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企業の価値を守る信用調査とは一体どんな調査なのか

「信用調査をすることになったが、そもそも取り組む重要性はどこにあるのだろうか」「信用調査おこなうにしても、どんな観点を抑えればよいのだろうか」「信用調査を通じて、どんなリスクを回避できるのだろうか」と疑問や不安を抱えていないでしょうか?

信用調査は企業間の取引を始める際に一般的に行う調査です。

企業間取引(BtoB)において取引相手のことを知るために行う調査で、取引相手の経済状況や技術力、長所、販売ネットワーク、コンプライアンス意識など、取引における支払や将来性に対する「信用」(=信用力)を裏付ける情報を集めるものです。

ここでは具体的に、信用調査とはどういうものであるのか、その調査の手順を具体的に解説していきます。

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取引が拡大する時に必要となる企業間の信用調査の重要性

さまざまな情報をもとに行うため、調査の重点を置くポイントによって「与信調査」や「コンプライアンスチェック」とも呼ばれます。

与信調査と信用調査は同義であり、どちらもビジネス上の取引において相手先が信頼に値するかということを調査することを指します。

経営者の人柄や身上、企業の収益面での債務履行能力と、事業状況(体制、離職率など)の両方の面から調査を進め、分析してリスクから企業の信用力を評価します。

信用調査とは一体なんなのか

信用調査では、新しい取引を始める時に、取引相手として信用に足る存在であるかということを下記5つの観点において調べ、判断します。

・安定した販路を持ち、今後も長期に渡って問題なく経営が行われる基盤の有無
・経営者や役員など意思決定権を持つ人物の人柄や身上
・相手企業の収益面での債務履行能力
・万一の場合、企業生命に大きなダメージを受ける反社会的勢力などの繋がりの有無
・企業コンプライアンスに対する取り組みの有無

この5つの観点で精査していくことで、どれくらい信用できる企業なのかということがわかります。

例えばヒット商品によって今現在は大きな売り上げを計上していても、販路が単一で他に強みがなければ、企業の持続性という点で不安が残ります。売上に寄与する商材を社内の少数の人材に頼る、属人性が高い企業も、安定性では不安です。

代替わりした経営者がまったく畑違いだったために、それまで順調だった経営が急に立ち行かなくなるケースもあります。こういった情報の一つ一つが、信用力の判断材料になります。

逆に大きな経営改革によって順調に売上も長所も伸びていることも、信用調査によって知ることができます。

また、信用調査は取引先に対する信用力の判断材料に限られません。信用調査の結果、調査対象となった企業も自社の強みを再認識し、新しい営業展開に繋がったケースは多数あります。

お互いに気持ちよく長期に渡って安定して取引を続けていくために、信用調査は重要なポジションにある調査です。

信用調査を通じて収集したい3つの情報

ここまで信用調査でおさえておくべき5つの観点を解説してきました。この観点をおさえた上で、信用調査を行う際に、収集したい3つの情報について解説していきます。

・経営者についての情報
・事業の実態に関する情報
・決算書や経営状況や財務状況の情報

経営者についての調査は、社長の影響が大きい中小企業ほど大切です。過去に取引先とトラブルを起こしていないか、経営に対して誠実な対応をしているか、金融機関等との取引を円滑に行っているかなど、企業としての資質にも影響します。

取引を開始する前に会社訪問した際に、経営者や意思決定権を持つ役職者と面談を通じて、経営方針や人間性、社内の雰囲気などの観察とともにヒアリングを行います。

次に会社の事業規模に対し、生産や販売の体制が整っているか、事業規模に見合った人員数や経営計画を行っているかを調査し、判断します。売掛金の支払いが滞らないだけの売上収入が確保できているかは、信用調査において大切なポイントです。

業績が伸びていても、急激な成長に対して社内体制の整備が追いついていない場合は、なんらかの問題が発生する予兆である可能性もあります。

最後に決算書などから資産状況や財務状態が健全であるか、万一の場合に売掛債権の回収がどれくらい可能であるかなどを判断します。担保余力や流動資産の金額などをよくチェックして、資金繰りに不安が生じないか確認します。

以上の3つの情報を収集できれば取引の有無を判断することができるでしょう。しかしながら、これだけの情報量を調査するためには、人的リソースも費用もかかります。

そこで一般的には、信用調査には規模やコストの面を踏まえ、自社で行う場合と外部の信用調査会社に委託する2つの方法があります。

自社で行う場合の信用調査

自社で行う場合、訪問してのヒアリングや決算書の取り寄せからの調査が中心になります。メリットは聞き取り調査に関してはとても早く行えます。デメリットはどうしても評価が主観的な情報に限られる点です。

自社での信用調査を行う場合、ヒアリングするべき内容を調査表にまとめ、数回に分けて調査を行います。

・経営者の人柄や職場の雰囲気を調べる傍ら、出入り業者からのヒアリングを行う
・不動産登記簿などを調査する
・資産情報を調査する場合、担保設定権者と金額を調べる
・決算書の入手を打診する

信用調査は自社のみでの調査には限界があることを理解した上で行う必要があります。銀行や取引先に対する調査は難しく、また、心証を悪くしないようにヒアリングするには営業担当者の個人的なスキルに依存してしまいます。

自社での調査は公知情報の検索(過去新聞記事データの検索、インターネット記事データの検索)や登記簿の取り寄せなどの「一次スクリーニング調査」にとどめ、それらの情報をもとに疑わしき場合には、専門の調査会社に依頼することをお薦めします。

また自社でおこなう信用調査のうち、外部サービスを利用することも担当者の業務負荷を軽減し効率よく他社の情報を調べることができるので、こうした外部サービスを適宜利用することも知っておくと損はないでしょう。

反社チェックツールと呼ばれるツールは、調査対象の名前とネガティブキーワードを組み合わせ、新聞や雑誌の過去記事やWEB検索を行い、問題行動がなかったかを調べる反社チェックを補助してくれるツールです。

しかし一方で、オンラインで収集される情報は非常に多く、同じ組み合わせでもドラマや映画、小説などの記事や、同姓同名のまったく関係のない人の情報なども混じってしまいます。

そのためツールを導入する際には、無関係な情報をどれだけ選り分けて人間がチェックしやすくする機能があるのか検討する必要があります。単純に機械的に情報を収集するだけでは、かえって掛かる労力が増えてしまいます。

RoboRoboリスクチェックは自動的にWebから取引先のコンプライアンス情報を収集して、注目するべき点をマーキングしてくれるため、信用調査の定期的な更新が効率化されます。目視でのチェックが要な部分は、大幅に削減されるため、社内の工数削減が見込めます。

専門企業に依頼する信用調査

信用調査を専門とする企業は、全国規模では帝国データバンクと東京商工リサーチが最大手ですが、業界に特化した調査会社もあります。信用調査会社に依頼すると、以下のような流れで調査が行われます。

・信用調査会社に調査を依頼する
・信用調査会社から調査対象の企業へアポイントの連絡を行う
・信用調査会社が調査対象の企業に直接訪問し、様々な調査を行う
・訪問した調査結果をもとに、商業登記簿などの一般に公表されている情報や、信用調査会社の独自のデータベースから総合的な情報を分析し、調査報告書を作成

信用調査の専門企業に依頼する場合のメリットとデメリットは以下の通りです。

▼メリット
自社調査では入手が難しい多面的な情報の入手をもとに客観的な判断が行えること

▼デメリット
最短でも大体2週間程度の期間が必要となることと、1社あたりの費用が2万円前後かかること

こうして提出された調査報告書をもとに、取引先に対する信用力を評価し、契約条件の交渉に臨むことになります。自社調査と異なり、専門の調査員による客観的評価になるため、思い込みによる過大評価がもたらす悪影響はありません。

また、「おたくの営業さん、根掘り葉掘り聞いてきて感じ悪いよ」という会社に対する心証の悪化も避けられるので、スムーズな取引に入れます。

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信用調査は3つの経営リスクを回避することが可能

信用調査は企業間の信用力を客観的に評価し、3つの経営リスクを回避するために重要な役割を果たします。

1)適切な取引額限度額を設定し、売掛金未回収リスクの回避
2)反社会的勢力の関与など、コンプライアンスに反した企業との取引リスク回避
3)ビジネスチャンスを見逃すことによる将来的な事業機会損失リスク回避
適切な取引額限度額を設定し、売掛金未回収リスクの回避

取引を開始する際に、相手企業の財務状況を把握することで取引限度額を設定するのが一般的です。これを「与信限度制度」と言い、取引金額の上限を取引先毎に設定して、会社が過度の経営リスクを負わないようにする取り組みとなります。
では取引先に対する取引限度額をいくらに設定すれば良いのでしょうか?設定に当たっては、「必要な範囲内」かつ「安全な範囲内」という原則を守ることが重要になります。

まず、「必要な範囲内」について、各取引先との取引限度額を設定することを意味します。取引限度額については、以下の計算式で算出することができます。

(月間売上見込み額×売掛期間月数) + (月間売上見込み額×手形期間月数)

例えば、「月末締め翌月末振出、振出日起算90日後手形」という条件で取引するとします。回収までの期間は、売掛期間が2ヶ月で手形期間が3ヶ月の合計5ヶ月となります。したがって、必要な限度額は、月間売上見込み額を100万円とした場合、100万円×回収期間5ヶ月=500万円となり、多少の変動を考慮して500~550万円で設定します。

次に、「安全な範囲内」について、特定の取引先に与信限度額や与信枠が偏らないように、全体の取引額(100%)のうち各取引先との取引シェアを設定することを意味します。

万が一、取引先の倒産等により売掛債権が回収不能になった場合でも、純資産の一定範囲であれば自社の存続に関わるようなことになるのを防ぐことが可能になります。

反社会的勢力の関与など、コンプライアンスに反した企業との取引リスク回避

取引先に万一反社会的勢力との繋がりがある、あるいは、繋がりの疑惑が持ち上がってしまうと、企業の信頼は失墜し、信用が失われて企業価値の大幅な下落に繋がります。最悪の事態としては、上場企業の場合、上場廃止や存続の危機に立たされる可能性もあります。

昨今、反社会的勢力と関係のある人物や団体との取引は法令や各都道府県の条例によって排除することが義務付けられるようになり、万一取引があった場合、様々な罰則や処分が課せられるようにもなっています。

万一の場合でも、信用調査を適切に行っていれば、係争に発展したときに自社が可能な限りの排除の努力をしたという証明にもなり、最終的には企業の価値を守り存続させることに繋がります。このように、信用調査は、経営リスクを回避するリスクヘッジとしての効果もあります。

ビジネスチャンスを見逃すことによる将来的な事業機会損失損失のリスク回避

信用調査は他社の経営情報を知り、分析できる優秀な資料となります。

取引先だけでなく、その先にどのような繋がりがあり、企業同士の関係性がどうなっているのかを把握することは、経営リスク管理と同時にビジネスチャンスの掘り起こしにも繋がります。

信用調査で得た取引先の企業データをもとに、どのようなマーケティングが相手企業にとって有効であるのかという情報を分析したり、取引先のその先にあるものを分析して新規提案の機会を得たり、新規開拓のためのマーケティング資料にもなります。

相手企業の考え方や資産状況と関係企業の繋がりを掘り下げることで、取引先に対してより刺さる提案を行うための営業交渉の資料として活用できる貴重な資料と言えるでしょう。

一見リスクに見えても、自社が加わることで新しいビジネスを開拓できるチャンスになりえる可能性も、信用調査から見えてくるポジティブな情報の一つです。

信用調査によって得られる経営リスク回避と事業機会の最大化

いかがでしたでしょうか?本記事では、信用調査を取り組む重要性、信用調査を通じて収集したい3つの情報、そして信用調査の取組を通じて回避できる3つの経営リスクについて具体的に解説してきました。

信用調査の目的は、企業の経営リスクを回避することを目的にありますが、定期的かつ継続的な信用調査の取り組みを通じて、自社の事業機会を増やしたり、拡大する一助になることも理解いただけたのではないでしょうか。

本記事が信用調査に取り組むみなさまの後押しとなる一助になりましたら幸いです。

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