採用時の反社チェックでは何を調べるのか、チェックはどうやればいい?と疑問に思うことはありませんか?
新卒採用でも中途の求人でも、企業が反社会的勢力を排除し、関係を遮断するには、応募書類だけではチェックできません。
企業内部への反社の関与を避ける最大の対策は、従業員などの内部者対策。
内部に反社関係者や密接な交際者が入り込むことを防ぐため、人材採用での反社チェックが重要です。
社内に反社が紛れ込むことは直接的なリスクであり、企業防衛の観点から絶対に避けなければなりません。
この記事では採用時の反社チェックの必要性や方法、面接から内定までに行うべきことや注意点について、具体例も交えながら解説します。
採用時の反社チェックは、入社候補者リストの段階から行う必要があり、ツールを導入して一括チェックするのが効率的!
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、名簿ファイルを登録して一括チェックして、保管するなど、反社チェックを一定品質で行うことができます。
目次
採用時の反社チェックとは
企業が反社会的勢力を排除し、関係を遮断するには、顧客や仕入先、下請けなどの取引先だけを対象に対策するだけでは不十分です。
採用時の反社チェックは、新卒採用でも、中途採用でも同様に行う必要があります。
チェック項目では中途採用の場合には特に、職歴や前職の企業調査などが重要になるでしょう。
社員以外でも非正規社員や、社外取締役を含む役員、その他の関係者について調査が必要です。
RoboRoboコンプライアンスチェックを導入すれば、名簿ファイルを用意すれば、社員、役員、採用応募者も一括登録し、短時間でチェックすることが可能です。
なお、反社会的勢力の概要については「反社チェックが必要な理由や具体的な方法」の記事にて詳細記載しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。
採用時に反社チェックする必要性
企業内部への反社の関与を避ける最大の対策は、従業員などの内部者対策です。
内部者に反社の関係者や密接な交際者が入り込むことを防ぐため、人材採用での反社チェックが重要。その理由は次の通りです。
反社勢力の組織が多様化し、区別がつきにくくなっているため
反社会的勢力は、暴力団や密接交際者、共生者である組織だけでなく、法人形態の組織、構成員個人、その交際者などの多様な形態をとり、近づいてくるため、外見や言動だけでは区別がつかないケースも増えています。
一見普通の会社員や学生であっても、反社行為に関与するケースも増えました。
企業に反社関係者が紛れ込むのを防ぐため
反社が内部に入り込むと、企業の内外に悪影響を及ぼすリスクがあります。
特に反社の組織形態が多様化し、区別が曖昧になっているため、経済取引への介入を図る反社勢力が入り込むスキを作らないことが大切!
人材採用時は、こうした反社をチェックする絶好の機会であり、見逃すとリスクが内部に入り込む重要な局面です。
内部で不正行為が行われることを防ぐため
法規範意識の低い人物が社内にいると、周囲に影響を及ぼし、不正行為が起きるなどコンプライアンスの観点から重大な問題を招きかねません。
不正会計、情報の不正持ち出し、不公正取引、粗暴な言動や行為ほか、さまざまな犯罪や法令違反を起こしてしまえば、企業の信用が一瞬で失われるかもしれません。
社内に反社がいることにより、取引に反社が介入するのを防ぐため
社内に反社会的勢力や、その密接交際者がいると、営業現場での事業活動などを通じ、個人的な交友関係から取引に反社が介入するリスクを引き起こします。
反社との取引契約を見逃してしまうと、会社自体が反社との取引に関与してしまう結果を招き、さらなる重大なリスクを招くおそれがあります。
反社に関係する人物を採用をしてしまうと?
新卒採用でも中途採用でも、反社関係者、密接交際者などを採用してしまうと、次のリスクがあります。
絶対に避けなければなりません。
取引先の反社チェックに自社が引っかかってしまう
企業の反社対応は今や社会常識であり、暴排条例に基づく義務でもあります。
多くの企業では反社の取り組みを行い、暴排条例に準拠した契約を行い、取引に際し反社チェックなども行っています。
反社と判明すれば契約を解除できるよう体制を整備しています。
万一、自社の従業員に反社との関係があることが判明すれば、取引先との契約で交わした契約の反社条項に抵触します。
せっかく獲得した適正な取引において、契約解除、損害賠償請求がされるおそれもあり、重大な損害を被るかもしれません。
行政の規制や行政指導・行政処分の対象になるおそれ
万一自社の従業員に、反社との関係があることが判明すれば、それだけで法令違反になる場合があります。
たとえば許認可の取消、営業停止処分などの行政処分の対象になったり、入札に参加できないといった不利益を被るおそれがあり、信用問題にもなるでしょう。
報道されたり、官公庁など公共機関のデータベースに掲載されれば、インターネットなどに情報がいつまでも残ってしまい、影響は避けられません。
従業員が反社と関係した場合の信用リスク
反社に関係する従業員がいると知られたり、風評が広まると、消費者や取引先を含む社会に対する信用棄損となり、業績に影響が出るおそれがあります。
消費者からの評判が落ちれば、売上も減少し、取引停止を決める取引先もあるかもしれません。
金融取引リスク
上場企業では、反社会的勢力との関係が判明すると、証券取引所に改善報告書などの提出を要求されたり、最悪の場合には上場維持できるかの問題にまで発展するおそれがあります。
新規上場申請では上場承認が得られなくなるリスクもあります。
銀行取引など既存の金融取引にも影響が出るかもしれません。
資金調達に支障が生じ、財務状況の悪化を招く可能性があるでしょう。
社内のコンプライアンスに問題が生じるおそれ
内部に反社勢力が紛れ込むと、社内の法令遵守の体制や業務遂行に支障が出るおそれがあるでしょう。
社内の規律、風紀の乱れや、不正行為のまん延、社員の退職リスク、人材採用での応募者減などを招く可能性があります。
不正な情報流出・風評リスク
反社に関わる内部者が不正に情報を流出させ、あるいはインターネットの掲示板やSNSに不適切な書き込みをするなど、風評リスクが生じるおそれもあります。
特にインターネットに開示された情報は、事実か事実でないかにかかわらず、いつまでも残るため、検索結果に出るなどの実害が長期間にわたる可能性があります。
RoboRoboコンプライアンスチェックで反社チェックできる調査範囲は、インターネット検索と記事検索。SNSや掲示板なども含めて、直近の公開情報までをリアルタイム検索できる点が強みです。
採用前に準備しておくべき事項
人材にあたっては、応募、面接の前からコンプライアンス体制を整備し、採用前から反社チェックを行い、対策する必要があります。
新卒採用でも中途採用でも、入社までの流れのなかで、反社チェックをしなければなりません。
反社チェックは、応募書類のほか面接での人物調査をもとに行い、効率的に行うため反社チェックツールでの自動化や、インターネット検索で調べるのが簡単です。
誓約書
入社にあたり、本人が反社でないこと、反社に将来にわたり関係しないこと、反社行為をしないことを誓約させる書面を用意する必要があります。
暴排条例で努力義務とされ、入社後に万一、反社と判明した場合には契約解除するために必要な書類です。
採用面接の場では、あらかじめ誓約書が必要と告げ、内容を説明することで、その時の相手の様子を観察するのも効果的です。
反社には密接な交際者などが含まれること、さまざまな反社行為を行った場合も同様であること、誓約書に違反した場合の契約解除、損害賠償請求があることも告げるなどして、相手の応答に不審な点があれば、重点チェック対応が必要です。
誓約書の項目例
入社時の誓約書には、反社でないことの確約のほかにも、たとえば下記のような条項を設けるのがよいでしょう。
- 提出した履歴書、資料の記載事項、選考面接の内容に相違ないこと
- 会社の就業規則、規程の内容を理解し、遵守すること
- 会社の名誉、信用、秩序を乱すことのないようにすること
- 会社の企業秘密、営業秘密、個人情報の不正使用、目的外使用をしないこと
- インターネット等により不正に情報を流布、流出させないこと
- 必要に応じ行う所持品検査、情報端末の履歴・保存情報の調査に異存がないこと
- 自分が反社勢力ではなく、将来にわたり関係を持たず、反社行為をしないこと
- 法令違反をせず、会社の法令違反を知ったときは報告すること
- 故意・重大な過失により会社に損害を与えたときは損害賠償責任を負うこと
単に誓約書に署名捺印してもらうだけでなく、一つ一つの条項に理解した旨のチェックを入れてもらうといった方法が有効です。
契約の反社条項
雇用契約書には、誓約書に違反した場合など、反社との関係が判明したときは直ちに契約を解除できる反社条項を明記し、損害賠償請求ができる条項も入れておくことが必要です。
採用時の反社チェックだけですべてが調査できるとは限らないため、完全に遮断できる保証はありません。
事後的に反社との関係が判明した場合にも、対応できる契約書の規定を設けることで、対応が可能になります。
反社チェックツール
反社チェックは、取引や雇用の契約書を交わす前に、事前に発見するためのスクリーニング調査のために導入しましょう。
採用時の反社チェックは、新卒採用でも、中途採用でも、応募者全員か、少なくとも書類一次審査通過者全員に対して行うものです。
次回以降にまた応募する人もいるため、応募者全員をデータベースに蓄積し、自社データベースとして構築することもできるでしょう。
反社チェックツールを使う調査は、応募者個人を調べる場合にも、自動的に一括チェックできるため有効です。
入社後も、誓約書や契約書が遵守されていることを証明し、反社チェックを行った証拠を残すため、反社チェックツールは社内で低コスト運用できる、自動化ツールがおすすめ!
対象者全員を自動的に検索するRPAツール、RoboRoboコンプライアンスチェックでは、応募者の名簿ファイルを一括登録し、インターネット、新聞記事を同時検索することで、業務を飛躍的に効率化できます。
応募者リストの作成
反社チェックツールに一括登録する名簿ファイルを、応募者のリストをもとに作成します。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、Excelファイルのテンプレートで名簿ファイルを作成し、ツールに一括登録できます。
登録した応募者ごとのフォルダに、検索結果やコメントを保管でき、採用の承認・被承認・保留のステータス管理が可能です。
面接での質問事項の作成
新卒採用でも中途採用でも、応募者については面接前に、面接での人物調査、職歴調査に必要な質問事項のリストなどを用意するのがよいでしょう。
面接評価シートのフォーマット例は、インターネット検索でもさまざまなものが見つけられます。
社内データベースで管理するのもよいでしょう。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、Excelファイルで名簿ファイルの登録を行いますが、Excelではcsvその他のデータベース形式のデータもインポートして読み込めます。
面接評価シートには、下記のような質問事項を用意しておくとよいでしょう。
選考ステータス | 面接日、面接官、選考ステータス |
応募者情報 | 氏名、年齢(生年月日)、住所 |
学歴・経歴 | 卒業校、卒業年度 |
職歴 | 勤務先、職務内容 |
マナー・第一印象 | 身だしなみ、言葉遣い、態度 |
志望動機 | 動機、志望職種 |
自己PR | 志望者のアピール |
勤務経験・実績・スキル | スキル、資格、中途採用の経験・実績 |
成功体験・失敗体験 | 体験内容、得た教訓 |
面接官コメント | 自由コメント |
採用試験成績 | 筆記試験等の成績 |
反社・コンプライアンスチェック | 反社チェック結果、言動チェック |
反社チェック結果判定 | 承認・否認・保留 |
合否判定 | 合・否・保留 |
面接での反社チェックの注意点
面接では、不審に感じた点をよく観察し、次のような項目には特に留意しましょう。
- 個人の情報について、年齢や住所が適合しているか
- 氏名、会社名、電話番号、住所での検索で不自然な検索結果の情報がないか
- 過去の職歴や、担当業務の変遷に不自然な点はないか
- 言葉遣いや言動に違和感を感じる点がないか
- インターネット等の評判・うわさに不審な点がないか
- 法令違反や行政処分の情報がないか
- 逮捕情報、裁判情報の情報がないか
- その他トラブルになっている記事・情報はないか
応募~面接までの反社チェック
実際の求人での反社チェックの手順を見てみましょう。
応募要項
応募条件や採用スケジュールを設定し、どの段階で反社チェックを行うかを決めて実行することが大切です。
応募者全員について調査するか、少なくとも書類での一次審査通過者については、反社チェックツールでの調査をするのがよく、ツールで読み込める名簿ファイルを作成します。
書類審査での反社チェック
書類審査では、経歴、職歴、人物チェックを行います。
応募書類では、不自然な経歴や空白期間、特に人物の経歴、転職などの変遷、業務の経験、退職理由などをチェックし、面接で聞くべき事項を洗い出しておきます。
この段階でインターネット検索など、手作業での反社チェックをしてもよいでしょう。
応募者の全数調査をする場合には、最初から反社チェックツールでのスクリーニングを行うのが効率的です。
面接での反社チェック
面接評価シートなどを用いて、あらかじめ考えた質問事項のほか、目の前の本人の言動を観察し、誓約書が必要であることを告げ様子をチェックします。
本人の経歴や、これまでの担当業務などのほか、話し方や第一印象、態度などの言動を観察することが大切です。
もちろん反社チェックだけでなく、必要とする人材かどうか、業務経験やスキルなどを選考基準とすることも当然です。
反社チェックツールでの検索
応募者を調査対象として反社チェックツールに一括登録し、新聞記事とインターネットの同時検索が自動化できます。
調査対象の全数を短時間で一括検索し、反社の疑いがある応募者を抽出可能です。
新聞記事検索、SNSまでを含めた自動検索の結果、反社アラートで3段階の自動判定を行い、採用すべきでない人物、保留にすべき人物を判断!
名簿ファイルを一括登録して、すべてを同時検索することで、コンプライアンス部署の業務を飛躍的に効率化できるでしょう。
調査会社・探偵事務所には何を依頼する?
反社チェックツールでのスクリーニングや、商談・面談などで不審、疑いを感じた場合には、専門データベース、調査会社などのさまざまな方法で追加調査を行います。
もっとも、反社チェックでアラートの出た応募者をすべて断る場合には、必ずしも追加調査は必要ではありません。
社内データベースに応募者全員を登録する場合には、反社アラートやコメントを含むデータ管理ができるため、次回以降に再度応募してきても、すぐに判断することが可能です。
追加調査が必要な場合には、不審や疑いをもった内容・要因によって、適切な調査方法を選んで外注などにより調査するのがよいでしょう。
法令違反や行政処分などの疑いがあれば、反社情報や法令違反の専門データベース、公的機関の行政処分情報などを調査します。
経歴詳細調査
人物の経歴や、会社の経歴を詳細に調査する場合には、調査会社、探偵事務所などに依頼します。
人物の言動に不審を感じた場合には、反社情報などの調査ができるデータベースで、法令違反の記事があれば法令違反や行政処分情報などのデータベースで検索を行います。
過去の職歴にある会社に疑いがあれば、登記情報、与信情報のデータベース検索や、行政処分情報、ときには資産調査、現地調査なども併用するのがよいでしょう。
本人・周辺の言動調査
本人の言動などに疑問や不信な点がある場合、探偵事務所を使った言動や交友関係などの調査、SNSなどのインターネット検索をするのもおすすめです。
調査対象である本人の言動のほか、探偵事務所などを使って、本人の素行、言動や交友関係などの調査をするのがよいでしょう。
反社に関係するとは限らないため、個人情報の収集や保管方法には注意が必要です。
取引先・業務内容の現状調査
応募者の過去の勤務先の業務内容や実態調査、業務内容の変遷などの調査についても、調査会社、探偵事務所に依頼するのがよいでしょう。
登記情報、業界情報などのほか、現地調査が必要な場合もあります。
本社や営業所、工場、倉庫、経営者の自宅などは、現地調査をしてみて初めて実態がわかることもあるでしょう。
前職が会社であっても、登記簿だけでは実態がわからない可能性があります。
事業が適正に行われているかどうか、応募者の言う通りの実態の会社かといった確認ができます。
反社チェック後の内定と応募者への通知は?
実際の求人での反社チェック後の採用内定・不採用までの流れを見てみましょう。
内定、契約までのチェックツールの手順
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、ツール画面で、応募者ごとに承認、非承認、保留のチェックをし、ワークフロー管理ができます。
スクリーニングでの反社チェックツールの判断と、採用面接での面接評価シート、ツールに入力したメモやコメントなど人間の判断とをもとに、最終的に採用内定者の決定へと進みます。
内定前の段階か、遅くとも採用内定時には誓約書をもらい、次いで反社条項のたる雇用契約書を提示します。
応募者への不採用通知の注意点
書類選考でも面接でも、応募者に断りの通知を送付する時は、定型的な文面の通知で問題ありません。
仮に反社チェックによる非承認が断りの理由だったとしても、通知は定型的に記載し、特別に理由を記載するべきではありません。
採用時の反社チェックの注意点
最後に、反社チェックの注意点として、応募者の個人情報保護、反社チェックデータの管理、差別的取り扱いの禁止について解説します。
求職者の個人情報の保護
求人への応募者の個人情報は、個人情報保護法による保護の対象です。
また、職業安定法では、求職者の個人情報については本人の同意がある場合のほかは、採用業務に必要な範囲内で、目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集、保管、使用しなければならないとしています。
ただし、反社情報のデータベースでは、個人情報保護に一定の例外があります。
法務省の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説」では、事業者が反社データベースでの利用目的で、反社勢力の個人情報を直接取得すること、利用することは個人情報保護法に違反しないとしています。
応募者データの管理の注意点
応募者の個人情報については、個人情報保護の観点から、秘密状態で管理すること、目的外使用をしないことなどの注意点があります。
⑴応募書類・面接情報
求人の応募に関する情報は、個人情報保護法で保護される情報です。
秘密情報として管理または消去し、目的外使用や、承諾なしに第三者への開示をすることは厳禁です。
⑵反社チェックツールの調査結果
反社チェックツールが自動的に検索したインターネット・新聞記事の情報は、公開された公知情報です。
しかしこれらも個人情報であるとする解釈も多いため、目的外使用や第三者への開示には注意が必要です。
特に公知の情報と、RoboRoboコンプライアンスチェックに保管されたフォルダ内のメモ、コメントや、個人情報・記事情報に関連付けられた承認・被承認・保留などの付加情報は、秘密に管理されるべき個人情報です。
⑶反社情報
反社であると判断される個人情報のデータベースでの管理は、個人情報保護法の一定の例外として、反社情報データベースの管理目的で本人の承諾なしに利用できます。(出典:法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説」)
ただし、反社かどうかが不明である場合も多く、あえてコンプライアンス担当部署以外で仕様する必要性もないため、個人情報として管理するのがよいでしょう。
反社アラートが出た情報についてのみ、関連部署の限られた人とだけ情報共有できるなど、社内のコンプライアンス規定で取り扱いを決めておくようおすすめします。
職業安定法の機会均等とは?
職業安定法では、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、家柄、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがないとされています。
これに基づく平成11年労働省告示第141号指針では、次のように規定しています。
- 業務の目的の範囲内で求職者等の個人情報を収集すること
- 個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等、適法かつ公正な手段によらなければならないこと
- 特別な職業上の必要性が存在すること、その他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合のほかは、人種、民族、社会的身分、家柄、本籍、出生地、その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況についての情報を収集してはならないこと
採用してしまった後で解雇は有効?
反社チェック、コンプライアンスチェックの結果、反社の疑いがある場合の採用取り消しや契約解除は、入社時の誓約書や雇用契約書の条項もあるため、合法と認められます。
人材採用の段階で、反社チェックやコンプライアンスチェックを行うとともに、就業規則、雇用契約書などを整備しておくことが重要です。
採用では、思想信条などを理由とした差別的扱いは許されない原則があります。
しかし、言動が粗暴であることが入社後に判明したり、思想信条が要因であっても職場の秩序を乱し業務を阻害する具体的な危険性がある場合には、採用内定を取り消しうるとされた裁判例も過去にありました。
採用内定を取り消しうるとされた裁判例は、末尾のQ&Aでご紹介します。
まとめ
新卒採用でも中途の求人でも、反社との関係遮断のために応募書類、面接のほか、反社チェックツールを利用するのが効率的!
応募者リストの作成、入社候補者の選考段階から行う必要があります。
この記事では企業が人材採用をする際の、反社チェックの必要性や方法、面接から内定までの手順や質問事項、面接での注意点について解説しました。
企業内部にさまざまな反社リスクが及ぶ前に、採用時の反社チェックは漏れなく効率的に実行しましょう。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、名簿ファイルを登録して一括チェックして、応募者のチェックを自動化できれば、面接などでの選考に集中できます。
AIによる反社アラートと、人間による判断で採用内定者を決定でき、採用の承認、非承認、保留までのワークフロー管理をすることが可能です。
よくある質問
人材採用での反社チェックについてQ&Aにまとめました!
採用面接での注意点は?
人材採用では人物評価とともに、反社チェックも必要です。しかし採用面接などでの企業側の対応が、コンプライアンス違反になる場合にも注意が必要です。
具体的には、職業安定法で定める応募者の機会均等や、面接で聞いていいことと、いけないこと、応募者の個人情報保護などに留意が必要です。
採用後の解雇が有効かどうか争われた事例は?
反社チェック、コンプライアンスチェックによる採用取り消しや契約解除は、入社時の誓約書や雇用契約書の条項もあるため、ごく一般的に認められます。ただし古い判例では、採用後の解雇などについて争われた事件があります。
まだ現在の暴対法や暴排条例もない時代にできた判例です。
会社による解雇の正当性は認められましたが、裁判やその報道で顧客の目に触れれば、信用を棄損することもあり、事前に反社チェックすることが大切とわかるでしょう。
⑴採用後の粗暴な言動による解雇事例
東京地裁(昭和40年10月29日)の判決では、タクシー会社での解雇の有効性が争われました。
試用期間中に粗暴な放言や、軽率な発言などにより多数の同僚の反感を買う行為などがあったため、会社が従業員として不適格と判断し、解雇に及んだものであり、解雇の有効性が認められました。
⑵採用後の不適切な言動による解雇事例
神戸地裁洲本支部(昭和43年1月10日)の判決では、バス会社で試雇傭中の車掌が、乗務中に職場の先輩従業員に対し、車掌として不適当な言葉を使い、その謝罪に一片の誠意も見られない態度が会社の期待を裏切り、車掌としての適格性を欠くものであったとして、会社の解雇は有効であるとしました。
⑶思想・信条などに関わる採用内定の取消が有効とされた事例
思想・信条による差別は許されない一方で、古い事案ですが、日本電信電話公社事件の大阪高裁判決(昭和48年10月29日)があります。
無届デモへの参加に関連し、道路交通法、公安条例違反による逮捕・起訴猶予処分があった事例では、職場の秩序を乱し業務を阻害する具体的な危険性がある場合には、採用内定を取り消しうるとされました。
反社チェック結果は個人情報?
RoboRoboコンプライアンスチェックなどツールでの反社チェック結果のうち、インターネットや新聞記事は、公開された公知情報です。しかしこれらも個人情報保護法で規定する個人情報としての取り扱いが必要という解釈がされており、秘密情報として管理し、利用外目的や第三者への開示をしないことなどに留意が必要です。
特にコメントや、反社アラートなどの情報が付加されたものは、明確に個人情報です。
暴排センターや警察などが保有するような、反社チェックに利用される反社データベースに登録された個人情報は、個人情報保護法の適用対象外とされています。
反社チェックツールでアラートが出た情報にも、反社情報が含まれる可能性がありますが、線引きが難しく、利用範囲やアクセスできる人を制限するなどの慎重な運用をされることをおすすめします。
RoboRoboコンプライアンスチェックの反社アラートが出た人を採用したら問題がありますか?
記事の内容、事案の時期、重大性、反復可能性などにより、一概には判断できません。なかには犯罪をした人の更生に協力する企業もあります。
RoboRoboコンプライアンスチェックの反社チェック結果を元に総合的に判断し、必要なら弁護士などに相談することが必要です。
事後的に問題が生じた場合に備え、あらかじめ誓約書、反社条項のある雇用契約書、就業規則などを用意しましょう。
アラートの有無に関わらず、採用者全員について必要です。