後払いが一般的なBtoB取引では、与信取引の仕組みと適切な与信管理がなければ、未回収や貸し倒れといった重大なリスクにつながりかねません。
本記事では、与信の基本概念から与信管理の重要性、基準や具体的な進め方、与信限度額の考え方までを体系的に解説します。
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目次
与信とは
与信とは、取引代金を回収するまでの間、取引先に対して信用を与えることを指します。文字通り「信用を与える」行為であり、企業間取引において不可欠な考え方です。
商品やサービスを納品した際にリアルタイムに取引を完了できる場合は良いですが、企業間取引では複数回の取引が発生するケースがあります。そうしたケースでは請求書などを利用して、後払いすることが多いでしょう。
このような取引では、取引先と与信取引(信用取引)の契約を結びます。与信取引では信用による後払いを成立させる手続きを行います。そうすることで、取引の度に現金取引するよりも素早く取引ができます。(※1)
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与信管理の重要性について
与信管理とは、取引先に与えた信用を適切に管理し、確実に代金を回収するための管理業務です。最大限の取引額はどのくらいか、回収できなくなった時にどのようなリスクヘッジを行うかなどを細かく管理します。
与信管理が不十分な場合、入金遅延や未回収、最悪の場合は貸し倒れにつながるおそれがあります。このように、企業間で信用できる取引を行うためには、与信管理が欠かせません。(※2)
「取引先の与信管理の方法とは?重要性や管理基準、信用調査のポイントなど」では、与信管理について詳細に解説していますので併せてご覧ください。
与信管理を行う基準
与信管理を行う際は、あらかじめ明確な基準を設けておくことが重要です。ここでは、与信管理の2つの基準について解説します。1.自社の財務基準について
1つ目は、自社で財務基準を定める方法です。 取引の上限額である「与信枠」を自社で設定し、全ての企業に対して一定のルールを当てはめることで、与信管理の実施が可能になります。(※3)2.取引先の財務基準について
2つ目は取引先ごとに個別の与信基準を設けるという方法です。 この場合、相手に合わせて柔軟に与信基準を設定することができます。(※4)与信管理を行う方法と流れとは
与信管理は、次のステップで進めるのが一般的です。
- 取引先の信用調査を行う
- 与信審査を実施して判断する
- 与信を承認・否認する
- 与信事後管理を行う
1.取引先の信用調査を行う
まずは、取引を開始する前に、取引予定の企業が信用できるかを判断する必要があります。企業の信用を判断する材料として「外部情報」と「内部情報」があります。
外部情報は取引先の口コミやWebサイト情報、調査会社に依頼するなどの方法で正しい情報を閲覧することで確認できるでしょう。また、官公庁調査や側面調査を用いても確認ができます。
一方で、内部情報は取引先へ直接ヒアリングを行ったり、社内に直接営業担当が訪問したりするなど、社内がどのような状況かを確認することで判断できます。
2.与信審査を実施して判断する
2つ目は与信審査を実施して判断するという方法です。収集した情報をもとに、以下の分析を行います。- 定量分析: 決算書などの具体的なデータを分析する
- 定性分析: 企業の経営、資金繰りや事業内容などを数値化し分析する
- 商流分析:事業全体の流れを確認し、分析する
3.与信を承認・否認する
取引することが決定したら、与信を承認・否認する与信承認を実施します。 承認は主に以下の流れで行います。- 担当者の商談:取引先として問題がないかを確認する
- 情報収集と判断:収集した情報をもとにして、取引先との問題がないかを確認する
- 与信審査:分析を行い、取引の可否を決める
- 契約交渉:与信枠をもとに取引先との契約交渉をする
4.与信事後管理を行う
契約後も、売掛金の回収といった債務管理を行う必要があります。取引先の経営状況は常に変化するため、契約後も継続的な管理が必要です。例えば、取引先の資金繰りが悪くなっても同じサイクルで与信取引を行なっていたら、代金未納や滞納につながってしまうケースがあるからです。
そのため、与信管理が終わった後もヒアリングなどの管理を行い、取引先の契約継続可否など見直す必要があります。
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与信限度額を設定する上での考え方
与信限度額を設定する際、どのような基準を設ければ良いのでしょうか。ここでは、与信限度額を設定する際の考え方について解説します。与信限度額について
与信限度額とは、取引先に対して与える信用の上限額です。取引先が倒産してしまう場合などを考慮して、売掛債権等の与信に限度額を設けます。 基本的にはこの限度額を超える取引は行いません。そうすることで安全に取引が可能となります。与信限度額設定の方法
与信限度額の設定方法はいくつかありますが、自社の売上債権を基準にして与信限度額を設定するのが一般的です。売上債権とは、売上代金の未収分を受け取れる権利のこと。取引を頻繁に行う場合には取り入れやすくなっています。
一方で、取引先の純資産を考慮して基準をつくる方法もあります。
こちらは、取引先の仕入債務を考慮して与信限度額を設定する方法で、相手型の企業が仮に倒産してしまった場合にも配当を受け取れる可能性が出てくるため、非常に手堅い取引となります。
ただし純資産が少ない企業と取引する場合は、そもそも配当を受け取れない可能性が出てくるので、あまり効果的ではありません。
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与信調査を行う必要性とポイントとは
与信調査とは、取引先の支払能力や信用力を見極めるための調査です。長期的に安心して取引を行える企業なのかを判断する調査を行います。
与信調査は万が一倒産してしまった場合に、未納代金の返済能力を測るために必要です。既に貸し倒れが起こっている場合や、業績が伸び悩んでいる場合には代金回収ができなくなる可能性もあります。
与信調査を行う場合は、取引先の財務状況や業績などを判断材料として、支払い能力を見極めましょう。 取引先の資産状況や売上の増減、在庫状況などをしっかりと把握し、安全に取引ができるのかをチェックする必要があります。
また、返済には信用力が肝心で、取引先の企業に固い支払いの意思があるのかを判断することは大切です。資産の差し押さえや代金を回収できないなどのトラブルに発展しないためにも、入念な与信調査を欠かさず行いましょう。
関連記事:【信用調査会社ランキング】タイプ別の与信調査方法や企業の与信情報取得について解説
関連記事:与信調査にかかる費用と期間は?部門間で協力体制を作るべき3つの理由
まとめ
与信管理は、企業が安心して取引を継続するために欠かせない業務です。定量データだけでなく、定性分析や商流分析を組み合わせ、総合的に判断することが重要となります。
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【参考】※1 経済産業省|企業間取引・信用取引の考え方
※2 中小企業庁|下請取引・企業間取引の基本的な考え方
※3 日本商工会議所|売掛金管理・与信管理の基本
※4 中小企業庁|取引先管理・債権管理の考え方
※5 金融庁|財務情報の読み方(決算書の基礎)
※6 中小企業庁|債権管理・回収

