近年、企業の法令違反が特に問題視されるようになりました。ビジネスを円滑に進めるためには、法令遵守を意識する必要があります。
この記事では、自社のコンプライアンスを強化したいと考えている企業へ向けて、法令違反の事例やブラック企業リストの傾向などを解説します。法令違反をしないための注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
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企業における法令違反とは
企業における法令違反とは、おもにコンプライアンス違反のことです。法令だけでなく、社内ルールや倫理に関する行為も含めて法令違反と考える場合が多くなっています。ただし、法令違反の定義が広くなっているものの、明確な基準があるわけではありません。そのため、企業はさまざまなことに配慮し、違反を侵さないように慎重に行動する必要があります。
法令違反の具体的な事例については、以下で紹介します。
企業における法令違反の事例
ここでは、企業の法令違反について、具体的な事例を紹介します。
著作権侵害
他人の著作物を無断で使用すると、著作権侵害に該当します。法人が著作権を侵害すれば3億円以下の罰金を課される恐れがあります。著作権に気づかず無断使用した場合も責任を問われるため、注意が必要です。
実際に著作権侵害を起こし、社内で処分を下した事例もあります。ある企業が運営するキュレーションメディアでは、記事の一部について著作権侵害の可能性を指摘されました。最終的に、経営体制の見直しや役員報酬の減額などが行われました。
食品問題
食品を扱う企業では、賞味期限や産地などの偽装表示が行われるケースがあります。食に対する関心が高まっているため、食品に関する法令違反をすれば自社の信頼を大きく低下させる原因になるでしょう。
飲食店を経営するある企業は食品衛生管理に問題があり、廃業しています。この飲食店では生肉を提供していましたが、食品衛生管理の不徹底により食中毒が発生しました。死亡者も複数出たため、世の中に対して大きな衝撃を与えました。食品は人の命に関わるため、法令違反は重大な問題です。
労働問題
労働問題の法令違反としては、長時間労働、賃金の未払い、不当な解雇などさまざまな内容があげられます。ある企業では、社員を不当な労働条件で働かせていました。4人の社員に対する労働基準法違反が発覚し、そのうち1人が過労により自殺しています。
この事件は略式起訴ではなく、通常の公判手続が行われています。さらに多くの社員の違法残業も明るみになり、世間から大きな注目を集めました。
ブラック企業リストとは?
ブラック企業リストとは、厚生労働の「労働基準関係法令違反に係る公表事案」のことです。過去に労働基準関係法令に違反をした企業がリスト化されています。違反した法令の種類や内容についても記載されているため、詳細まで確認可能です。
法令違反をした企業について調べたい場合は、ブラック企業リストが役に立ちます。「労働基準関係法令違反に係る公表事案」については、以下で確認してください。
※参考:労働基準関係法令違反に係る公表事案(令和3年1月1日~令和3年12月31日公表分) | 厚生労働省
ブラック企業リストの傾向(2021~2022)
令和3年度分(1月1日〜12月31日公表分)のブラック企業リストでは、労働安全衛生法違反の割合が最も多いです。全体のうち多くが労働安全衛生法となっています。社員の労働環境に問題があるにかかわらず、そのまま作業させていたケースが多いです。
労働安全衛生法違反以外には、最低賃金法違反があげられます。ブラック企業リストを確認すると、このように社員への配慮を徹底できていない企業について把握できます。
※参考:労働基準関係法令違反に係る公表事案(令和3年1月1日~令和3年12月31日公表分) | 厚生労働省
ブラック企業リストの有用性と問題点
ここでは、ブラック企業リストの有用性と問題点についてそれぞれ解説します。
ブラック企業リストの有用性
取引先についてさまざまな観点から情報を得たいときは、ブラック企業リストを確認してみましょう。悪質な運営をしている企業を把握できるため、取引を事前に回避できるでしょう。
また、実際に起きている違反の内容を確認すれば、自社のコンプライアンス違反の防止にもつなげられます。実際、ブラック企業リストの公表により、多くの企業に対する啓蒙になっています。ブラック企業リストを参考にし、自社が違反を侵さないように対策しましょう。
ブラック企業リストの問題点
ブラック企業リストに掲載されていない企業のなかにも、悪質な企業は存在します。そもそもブラック企業リストに掲載されているのは、労働基準関係法令に違反した企業だけです。また、掲載されているのは特に悪質な企業であり、軽度の違反であれば公表されていない可能性があります。
よって、相手企業がブラック企業リストに掲載されていないからといって、必ず信用できるとは限りません。ほかの方法でも調査し、総合的に判断しましょう。
企業が法令違反にならないための注意点
企業が法令違反をしないためには、さまざまなことを意識する必要があります。ここでは、具体的な注意点について解説します。
社内規則やマニュアルを作成する
法令違反を防ぐには、社内規則やマニュアルの整備が重要です。うっかり違反してしまう可能性が高い内容を洗い出し、社内規則やマニュアルに落とし込みましょう。社内規則やマニュアルは一度作成して終わりにするのではなく、定期的に見直してください。問題があればそのたびに更新し、社内に改めて周知する必要があります。
社内規則やマニュアルの内容について自社で判断するのが難しいなら、専門家に相談するのもひとつの方法です。
社内研修を定期的に実施する
社内規則やマニュアルを整備するだけでなく、社内研修を実施して社員の意識強化に取り組みましょう。定期的に社内研修を実施すると、社員が常に法令遵守を意識して行動できるようになります。社内だけで対応するのではなく、外部の講師を招いてセミナーを開催するのも効果的です。
コンプライアンスチェックを徹底する
法令違反にならないためには、取引先の選別も重要です。新しい相手と契約する前にコンプライアンスチェックを実施し、問題がないか確認しましょう。たとえば、インターネットで相手の会社名を検索すると、企業の情報を取得できます。
すべての取引先についてコンプライアンスチェックを実施するとなると、多くの時間が必要です。そのため、専門のチームを設置するとスムーズに調査を進められます。作業をさらに効率化するには、コンプライアンスチェックツールを活用するといいでしょう。
企業が法令違反を起こしてしまったときの対応方法
企業が法令違反を起こした場合、どのように対応すればいいのでしょうか。具体的な対応方法を解説します。
1.早急に事実確認を行う
まずは、発生した法令違反について事実確認を行いましょう。被害の状況や原因などを把握する必要があります。被害を最小限に抑えるには、スピーディーな対応が必要不可欠です。
なるべく素早く対応するには、法令違反が起きたケースを想定してあらかじめシミュレーションしておくといいでしょう。たとえば、チームなら、誰に報告してどのように対応する必要があるか考えてみてください。
2.謝罪や処分検討など適切な対応をとる
事実確認が完了すれば、謝罪や処分の検討などが必要です。まずは、自社の法令違反により影響を受けた相手に対して謝罪が必要です。同時に事実の解明に取り組み、正確な情報を発信し続ける必要があります。
法令違反が起きれば、関係者の処分も検討しなければなりません。ただし、関係者の処分はさまざまな人や組織に影響を与えます。状況を総合的に捉え、最適な判断を下す必要があります。
まとめ
企業が活動するうえでは法令違反に注意が必要です。自社が違反しないようにするだけでなく、悪質な企業との取引も回避しなければなりません。そのためには、コンプライアンスチェックが重要です。
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