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コンプライアンス違反事例を紹介!対策方法・おすすめツール教えます!

コンプライアンス違反事例を紹介!対策方法・おすすめツール教えます!_アイキャッチ

コンプライアンス対策は今や大企業だけが関係ある話ではありません。

企業に対する社会的責任の高まりや、SNS等の容易に拡散できるツールの普及等により、どんな会社でも「たった一度の不祥事」で深刻な大打撃を受けかねない時代となったからです。

ただ、「コンプライアンス違反のリスクは薄々気づいている。でも具体的に何がコンプライアンス違反なのか分からない…」という疑問を持つ経営者や法務担当者もいるかと思います。

そこで今回は、そもそも「何がコンプライアンス違反に該当するのか」や「コンプライアンス違反が実際どのくらいのダメージを企業に与えうるのか」を実際の事例で紹介します。

そして、それを教訓に「コンプライアンス違反を未然に防止するための策」や「万が一コンプライアンス違反を起こしてしまった時の対処法」を紹介します。

さらに、従来型のコンプライアンス対策では対応が難しい新しいリスクである「反社」という存在への適切な対応策についても解説します。

今回のポイント

・コンプライアンス違反とは不正会計や偽装等のことであり、法令だけでなく社会規範やモラルに反する行為のことを指す
・コンプライアンス違反は時代の変化やSNS等の普及等により「会社を破壊する可能性のあるリスク」になった
・コンプライアンス違反には「反社」のような従来のコンプライアンス対策では十分に対応できないリスクも含まれるようになった
・過去のコンプライアンス違反事例を自社に引き付けて学ぶことがコンプライアンス対策を考える上で有効であること
・「反社」のような新しいリスクには事例研究に加えて「反社チェック」のような専門特化した対策も必要であること

1. 「コンプライアンス違反が会社を破壊する」事例が突きつける現実

1. 「コンプライアンス違反が会社を破壊する」事例が突きつける現実_画像

コンプライアンスとは法令遵守を意味する言葉ですが、近年では「企業が守るべきモラル」や「企業が果たすべき社会的責任」等の意味も含む幅広い概念になって来ました。

それに伴い「コンプライアンスとは具体的に何を指すのか」も分かりにくくなって来ました。

しかし、その一方でコンプライアンス違反に起因して倒産にまで追い込まれる企業も出現しており、最悪の場合「会社を破壊するリスク」にさえなったとも言えます。

そこでこの章では、今の時代のコンプライアンスについて明確にイメージできるように、逆に「何がコンプライアンス違反にあたるのか」を知ることを通してコンプライアンスを具体的に理解できるように解説します。

事例が告げるコンプライアンス違反の怖さ

コンプライアンス違反とは一般的には不正行為やモラルに反する行為等を指しており、具体的には不正会計や偽装、ハラスメント等が該当します

しかし時代の変化やテクノロジーの発展等によって種類が増加しており、以前は特段問題とされなかったようなことでも今や「コンプライアンス違反」として問題化してしまうこともあります。

加えてSNS等の普及により比較的小さな問題でも瞬時に広範囲に拡散されてしまうため、問題を起こしたことで被るダメージが以前よりも格段に大きくなってきました。

最悪倒産さえありうるリスクとなり、中小企業も他人事ではなくなりました。

以前なら「小さなつまづき」で済んだことが、今や致命傷にさえなり得るようになったのがコンプライアンス違反というリスクの怖さなのです。

コンプライアンスのための取組は必要不可欠

「小さなつまづきが致命傷になってしまうのであれば、そのつまづきの原因を予め特定して把握しておけば良い」と考える人もいるかも知れません。

確かにその通りなのですが、それは今の時代は非常に難しくなってきました。

というのも、つまづきの原因を特定・把握すること自体が困難になって来たからです。

コンプライアンスが文字通りの「法令遵守」の意味だけならば、法令をよく理解しておけば対策は完了したかも知れません。

しかし今やコンプライアンス違反には「ハラスメント」や「反社」といった法令を理解しているだけでは対応できないリスクも含まれるようになって来ました。

特に「反社」については多種多様化している上に、反社かどうかの判別も困難化しているために「気づかずにつまずいてしまうリスク」とも言えるものです。

こういった事情から現代においてのコンプライアンス対策は「これさえやっておけば良い」というような対策の仕方は通用しません。

常に変化し種類が増え続けるコンプライアンス違反に対して腰を据えて取り組む必要があるのです。

実際のコンプライアンス違反事例を教訓にする

それでは、常に変化し続けるコンプライアンス違反というリスクに対して具体的にはどんな対策が有効なのかといえば、過去の「実際のコンプライアンス違反の事例」から学ぶというケーススタディです。

確かに、常に変化し続ける相手に対して「過去を追う」ことは必然的に後手にならざる得ませんし、相手の変化を完全にはカバーできません。

しかし完全にはできないにせよ、リスクを着実に抑え込んでいくには現実的に最も有効な対策であることも事実です。

実際に各種業界の危機管理でも事例研究が今も重要視されています。

今回の記事では過去のコンプライアンス違反の事例から、発生頻度が高く注意すべき事例をピックアップしましたので、自社のコンプライアンス違反対策を考える上で参考にして下さい。

3.コンプライアンス違反の事例紹介

また、事例研究に加えて専門特化した対策がさらに必要な「反社」のようなリスクの対策の仕方については以下の記事で詳しく解説しています。

2. コンプライアンス違反のリスクと影響

コンプライアンス違反のリスクと影響_画像

この章ではコンプライアンス違反のリスクと影響について以下の内容を説明します。

  • 社会的信用の失墜
  • 損害賠償責任
  • 行政処分・刑事罰
  • 従業員の離職

また、コンプライアンスを重視すべき「リスク回避」以外の理由についても説明します。

社会的信用の失墜

コンプライアンス違反を発生させた場合、社会からの信用を大きく失いかねません。

さらに近年、コンプライアンス違反の発覚によって会社の信用が被るダメージが大きくなっています

これはインターネットやSNS等の普及により個々人が自由に発信できるようになったため、以前ならそれほど大きな問題にならなかったことでも、個々人が自由に発信できる現代においては瞬く間に拡散され、大問題になってしまうことも関係しています。

損害賠償責任

コンプライアンス違反により損害を与えた企業は被害者に対して損害賠償責任を負います。損害賠償の金額は経営に影響を及ぼすほど莫大な金額になることもあります。

被害者には顧客としての消費者や取引先だけでなく、不正会計や偽装等で企業価値を損ねた場合は株主も含まれます。

行政処分・刑事罰

コンプライアンス違反の内容によっては行政処分や刑事罰を受ける可能性があります。

行政処分とは「業務停止処分」や「業務改善命令」等のことで、企業としての業務が行えなくなることもあります。

また、経営者や従業員が逮捕される場合もあり、罰金刑や懲役刑を受けることもあります。

従業員の離職

コンプライアンス違反は優秀な従業員の離職も招きます。

不祥事を起こして社会的信用が低下した企業で働き続けることよりも、その会社を離れて健全な企業で働くことの方が魅力的だと考える可能性が高いからです。

また、新たな人材を集めることも困難な場合が多いです。

コンプライアンスを重視すべき他の理由

コンプライアンスを重視することはコンプライアンス違反のリスクを抑えるためだけでなく、新規株式公開(IPO)に備えることや、企業価値を向上させることにつながります

証券取引所の株式上場審査では対象企業の法令違反の有無や、コンプライアンス体制が整備されているかなどについて過去に遡って審査されます。

3. コンプライアンス違反の事例紹介

コンプライアンス違反の事例紹介_画像

この章ではコンプライアンス違反を実際に起こしてしまった企業の事例を紹介します。

それらの事例を通して自社にも当てはまるリスクの洗い出しや今後のコンプライアンス対策策定の参考となるように解説します。

コンプライアンス違反の種類

コンプライアンス違反には数多くの種類があり、業種業態によっても様々ですが、発生頻度が高く特に注意しておくべき12種類のコンプライアンス違反は以下の通りです。

  1. 不正会計
  2. 偽装
  3. 不正受給
  4. 労働環境に関する問題
  5. 食品衛生
  6. 個人情報流出
  7. 著作権侵害
  8. 景品表示法違反
  9. 出資法違反
  10. ハラスメント
  11. 従業員のコンプライアンス違反
  12. 反社会的勢力

次項から「代表例」の紹介と「そのコンプライアンス違反をした場合どんなリスクがどれくらいあるのか」も解説します。

①不正会計の事例

不正会計とは「不正な会計操作を行って会社の財務状況を偽ること」等を指しますが、その代表例が粉飾決算になります。

粉飾決算とは簡単に言えば「実際は赤字なのに黒字であると公表することで、会社の財務状況を実態よりも良く見せて株主等を欺くこと」等のことです。

ライブドアや東芝、山一証券等の有名企業から中小企業まで多く発生しているコンプライアンス違反です。

粉飾決算を行った場合、「10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはこれを併科」の刑事罰が科されます。

また、株主等から損害賠償請求を突きつけられたり、市場や社会からの信用を大きく失ったことで最終的には倒産という結末を迎える場合も少なくありません。

②偽装の事例

偽装とは文字通り「食品の産地などを偽る食品偽装や、商品の性能データを改ざんするデータ偽装」等のコンプライアンス違反のことです。

代表事例としては「高級料亭の船場吉兆の食品産地偽装」や「東洋ゴムの免震ゴム性能データ偽装」「三菱自動車の燃費データ偽装」等があります。

食品の偽装にせよ、性能データ等の偽装にせよ、偽装による被害の影響が大きくなればなるほど、発覚した時のダメージも大きくなります。

特に人命に関わるような偽装であれば、法的にも社会的にも経済的にも非常に重い制裁が科されますので、会社だけでなく従業員や関係者にまで悪評等のダメージを残す可能性もあります。

③不正受給の事例

「給付金等を本来は受け取る資格や権利がないにも関わらず、不正な手段で受給する」というコンプライアンス違反です。

東日本大震災の復興助成金の不正受給や介護報酬の不正受給等が代表事例です。

不正受給を犯した場合、法的には刑事罰の対象となり、詐欺罪が適用され懲役10年を科される可能性があります。

また、不正受給は社会的にも耳目を集めやすい事件であるため、会社の風評は著しく悪化する可能性も高いです。

さらに経済的にも、取引の解除や融資の停止等で経営に深刻なダメージを与える事態も招きかねません。

④労働環境に関する問題の事例

労働環境に関する問題としては、法律が定める労働時間の上限を超える労働をさせる「長時間労働」や「過労死」「未払い賃金」等が該当します。

このコンプライアンス違反は「電通の新入社員が過労死自殺した事件」等が代表事例です。

労働環境に関する問題が会社で起こった場合の法的な罰則は6か月以下の懲役等であり、偽装や不正受給に比べて比較的軽いとは言えます。

しかし近年社会的に意識が高まっている問題であるため、悪評によるダメージやそれから波及する取引先の離反等の経済的な悪影響は無視できないレベルになる場合もあります。

⑤食品衛生の事例

食品衛生のコンプライアンス違反とは、食品に関する衛生管理の不徹底やモラルに反する取り扱い等が該当します。

「焼肉酒家えびすの集団食中毒事件」や「不二家の事件」等が代表的な事例です。

食品という人体に直接影響があるものなので処分も非常に重い場合が多く、営業停止や業務改善命令を科される可能性が高いです。

また、仮に法的には不問とされる場合でも風評的な悪影響は根強く残る場合が多く、営業再開しても業績不振のまま倒産に追い込まれることもあります。

⑥個人情報流出の事例

個人情報の流出は文字通り、顧客等の個人情報を流出させてしまうコンプライアンス違反のことです。

内部の人間の故意または過失による流出がありますが、外部からの不正アクセス等での情報流出もあります。

「ベネッセの個人情報流出事件」や「東急の個人情報流出事件」が代表事例です。

こういった事件を起こした場合、会社は監督官庁等からの行政処分や指導を受ける可能性があります。

また、事件単独では経済的な致命傷にはなりにくいですが、社会的な関心が高い話題ですので、信用を大きく失ってしまうリスクもあります。

⑦著作権侵害の事例

著作権侵害とは「著作権法で保護されている著作物を著作権者の許可無く使用すること」によるコンプライアンス違反です。

「LEC東京リーガルマインドの著作権侵害事件」等が代表事例ですが、近年はインターネット上にある他者の画像の無断使用等の事例もあります。

法的な悪影響よりも風評等の悪影響や損害賠償請求等の経済的なダメージの方が大きい場合が多いです。

インターネットが身近に普及している現代においては「うっかり」犯してしまうことには厳に注意すべきでしょう。

⑧景品表示法違反の事例

景品表示法違反とは「誇大広告や不正表示などにより消費者を惑わす販売行為」を行ったことによるコンプライアンス違反です。

「プラスワン・マーケティング事件」や「ライフサポートおせち事件」等が代表事例です。

現代的なコンプライアンス違反と言えるもので、特にインターネット上での販促活動等では気を付ける必要があります。

違反した場合、法的な処分よりも社会的・経済的な悪影響の方が大きく響いて来る可能性が高いです。

消費者がネット上での企業のマーケティングの手法に敏感になっているため、不正行為やニュースは非常に早く拡散しやすいためです。

⑨出資法違反の事例

出資法違反とは事業資金を集める際に不正とみなされる方法で行った場合のコンプライアンス違反です。

「雑誌ニュートンの元会長の事件」等が代表事例です。

雑誌ニュートンの元会長の事件の場合「出資なのか融資なのか」で違法か合法かが分かれるほど微妙な問題でもあったようです。

違法と判定された場合のリスクが法的な処罰や社会的信用の失墜等と非常に大きいものですので、出資法に抵触する可能性がある資金集めをする場合は事前に法律に詳しい専門家に相談するのが安全だと言えます。

⑩ハラスメントの事例

ハラスメントとは一般的に「受け取った側が嫌がらせされていると感じるような行為」であるとされるコンプライアンス違反です。

「アース ミュージック&エコロジーのセクハラ事件」等が代表事例です。

ハラスメントは種類も件数も近年増加傾向のコンプライアンス違反です。

違反した場合、社会的な信用が大きく失墜するだけでなく、取引先や消費者、従業員の離反等の悪影響を招きます。

ハラスメントは今や多種多様に存在しておりますので、法律の専門家だけではなくハラスメントについての専門家の知見も借りて対策が必要でしょう。

⑪従業員のコンプライアンス違反の事例

従業員のコンプライアンス違反としては「会社からの備品等の転売」「SNSでの不適切な発信」「顧客情報の流出」等があります。

特にSNS等の不適切事例は近年枚挙に暇がありません。

従業員のちょっとした油断や悪ふざけだったとしてもSNS等で拡散されてしまう現代においては会社に大打撃を与えてしまいます。

また、法的に問題はなくても、その時の世論や社会的風潮で問題視されてしまう場合もあるため慎重な対応が必要です。

⑫反社会的勢力との関係の事例

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反社会的勢力(反社)と関係を持つことで生じる「反社リスク」は近年特に警戒すべきコンプライアンス違反のリスクの1つです。

反社が以前に比べて多種多様化し、見極めも困難になって来たため「気づかないうちに反社と取引していた」という事態も十分ありうるからです。

しかも最悪の場合倒産にまで追い込まれる非常に危険なリスクですので、しっかりと理解しておきましょう。

みずほ銀行暴力団融資事件

反社との取引を把握しながら2年以上対応を先送りにし続けたことで、結果的に反社の資金源になったことが問題視された事件です。

メガバンクによる反社との取引事例として有名です。

反社(暴力団)への融資を2年以上、230件以上も行っていたことが明るみになり大きな問題となりました。

2012年秋時点の提携ローンの残高が2億円を超えていたほどの大規模な反社との取引でしたが、「臭いものには蓋をする」ように対応が先送りされていました。

結果的に2年以上に渡り反社の資金供給源になっていたことが問題視され、2013年9月に金融庁から業務改善命令が出されています

蛇の目ミシン恐喝事件

反社に会社を実質的に乗っ取られて大損失を被った事件です。

蛇の目ミシン工業株式会社の株式を反社が買い占めて恐喝した事件です。

平成元年から平成2年にかけて取締役を恐喝し、債務の肩代わりや不正融資などによって蛇の目ミシン工業に累計1,100億円以上の損失を与えました。

この問題に対して平成5年に株主の1人が提訴したことを口火にして訴訟が始まり、ようやく平成18年に関与した取締役5人に対する583億円ほどの支払い要求が認められて完結しています。

スルガコーポレーション事件

企業が反社の威力を利用して脅迫的なやり方で入居者を立ち退かせたことで社会的な信用を大きく失った事件です。

2005年にスルガコーポレーションは外部業者に委託して、取得したビル物件の入居者に立ち退き交渉を行いました。

しかし業務委託先が反社(暴力団のフロント企業)で、暴力的なやり方で立ち退かせた事実が明らかになりました。

スルガコーポレーションは過失による取引と強調したものの、実は150億円もの取引が行われていたことが発覚し非難されて信用を大きく失いました。

その他の反社関係の事例

上記の事例の他にも旧三和銀行(現・三菱UFJ銀行)や西武信金等の事例もあります。

また、反社との関係発覚に端を発して、最終的に倒産にまで追い込まれた中小企業も現実に存在しています。

4. コンプライアンス違反が起こる原因

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この章ではコンプライアンス違反が起こる原因として「不正のトライアングル」というメカニズムを用いて説明します。

また、従来のコンプライアンス対策では対応できない「SNS等での炎上」「ハラスメント」「反社」といった新しい形のコンプライアンス違反のリスクや要因についても説明します。

「不正のトライアングル」の存在

コンプライアンス違反が発生するメカニズムを説明する際に用いられるのが「不正のトライアングル」と呼ばれる考え方です。

この考え方では不正の発生を「動機・機会・正当化」の3つの要因で説明しています。

不正を行う動機

「動機」とは不正行為を行う人が抱える悩み等の心理的な要因のことです。

コンプライアンス違反が起こる場合、その背景には金銭的な問題を抱えている人がいたり、会社内での人間関係の怨恨やトラブル等を抱えていることが多く、これらを動機として不正行為に走らせてしまうことも少なくありません。

また、モラル意識の希薄さに起因して不適切なSNS投稿等につながってしまう場合もあります。

不正を行う機会

「機会」とは不正行為を行いやすい環境のことを主に指します。

具体的には、会計に対する監査や牽制役が居ないために「その人しか分からない」という状態だったり、管理者が不在になってしまう時間帯が長時間存在したりといった状況が不正行為をするための「絶好の環境」となっている可能性があるのです。

不正行為を行う自分を正当化

「正当化」とは不正行為を行う自分を正当化する理由を備えてしまうことを言います。

「他の会社でも多少やってる」「誰も見てないし分かる訳ない」といった気持ちや考えを持つことで不正行為を行う自分を正当化し、不正行為を行うことの心理的抵抗を無くしていくのです。

こういった「動機・機会・正当化」といった要因が重なって作用することでコンプライアンス違反にあたる不正は発生してしまうと言われています。

従来のコンプライアンス対策では対応できない要因

従来のコンプライアンス対策であれば、自社の健全な経営や社内意識の醸成だけでも十分に対応できたかも知れません。

しかし、従来のコンプライアンス対策だけでは対応できない「SNS等での炎上」「ハラスメント」「反社」といった新しい形のコンプライアンス違反も生まれてきました。

こういった新しいリスクにも対応するためのコンプライアンス違反対策を講じておくことが非常に大切です。

次章では具体的な未然防止策について解説します。

5. コンプライアンス違反を未然に防止する

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コンプライアンス違反を未然に防ぐためには以下の5点を特に意識しましょう。

①~④は一連の手順となっています。

⑤は新しいコンプライアンス違反のリスクである「反社リスク」の対策について簡単に説明しています。

  1. 考えうるリスクを洗い出しておく
  2. 弁護士等の専門家に確認しておく
  3. コンプライアンス規定を策定しておく
  4. 社内のコンプライアンス体制を整備する
  5. 取引先のチェックを行う

順番に説明します。

①考えうるリスクを洗い出しておく

まずは一旦、考えうる全てのコンプライアンス違反のリスクを洗い出してみましょう

自社の事業の性質や業務遂行の上で関係あると思われることで、なおかつリスクになりうるもの全てを一旦洗い出します。

その際、可能な限り社内の広範な人達から情報を貰いましょう。

経営陣だけでは気づかない現場の従業員だから感じているリスクや問題を指摘してくれるかも知れません。

この段階ではリスクについて、どんな小さな可能性でもとにかく拾い集めることが大切です。

②弁護士等の専門家に確認しておく

コンプライアンス違反のリスクに関する専門家に相談して、 洗い出したコンプライアンス違反のリスクに漏れが無いかを確認する段階になります。

特にハラスメントや反社といった新しいリスクは自分達だけでは十分に可能性を拾い集められていない可能性があります。

弁護士等の法律家やハラスメント対策のプロ、反社対策の専門家等にも相談しながら、想定するリスクに漏れが無いかを確認しましょう。

③コンプライアンス規定を策定しておく

専門家に確認して十分に網羅的になった「自社が抱えるコンプライアンス違反のリスク」をまとめた上でルールを作成する段階です。

最初は実際の浸透状況等を見ながら柔軟に微調整できるように運用しましょう。

また、社内の人間に浸透しやすく、なおかつ実際に守れるものにするため可能な限りシンプルなものを心がけましょう。

④社内のコンプライアンス体制を整備する

ルールを作成した後の社内の運用体制を整える段階です。

全社的なコンプライアンス研修を定期的に実施したり、コンプライアンス違反が疑われる場合に相談できる窓口の設置を設置しましょう。

可能であれば社内コンプライアンスを管理する専任チームも設置しましょう。

また、社内ではある程度何でも言い合える雰囲気を保つことも大切です。

普段から気軽に言い合える雰囲気がないと比較的軽いコンプライアンス違反が起こった時に萎縮して言い出せなかったり、隠蔽しようとしたりして、さらなる重大な違反につながってしまう可能性があるからです。

⑤取引先のチェックを行う

上記の4つの手順でコンプライアンス違反の基本的な防止体制は作ることができますが、それでも対応不十分になってしまう可能性があるリスクがあります。

それが「反社と関係を持っただけ」で生じる反社リスクです。

近年の反社は多種多様化し、事前に反社だと見極めることが困難なため、自社でリスク管理することが非常に困難なコンプライアンス違反のリスクです。

このような反社リスクに備えるためには「反社チェック」という調査手法で対象者が反社かどうかチェックしておくことが効果的です。

反社チェックの具体的な手法やチェック時の注意点については以下の記事で詳しく解説しています。

6 コンプライアンス違反が起こった時の対処法

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万が一コンプライアンス違反が起こった時は以下の順番で対応しましょう。

  1. 早急に原因究明・被害状況を確認する
  2. 弁護士等の専門家に相談する
  3. 状況を整理した上で公表する
  4. 再発防止策を策定する

順番に説明します。

①早急に原因究明・被害状況を確認する

実際にコンプライアンス違反が発生した場合、可能な限り迅速に被害状況を把握し、発生原因も特定するようにして下さい

被害を最小限に抑えるためにも、コンプライアンス担当者と連携して早急に状況を把握して二次被害や三次被害まで波及させないようにしましょう。

危機管理では初動の速さが非常に重要です。

②弁護士等の専門家に相談する

企業内だけはなく弁護士等の専門家に相談し、適切なアドバイスを貰いましょう

コンプライアンス違反の度合いによっては裁判や示談、報道に対するアクション等が必要になる場合もあります。

そのような場合、専門的知見を持ちながらも客観的で適切な助言をしてくれる専門家の存在は大きな助けになるはずです。

③状況を整理した上で公表する

報道機関等に公表する際は必ず状況を整理した上で行いましょう

迅速に対応していても発表することが二転三転するのであれば、ますます信用を無くしてしまうからです。

状況を整理した上で自ら積極的に情報の公表と謝罪を行いましょう。

そうした姿勢を示すことが不祥事を起こした中から再度社会の信頼を取り戻す上では大切になるからです。

④再発防止策を策定する

緊急に対応すべきことがひと段落したら、発生したコンプライアンス違反に対する再発防止策を策定しましょう

場合によっては第三者や外部の人間からなる調査委員会などを設け、コンプライアンス違反発生についての検証を行うことも重要です。

また関係者の処分についても決める必要がありますが、慎重に行うようにして下さい。

処分次第では社内の士気低下や萎縮等の悪影響が出てしまう場合があるからです。

なお、全社的なコンプライアンスに対する再教育についても併せて取り決めましょう。

7. コンプライアンス重視の流れの背景

コンプライアンス重視の流れの背景_画像

コンプライアンス重視の流れの背景として以下の要因が考えられています。

  • 「利益優先・消費者軽視」の企業の増加
  • 企業の社会的責任が大きくなってきた
  • 一度の不祥事によるダメージが大きくなった

順番に説明します。

「利益優先・消費者軽視」の企業の増加

高度経済成長期以降、企業の経済活動はかつてないほど活発なものになりました。

しかしその一方で公害や不祥事等も多発し、「利益優先・消費者軽視」と見えるような企業も目立つようになって来ました。

こういった姿勢の企業に対して社会の側が「企業であっても社会の一員として責任を果たすべき」との考えを強く求めるようになり、その動きが今日のコンプライアンス意識の源流の1つとなりました。

企業の社会的責任が大きくなってきた

企業の社会的責任(CSR)は民営化や規制緩和等で、それ以前は国や自治体が担っていた事業を民間企業が担うようになっていく中でさらに強く求められるようになって来ました。

また、大企業が経済や社会全体に与える影響力の大きさも考慮し、従来型の「法律やルールさえ守れば良い」ではなく、より広範な社会規範やモラルも含んだコンプライアンスの意識の重要性が求められるようになって来ました。

一度の不祥事によるダメージが大きくなってきた

社会全体でのコンプライアンス意識が高まって来たことに加えて、スマホやSNS等の普及により個々人が今までよりも自由に情報発信ができるようになったことが昨今のコンプライアンス違反のリスクの大きくしている最大の原因と言えるかも知れません。

以前であれば、せいぜい地域のちょっとしたニュースで終わるような出来事でも、瞬く間に世界中に発信・拡散されてしまい、甚大なダメージを被るようなことも起きるようになりました。

このような状況が出現してきたために企業としても従来にも増してコンプライアンスを重視した経営や組織運営が求められるようになったのです。

8. コンプライアンスに類似した概念

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コンプライアンスに類似した概念について以下の通り説明します。

  • コンプライアンスとガバナンスの違い
  • コンプライアンスとCSRの違い

順番に説明します。

コンプライアンスとガバナンスの違い

コンプライアンスとは「法令遵守」が基本的な意味ですが、社会規範やモラル等の尊重も含めた意味で使われることが多いです。

一方でガバナンスとは「企業統治」を指す言葉であり、理念としてのコンプライアンスを実現するための実際の仕組みや体制としてガバナンスという意味合いで使われます。

コンプライアンスとCSRの違い

CSRとは、企業の社会的責任を意味する英語「corporate social responsibility」の略語のことです。

今日では企業も社会の一員であり、社会に対する相応の責任を果たすべきとの考えから生まれました。

コンプライアンスはCSRの一部とも言えます。

9. コンプライアンス違反で破滅しないために

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ここまで「何がコンプライアンス違反に当たるのか」や「反社等のコンプライアンス違反の新しいリスクにはどう備えるべきか」等を中心に解説してきました。

最後に、今回の記事の要点を振り返りつつ「今回のポイント」を紹介します。

また、新しいコンプライアンス違反のリスクである「反社リスク」に対して備えるためのヒントとして反社チェックツールについても説明します。

「コンプライアンス違反で破滅してしまう」という悲劇を回避するためにも参考にして下さい。

過去の事例を自社のコンプライアンス強化の糧にする

今回は今や一筋縄では対策できなくなったコンプライアンス違反への取組み方について「コンプライアンス違反に何が該当するのか」や「コンプライアンス違反のリスクはどんなものか」という点も踏まえながら事例を通して解説して来ました。

今回紹介した事例の中で自社にも当てはまりそうなリスクがあれば、今後のコンプライアンス対策を考える上での糧として活用して下さい。

従来型の対策では手薄になる部分も気を付けておく

反社リスク」のような従来は存在しなかった新しい種類のコンプライアンス違反には、自社が健全な経営や組織運営を心がけているだけでは十分に対応できません。

常に変化し種類も増え続ける上に、判別すること自体も困難だからです。

それゆえ、従来型のコンプライアンス対策だけでは手薄になってしまうリスクに対しては「反社チェック」のような専門特化した対策が必要になります

自社の現状のコンプライアンス対策では新しいリスクに手薄になってしまう部分を今回紹介したコンプライアンス違反の事例を通して点検してみましょう。

今回のポイント

・コンプライアンス違反とは不正会計や偽装等のことであり、法令だけでなく社会規範やモラルに反する行為のことを指す
・コンプライアンス違反は時代の変化やSNS等の普及等により「会社を破壊する可能性のあるリスク」になった
・コンプライアンス違反には「反社」のような従来のコンプライアンス対策では十分に対応できないリスクも含まれるようになった
・過去のコンプライアンス違反事例を自社に引き付けて学ぶことがコンプライアンス対策を考える上で有効であること
・「反社」のような新しいリスクには事例研究に加えて「反社チェック」のような専門特化した対策も必要であること

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今回は「反社という新しいコンプライアンス違反のリスク」や「反社リスクには反社チェックのような専門特化した対策が必要」であることにも触れて説明してきましたが、

「反社リスクに備えるべきだと分かったけど具体的に何から始めるべきか分からない」

「反社チェックに手間も時間も費用もそんなに掛けられない」

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10コンプライアンス違反事例についてのQ&A

今回の記事で解説した内容のポイントをQ&A形式でまとめてみました。

「コンプライアンス対策すべき理由」や「コンプライアンス違反のリスクや影響」、「新しいコンプライアンス違反のリスクへの対策」等を確認する際にお役立て下さい。

中小企業でもコンプライアンスには気を付けるべきなのか?

中小企業も他人事ではありません。SNS等の普及により比較的小さな問題でも瞬時に広範囲に拡散されてしまうため、問題を起こしたことで被るダメージが以前よりも格段に大きくなったからです。

コンプライアンス違反を起こすとどのくらいの悪影響があるのか?

現代においては最悪の場合、倒産さえありうるリスクとなりました。コンプライアンス違反は時代の変化やSNS等の普及等に加えて「反社」のような従来のコンプライアンス対策では十分に対応できない新しいリスクも出現したからです。

コンプライアンス違反を起こした企業はどうなったのか?

コンプライアンス違反の種類や規模にもよりますが、最悪の場合、倒産にまで追い込まれました。倒産まで至らなくても適切に対応しなかった場合、非常に大きなダメージを被る結果となっています。

3. コンプライアンス違反の事例紹介

なぜコンプライアンス違反は起こるのか?

不正が起こりやすい動機・機会・環境といった要因に加えて、「何がコンプライアンス違反にあたるのか」や「新しいコンプライアンス違反のリスク」といった点について詳しくないという点も挙げられます。

コンプライアンス違反を未然に防ぐには?

コンプライアンス違反を未然に防ぐためには以下の5点を特に意識しましょう。

  1. 考えうるリスクを洗い出しておく
  2. 弁護士等の専門家に確認しておく
  3. コンプライアンス規定を策定しておく
  4. 社内のコンプライアンス体制を整備する
  5. 取引先のチェックを行う

5. コンプライアンス違反を未然に防止する

万が一コンプライアンス違反を起こしたらどうすれば良い?

万が一コンプライアンス違反が起こった時は以下の順番で対応しましょう。

  1. 早急に原因究明・被害状況を確認する
  2. 弁護士等の専門家に相談する
  3. 状況を整理した上で公表する
  4. 再発防止策を策定する

6. コンプライアンス違反が起こった時の対処法

なぜコンプライアンス重視の流れが高まって来たのか?

コンプライアンス重視の流れの背景として以下の要因が考えられています。

  • 「利益優先・消費者軽視」の企業の増加
  • 企業の社会的責任が大きくなってきた
  • 一度の不祥事によるダメージが大きくなった

ガバナンスやCSRはコンプライアンスとは何が違うのか?

コンプライアンスとは「法令遵守」が基本的な意味ですが、ガバナンスとは「企業統治」を指す言葉です。CSRとは、企業の社会的責任を意味する英語「corporate social responsibility」の略語のことです。

コンプライアンスはCSRの一部とも言えます。

近年高まって来た反社というリスクにはどう備えるべきか?

反社リスクに備えるためには「反社チェック」という調査手法で対象者が反社かどうかチェックしておくことが効果的です。反社チェックの具体的な手法やチェック時の注意点については以下の記事で詳しく解説しています。