社の「暴力団排除に係る特約条項」を定めた契約関連資料も持参すると良いです。
同様に、暴追センターにも情報提供を依頼できます。
流れは警察に依頼する時と同じように準備をして依頼するのが良いです。
取引先が反社会的勢力だった場合の対処方法
取引先が反社だと判明した場合、契約に規定される反社条項に基づいて契約の解除及び損害賠償請求を行えます。
もし反社条項の中に規定していなかった場合でも、反社と断定されること自体が重大な債務不履行に当たるため、民法の規定に基づき契約の解除と損害賠償請求を認められる可能性が高いです。
取引先が反社だと断定できた場合は、速やかに社内の関係部署に対して情報共有を行いましょう。さらに、警察署や顧問弁護士にも相談したうえで、できる限り穏便に契約解除に努めるのが賢明です。
万が一反社から報復を受けた場合は、警察や顧問弁護士などと連携して対応していきましょう。
反社チェックを行う際の2つの注意点
反社チェックを行う際の注意点を2つ紹介します。
- 反社チェックを継続的に行う
- 反社チェックツールに頼りすぎない
社会的責任を守るためにも理解しておきましょう。
反社チェックを継続的に行う
「反社チェックが必要な場面とは?」でも紹介したように、定期的に反社チェックするのが効果的です。
なぜなら、取引開始時には反社との関わりがなかった取引先の代表者や株主が、いつのまにか反社と関わっている状況も考えられるからです。
しかし反社と関わるリスクを減らせられるといって頻繁に行うと、担当者の負担を増やしてしまうことに繋がります。担当者の業務負荷を減らす為にも、反社チェックツールを使用するのが良いでしょう。
おすすめの反社チェックツールは「RoboRoboコンプライアンスチェック」です。
反社チェックツールに頼りすぎない
反社チェックは、反社チェックツール(以下、ツール)を導入するだけでは、完璧な反社チェックとは言えません。
理由として、ツールだけではチェック漏れが発生する場合があるからです。ツールは便利ではあるものの、同姓同名のような曖昧なものは人の手で確認しなければチェック結果は不十分なものになります。
ツールを導入する場合は情報収集をツールに任せて、判断が難しい部分を人間がチェックを行い、定期的にツールのチェック結果を人間が精査する、といった対応が不可欠です。
上記を注意・理解したうえで、RoboRoboコンプライアンスチェックを利用しましょう。
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・調査結果を一元管理ができる
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RoboRoboコンプライアンスチェックでは、反社チェックを最適化するために様々なシステムを導入しています。
そのため、幅広く反社チェックを行いたい方や、反社チェックを自動化させたい方に向けた反社チェックツールです。反社チェックツールの導入を考えているのであれば、RoboRoboコンプライアンスチェックを活用しましょう。
まとめ
今回、反社チェックに関わる法律や反社チェックの方法・必要性をまとめ、反社チェックツールを紹介しました。
反社会的勢力に関わる法律や対処方法は理解していただけたでしょうか。政府指針に従い、社会が一丸となって反社排除を推進しています。
人間が一から反社チェックをすると、時間がかかり非効率になる可能性があります。作業を効率化するために、反社チェックツールを活用しましょう。
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