反社会的勢力との関わりがないか確認することを反社チェックと言います。従業員に対して実施する企業は多いですが、具体的にどのような方法で実施するべきか、把握できていない企業も少なくないでしょう。
そこで本記事では、採用時に必要な従業員に対する反社チェックの具体的な調べ方や、反社であることが判明した場合の対処方法などを解説します。
反社チェックに関する知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。
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反社チェックとは?
暴力団や半グレ集団など、反社会的勢力との関係性の有無を調べることをいいます。反社チェック以外にも、「コンプライアンスチェック」とも呼ばれています。
反社会的勢力と関わりを持った場合、取引停止や事業継続が危ぶまれる可能性もあるため、このようなリスクを回避するために実施されます。
反社チェックや反社については「反社チェックが必要な理由や具体的な方法」の記事にて解説しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。
反社チェックの対象になる従業員
反社チェックの主な対象者は、新卒・中途採用です。まだ学生である新卒は、反社会的勢力との関係性は薄いと思われるかもしれません。しかし、給付金詐欺や違法薬物などの事件に関与する大学生も多いため、近年は対象者になりやすいです。また反社チェックは、雇用形態に関わらず、アルバイトやパートなどの非正規雇用者も対象です。
役員就任時には、本人をはじめ、親族や親族が経営する企業も反社チェックが行われます。責任のある立場に就くため、親族まで厳しくチェックされます。
従業員に対して反社チェックを行うべき理由
以下では、従業員に対して反社チェックを行うべき理由を3つに分け解説します。しっかりと内容を把握しておきましょう。
政府指針で義務付けられているため
政府は2007年に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を公表したことにより、ほとんどの企業では反社会的勢力との取引排除を進めています。
もしも、反社会的勢力との関わりを持つ従業員を雇っている場合、反社会的勢力による被害を防止するための基本原則「一切の関係遮断」と「資金提供の禁止」が守られません。
反社会的勢力排除の方針を明確化している企業が多い中、従業員に対する反社チェックは、社会的責任の観点からも実施するべきです。
※参考:「企業が反社会的勢力からの被害を防止するための指針」について|厚生労働省
各都道府県で暴力団排除条例が制定されているため
各都道府県の自治体では、管轄している地域に対して独自の暴力団排除条例を制定しています。「暴力・脅迫・詐欺」といった犯罪行為を行う企業の徹底排除を目的としており、順次制定・施行されています。
どんなに優秀な人材であっても、CSR(社会的責任)やコンプライアンス(法令遵守)の観点から、反社会的勢力と関わりのある人物は採用するべきではありません。
企業存続に影響を及ぼす可能性があるため
日本証券業協会では「証券取引および証券市場からの反社会的勢力の排除について」を宣言しています。反社会的勢力との関わりがある人物を採用するということは、資金提供したとみなされ、上場廃止や融資停止、行政処分を受ける可能性があります。いずれも企業存続が危ぶまれるため、リスク回避のためにも反社チェックは必要不可欠です。
※参考:証券取引および証券市場からの反社会的勢力の排除について(証券保安連絡会実務者会議中間報告)について | 日本証券業協会
反社チェック以外にも行っておきたい対応とは?
反社チェック以外にも、加えて対応しておきたい点があります。リスクを最小限にするためにも、押さえておきましょう。
誓約書の提出を求める
現状、反社会的勢力との関わりは無くとも、今後も関与しないとは限りません。そのため、将来的にも反社会的勢力に関与しないことを約束してもらうため、入社時に誓約書の提出を求めましょう。
誓約書には「現状、反社会的勢力との関係を有していないこと」、そして「今後も関係を持たないこと」、この2つを示します。また誓約違反したときの対処法として、内定取り消しや解雇などの措置を受けても、異議申し立てないことを記しておくと良いでしょう。
就業規則など各種規定を見直す
各種規定を見直すことが重要です。就業規則に反社との決別条項や反社排除、さらに違反したときの懲戒処分や内定取り消しに関する内容を盛り込みましょう。
厚生労働省の「企業が反社会的勢力からの被害を防止するための指針」でも『企業の倫理規程、行動規範、社内規則等に明文の根拠を設ける』と、記載されています。
就業規則は、あらゆるトラブルを想定して規定することで、その都度、適切に対処できるようになります。もしも就業規則に反社排除に関する内容が記されていない場合は、解雇できない可能性もあります。
※参考:「企業が反社会的勢力からの被害を防止するための指針」について|厚生労働省
反社チェックを実施する方法
反社チェックの方法に規定はありません。SNSや人的ネットワークを通じた簡易的なものから、反社チェックを専門とする会社に調査を依頼する本格的なものまで多種多様です。
反社チェックの対象者が多いほど作業は困難を期すので、自社の規模に応じて適した方法で反社チェックを行うと良いでしょう。
従業員に対する反社チェックの方法
従業員への反社チェックは主に3つの方法があります。それぞれの特徴を知り、自社に適した方法を見極めましょう。
公知情報などを検索して調べる
簡易的な反社チェックとして、下記の公知情報を2つ以上組み合わせて調べる方法があります。
・インターネットでの検索(Google・Yahooなど)
・新聞記事検索(日経テレコン、G-Searchなど)
・反社チェックデータベース(エス・ピー・ネットワーク社提供)
ここで重要となるのは、どんな条件でどのように検索し、どのような結果になったのかを示す、エビデンス(証拠)を残すことです。
公的情報を検索して調べる反社チェックは、インターネットを通じて調べられるので、自社で調査できます。
調査会社や興信所に依頼する
自社でチェックした後、疑わしい人物を見つけた場合は、調査会社や興信所などの専門調査機関に依頼し、より詳しく調べましょう。専門調査機関は内定調査や官公庁情報を活用し、綿密に調査できるので、より踏み込んだ調査が可能です。
プライバシーに関する情報は取り扱いが難しく、場合によっては法に触れる可能性もあります。自社で行う調査には限度があるため、専門調査機関に依頼することで、信ぴょう性の高い結果を見出せます。
警察など行政機関に相談する
公知情報の検索、専門調査機関での調査を経た結果、危険度が高いと判断できる場合、警察や公益財団法人暴力団追放運動推進都民センターなど、行政機関に相談しましょう。相談する際は、該当する従業員の個人情報や、反社の可能性があると判断した資料を提出します。
万が一、雇用した後に反社である可能性が浮上したとしても、自社だけで対応できない可能性は高いでしょう。後々トラブルに発展させないためにも、雇用前に行政機関へ相談することをおすすめします。
従業員に対する反社チェックのポイント
従業員への反社チェックで押さえておくべきポイントは2つあります。トラブルに発展しないよう、確認しておきましょう。
反社チェックは採用選考時に行う
反社チェックは、雇用関係が成立する前に行いましょう。採用選考時の段階で反社と分かれば、関係を持たずに済み、政府指針に背くこともありません。
しかし、入社後に判明した場合は、大変な思いをするでしょう。懲戒解雇にするための準備や対応など、その後の手続きに時間や労力がかかります。同時に、反社が社内に侵入していたという事実は、取引先や顧客からの信頼を失い、大きな痛手となるでしょう。
このようなトラブルを未然に防ぐためにも、反社チェックは採用選考時の段階で行う必要があります。
調査時に収集してはいけない個人情報に注意する
反社チェックが目的だとしても、個人情報の中には収集してはいけないものもあります。厚生労働省の指針で示されている『個人情報の収集、保管及び使用』によると、収集してはいけない情報は下記3つです。
・人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
・思想及び信条
・労働組合への加入状況
反社チェックを行う際は、指針に示されている個人情報は収集しないよう気をつけてください。
個人情報の調査は取り扱いが難しく、専門知識や経験がないと法に触れる可能性もあります。慎重に行うべきであることは言うまでもありませんが、心配な場合は、自社で行うのではなく専門調査機関に依頼すると安心です。
※参考:職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者などが均等な待遇、労働条件などの明示、求職者等の個人情報の取り扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示などに関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号)|厚生労働省
従業員が反社であることが分かった場合の対応
もしも従業員が反社であることが分かった場合、速やかな対応が必要です。相手が反社の場合、自社だけでは解決できず、更なるトラブルへと発展する恐れもあります。適切な対処方法を知っておきましょう。
解雇の手続きを取る
入社誓約書を基に、経歴詐称または服務規程違反とみなし、懲戒解雇の手続きを取りましょう。懲戒解雇を成立させるためには、反社排除の内容を盛り込んだ誓約書が必要不可欠です。
もしも、誓約書に反社排除の内容が記されていなければ、相手が反社だとしても懲戒解雇が難しくなります。現段階で入社誓約書に反社排除の内容が記載されていない場合は、早急に文書修正を行いましょう。
顧問弁護士や行政機関に相談する
顧問弁護士や暴追センター、警察などへ相談することも必要です。反社に関するトラブルを自社だけで解決するのは難しく、場合によっては状況がさらに悪化する恐れもあります。
そうなると、解決までの期間もより長くなってしまうため、はじめから顧問弁護士や行政機関に相談するのが良いでしょう。
まとめ
従業員の反社チェックは、採用選考時に行うことで反社との関わりを一切遮断することができます。しかし、反社を見分けることは難しく、自社対応のみでは見落としの恐れがあります。
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