反社チェックは企業のコンプライアンスを守るために、欠かせない作業のひとつです。しかし、反社チェックで手に入れた情報が必ずしも正しいとは限らず、ときには同姓同名の別人をピックアップしてしまうケースもあります。
本記事では、反社チェックで同姓同名の人物の情報を見分ける際の対処法や、審査方法について解説します。
反社チェックの実施対象と目的
反社チェックは政府による指針や、都道府県の暴力団排除条例(暴排条例)で実施努力が定められている行為です。新規取引先となる企業やその代表者、経営上層部に当たる役員などがチェック対象になります。
また、自社で新たに役員を就任させるときにも、本人や親族の反社チェックを行うことがあるでしょう。
新しく雇い入れる税理士や弁護士なども対象になり、反社会的勢力ではないことを事前に確認します。
反社チェックの方法とは
反社チェックの具体的な方法には、以下のような手段があります。
1.検索エンジンで調査する
検索エンジンを利用したインターネット上の調査は、反社チェックの基本です。反社チェックの対象となる人物や会社の名前に「反社」「恐喝」「トラブル」といったキーワードをプラスして検索し、同姓同名の人物がヒットしないか確認しましょう。
検索エンジンを使った反社チェックは低コストで行える一方、信憑性に欠けるというデメリットがあります。仮に検索結果で同姓同名の人物がヒットしても、裏どりやその他複数の情報源を組み合わせて真実かどうか確かめるのが重要です。
2.データベースで検索する
反社会的勢力の情報をまとめているデータベースの活用も、反社チェックの方法のひとつです。信頼できる情報源を活用することで、仮に同姓同名の人物がヒットしても実際に調査対象となっている人物かどうかを確認できます。
反社情報をまとめているデータベースを活用するには、調査会社や専門の機関に依頼するのが一般的です。
3.新聞情報を検索する
過去の新聞の掲載情報も、反社チェックにおいては重要な情報源です。新聞検索サービスを活用して相手企業の法人名や代表者名、株主などを調査してかつて反社とつながりがなかったか確かめてみましょう。
ネットではなく新聞の記事にしか残っていない情報もあるため、反社チェックを実施する際には新聞データも参考にするのが基本です。
4.調査会社に依頼する
反社チェックで複数のデータベースやサービスを活用しても判断ができない場合には、調査会社に依頼しましょう。調査会社は独自の照会システムを保有しているため、個人や法人に対して正確な調査が可能です。
仮に同姓同名の人物がヒットしたとしても、きちんと調査対象となる人を区別した上で調査結果を報告してくれます。
具体的な取り組みや方法については「反社チェックが必要な理由や具体的な方法」の記事にて記載しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。
反社チェックで同姓同名だった場合の対処法
反社チェックの結果、同姓同名の人物が複数名ヒットした場合には、以下の対処法を試すことがおすすめです。
1.生年月日を照会する
反社チェックで同姓同名の人物が見つかった場合、まずは生年月日を確認しましょう。生年月日は異なるケースが多いため、どの人物が調査対象になるのかすぐに分かります。
反社チェックを実施する際には、調査対象の人物の名前だけでなく、生年月日も把握しておきましょう。
2.企業名で照会する
反社チェックにおいて同姓同名の人物を発見した際には、所属企業名や取引先、働いている業界などを照らし合わせることでも確認が取れます。その人物を取り巻く環境や状況を把握した上で反社チェックを行えば、同姓同名の人物がヒットしても判断は容易となるでしょう。
3.複数のソースで裏どりをする
生年月日や企業名の他にも、新聞、関連会社、業態、地域などの各種ソースを使って裏どりをすることで、同姓同名の人物でも特定が可能です。名前以外の要素が完全に一致しているケースはほとんどないため、情報量が多いほどその人物を確認しやすくなります。
反社チェックの際には、まず調査対象の情報を可能な限り集めて、判断材料を複数持っておくことがポイントです。
反社チェックをする場合の注意点
反社チェックを実施する際には、以下の注意点を事前に確認しておきましょう。
判断や審査結果を残しておく
反社チェックを行ったときには、その状況や審査結果を詳細に記録しておく必要があります。
調査が適正な方法で行われ、明確な判断基準によって結果が導き出されたことを証明できなければ、反社チェックの効果を活用できない可能性があるのです。
具体的には、「いつ」「誰が」「どのような条件で調べたのか」といった情報を、検索履歴やデータで証拠にして残すことが必要です。
各種情報は社内のデータベースに保管し、いつでも引き出せるように整備しておきましょう。
反社チェックの結果グレーの場合はどうするのか
反社チェックの結果次第では、相手企業や代表者が反社会的勢力であると完全に判断できないケースもあります。調査結果がグレーな場合、政府指針においては特別な措置等は行わなくてもよいとされています。
クロと断定できない場合には、取引先から排除する必要はなく、通常の企業と同列の扱いをしても問題ありません。金融業界における反社チェックの見解でも、きちんと情報収集を行った結果クロと断定できない場合には、取引解除や遮断の措置をしなくてもよいとされています。
完全に反社であることを断定できなかった場合には、注意はしつつも通常通りの関係性を築いても問題ないでしょう。
反社と判明した場合の対処法
反社チェックの結果、同姓同名の相手が反社であると判明した場合には、以下を参考に対処法を実施しましょう。
1.弁護士や警察に相談する
反社であることが分かったら、まず弁護士や警察にその事実を報告します。
プロフェッショナルに話を聞いてもらうことで、具体的な対処法の指示をもらえると同時に、安心感を得ることができます。日々の業務に支障が出ないように担当者の精神的なケアが必要になる場合もあるため、弁護士や警察に相談した実績を作っておくことは重要です。
事前に警察に相談しておけば、仮に取引中止を持ちかけてトラブルになった際にも、迅速な対応をお願いできます。
2.取引中止の理由を伝えない
反社チェックの結果は、取引中止時に相手に伝える必要はありません。「こちらの調査で反社だと判断した」と伝えることは、相手に反論の機会を与えることになります。状況によってはその後営業妨害や嫌がらせなどに発展する可能性もあるため、反社チェックを行った事実は基本的に伏せるようにしましょう。
どうしても理由を求められる場合には、「自社の審査基準に満たないため」といった抽象的な理由を提示し、穏便に契約を中止の方向に進めます。
まとめ
反社チェックの結果、同姓同名の人物が複数見つかってしまうケースは珍しくありません。
同姓同名の人物の判断に迷ったときには、本記事を参考に調査対象となる人物の特定を行ってみてください。
反社チェックを適切に行いたい場合には、専用ツールである「RoboRoboコンプライアンスチェック」の利用がおすすめです。RoboRoboコンプライアンスチェックはクラウドを経由して、自動で企業倫理や社会規範を逸脱する行為をしていないか確認できます。
検索結果が記録されるため、チェックを行った証拠の管理ツールとしても機能します。新聞記事も同時に検索できたり、上場準備に使えたりと、多くのメリットがあるツールです。導入コストも他社と比べて安いことから、はじめて反社チェックツールを使う際にも利用を検討しやすいです。
この機会にRoboRoboコンプライアンスチェックを導入して、常に反社チェックを行える環境を自社に確立してみてはいかがでしょうか。