企業による不祥事、いわゆるコンプライアンス違反は、刑事罰が科される犯罪行為や、行政処分の対象となる法令違反など、複数の類型に分けられます。
コンプライアンス違反は、信用失墜や業績悪化、損害賠償請求といった経営リスクにつながり、企業存続そのものに影響を及ぼすケースも少なくありません。
本記事では、2026年時点の最新事例から身近な違反事例までを類型別・業種別に整理し、発生原因と予防のポイントを解説します。
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- 生成AIでリスクレベルを自動選別&判定
- 3つの専門機関による多層チェック
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目次
直近公表データではコンプライアンス違反倒産が高水準で推移
直近公開データではコンプライアンス違反倒産は高水準で推移しています。(※1)
東京商工リサーチの調査によると、2024年(令和6年)の「コンプライアンス違反」を要因とする倒産件数は320件に達し、過去最多を更新しました。これは前年の192件から大幅に増加した結果です。
倒産原因の内訳では、「税金関連」による倒産が最も多く、全体の約6割を占めています。 これは税金滞納や社会保険料の滞納が企業経営に重い影響を与えていることを示しています。

2025年(令和7年)のコンプライアンス違反倒産の確定件数は、現時点では公表されていません。 2025年の全国企業倒産件数は約10,300件と、12年ぶりの高水準となったことが報告されていますが、コンプライアンス違反を要因とする内訳は今後の公表を待つ必要があります。
このように、コンプライアンス違反が倒産要因となるケースは依然として高水準で推移している可能性が高いとみられます。コンプライアンス遵守は企業存続に不可欠な経営課題です。
コンプライアンス違反の最新事例【2025年〜2026年】
最新のコンプライアンス違反事例を知ることは、企業のコンプライアンス体制構築に役立ちます。ここからは、2025年〜2026年にかけて発覚・処分が行われた主要なコンプライアンス違反事例を業界別に紹介します。
- 事例1:【金融】三菱UFJ銀行|貸金庫窃盗事件
- 事例2:【金融】いわき信用組合|不正融資・長期隠蔽
- 事例3:【IT】オルツ|循環取引による粉飾決算
- 事例4:【飲食】すき家|異物(ネズミ)混入・全店一時閉店
- 事例5:【メディア】フジテレビ|コンプライアンス問題・スポンサー離れ
事例1:【金融】三菱UFJ銀行|貸金庫窃盗事件

2024年10月末、三菱UFJ銀行の元行員が貸金庫の予備鍵を不正使用し、顧客の現金や金塊など総額十数億円を窃盗していたことが発覚しました。犯行は2020年4月から約4年半にわたり、被害者は60人以上に上ります。
元行員は2025年1月14日に窃盗容疑で逮捕・起訴され、一審で懲役9年の判決を受けました。2026年4月には控訴審が東京高裁で開かれています。
銀行側は予備鍵の本部一括管理や防犯カメラ増設などの再発防止策を発表しましたが、金融機関の信頼を根幹から揺るがす事態となりました。(※2)
事例2:【金融】いわき信用組合|不正融資・長期隠蔽
2025年5月29日、東北財務局がいわき信用組合に対し業務改善命令を発出しました。
調査の結果、旧理事長・会長の主導により、迂回融資・無断借名融資・水増し融資が2008年頃から長年にわたって行われていたことが判明。さらに当局への虚偽報告による隠蔽工作も認定されました。
2025年10月31日には金融庁が追加の行政処分として業務の一部停止命令を下し、新規顧客への融資業務が一定期間停止されました。
2026年1月21日には、東北財務局から福島県警察に対し虚偽報告・虚偽答弁について告発が行われています。(※3)
事例3:【IT】オルツ|循環取引による粉飾決算
AI開発企業のオルツは2024年10月に東証グロース市場に上場しましたが、2025年4月に証券取引等監視委員会(SESC)の調査が入り、売上高の約9割(119億円相当)が架空計上だったことが発覚。
2025年7月28日に第三者委員会が調査報告書を公表し、同月に民事再生法を申請(負債総額約24億円)、8月に上場廃止となりました。
2025年10月には元社長ら4名が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で逮捕・起訴され、2026年3月9日の初公判では被告側が起訴内容を認めています。
事例4:【飲食】すき家|異物(ネズミ)混入・全店一時閉店
2025年1月21日、すき家 鳥取南吉方店で提供されたみそ汁にネズミが混入していたことが発覚しました。
すき家側は当初、公表を見合わせましたが、3月22日の報道を受けて事実を公表。さらに3月28日には東京都昭島市の別店舗でも害虫混入が判明し、3月31日から4月4日まで一部を除く全店を一時閉店する異例の措置がとられました。
公表の遅れが批判を招き、「不祥事ランキング2025」でも2位にランクインするなど、ブランドイメージに大きな打撃を受けています。(※4)
事例5:【メディア】フジテレビ|コンプライアンス問題・スポンサー離れ
2025年1月、元タレントによるフジテレビ女性社員へのハラスメント事件への対応が社会問題化しました。
事件自体は2023年6月に発生していましたが、経営陣がコンプライアンス部門に情報共有せず、極秘裏に処理していたことが週刊誌報道で明るみに出ました。対応の遅れと不透明さにCMスポンサーの大半が出稿を停止し、社長が辞任する事態に発展。
2025年7月には新社長のもと「コンプライアンス推進局」の新設を含む大規模な組織再編が実施されました。前時代的なハラスメント体質が時代の変化により表面化した象徴的な事例です。(※5)

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コンプライアンス違反の身近な事例
身近なコンプライアンス違反、個人的なレベルでの事案など、直近の事例をご紹介しましょう。
SNS利用にあたってのコンプライアンス違反や、情報セキュリティ、違法ダウンロードなど、近年特に顕著な事案についても紹介しています。
- 事例1:【IT・電機】NEC社員が就活生への性的暴行容疑で逮捕
- 事例2:【エネルギー】ENEOSグループで3年連続の解任・辞任
- 事例3:【飲食】BeReal経由の不適切投稿が多発
- 事例4:【サービス・医療】SNS投稿に顧客・患者情報が映り込み
- 事例5:【製薬】ロート製薬に消費者庁が措置命令
- 事例6:【製造】カヤバに公正取引委員会が勧告
- 事例7:【小売】コーナン商事等が社名公表
- 事例8:【警備】セコム従業員が現金輸送中に1,000万円を着服
- 事例9:【メディア】日本海テレビ元局長が24時間テレビの寄付金を横領
- 事例10:【飲食】個人のSNSでのコンプライアンス違反の事案
個人的要因による違反や、過失によるミス、ミスのごまかし、法令を知らなかった事例、法令違反ではないが信用問題になるケースなど、身近な事例を、予防策も交えながら解説していきましょう。
事例1:【IT・電機】NEC社員が就活生への性的暴行容疑で逮捕(2025年1月)
2025年1月8日、NECの男性社員がインターンシップで知り合った就職活動中の女子大学生に対し、不同意性交の疑いで逮捕されました。
「就活の相談に乗る」と誘い出し、居酒屋で深夜まで飲酒した後に犯行に及んだとされています。
NECは1月14日に公式プレスリリースで事実を公表し、当該社員を懲戒解雇。再発防止策として、1対1の面会はオープンスペースまたはオンラインに限定・1時間以内とするルールを導入し、飲酒を伴う懇親会も全面禁止、ハラスメント相談窓口を新設しました。
採用活動における社員の「個人的な行動」が企業ブランドを毀損した典型例です。(※6)
事例2:【エネルギー】ENEOSグループで3年連続の解任・辞任(2022年〜2024年)
ENEOSグループでは、経営トップによるセクハラ事案が3年連続で発生しました。
2022年8月にENEOSホールディングスの杉森務会長が高級クラブでのセクハラ行為で辞任。2023年12月には後任の斉藤猛社長が懇親会の場で女性に対する不適切行為により解任されました。
さらに2024年2月には、子会社ジャパン・リニューアブル・エナジーの安茂会長もセクハラで解任。再発防止策を講じた直後に同様の事案が繰り返されたことで、「企業文化・風土そのものの問題」として厳しい批判を受けました。
経営トップのコンプライアンス意識が欠如していれば、どれだけ制度を整えても機能しないことを示す象徴的な事例です。
事例3:【飲食】BeReal経由の不適切投稿が多発
2025年秋以降、Z世代に人気のSNSアプリ「BeReal」で撮影された不適切動画がX(旧Twitter)に転載され、飲食チェーンを中心に大規模な炎上が相次ぎました。
ドトールコーヒーでは2025年9月にアルバイト従業員が厨房内で不衛生な行為を撮影し炎上(10月3日に公式謝罪)。
くら寿司では10月に寿司をなでる迷惑動画が拡散。
ケンタッキー・フライド・チキンでも商品の生地をフリスビーのように投げる動画が数十万再生を記録しました。2026年5月にはピザーラ蒲田店でも不適切動画が拡散。
BeRealは「親しい友人だけに見せる」前提のSNSですが、スクリーンショットがXに転載される構造が常態化しており、「消える投稿だから大丈夫」という油断が企業リスクに直結しています。
事例4:【サービス・医療】SNS投稿に顧客・患者情報が映り込み

2025年には、従業員のSNS投稿に顧客の個人情報が映り込んで流出するケースが問題化しました。レンタカー会社の従業員が顧客への不満をSNSに投稿した際、背景に顧客情報が記載された書類が映り込んでいたことが発覚し炎上。
また2025年10月には北海道の公立病院で、委託業者の職員が受付業務中にBeRealの通知に反応して撮影した画像に患者情報が映り込むトラブルが発生しました。
いずれも「故意」ではなく「不注意」による漏洩ですが、個人情報保護法上の安全管理措置義務違反にあたる可能性があり、個人情報保護委員会への報告義務が生じます。スマートフォンの業務中持ち込みルール整備が急務です。(※7)
事例5:【製薬】ロート製薬に消費者庁が措置命令
2025年3月25日、消費者庁はロート製薬に対し、景品表示法違反(ステルスマーケティング告示該当)で措置命令を出しました。
同社はサプリメント「ロートV5アクトビジョンa」の消費者モニターに、指定した画像や文言をInstagramに投稿するよう依頼し、サプリ1袋(約5,400円相当)を無償提供。
Instagram上では「PR」表記がありましたが、投稿を抜粋して掲載した自社ウェブサイト上では広告であることを明示しておらず、これが違反と認定されました。
SNSマーケティングを行う企業にとって、投稿者側だけでなく自社サイトでの二次利用まで含めた広告表示管理が求められることを示した事例です。(※8)
事例6:【製造】カヤバに公正取引委員会が勧告
2025年4月24日、公正取引委員会はカヤバ(旧カヤバ工業)に対し下請法違反で勧告を行いました。
カヤバは下請事業者167社に対し、すでに発注のない型・治具5,756品番を長期間にわたり無償で保管させ続けており、下請事業者の利益を不当に害していたと認定されました。勧告を受けると企業名が公正取引委員会のウェブサイトで公表されるため、信用低下に直結します。
こうした不当な要求は現場の購買・調達担当者レベルで慣行的に行われやすく、経営層が把握しないまま違反が常態化する典型的なパターンです。(※9)
事例7:【小売】コーナン商事等が社名公表
2025年3月14日、公正取引委員会は、取引先からの価格転嫁の要請に対し協議を経ずに取引価格を据え置いていた企業の社名を公表しました。コーナン商事はその1社として社名公表を受けています。
原材料費・エネルギーコスト・人件費の上昇を背景に、中小企業からの適正な価格転嫁の要請を不当に拒否する行為は独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に該当する可能性があります。
社名公表は法的措置の前段階として大きな抑止力を持ちます。購買・調達部門を持つ企業は、自社の取引慣行が違反に該当しないか定期的な点検が必要です。
事例8:【警備】セコム従業員が現金輸送中に1,000万円を着服
2024年2月、警備大手セコムの従業員が、業務中に会社から預かったバッグから現金1,000万円を抜き取り着服したとして、業務上横領の疑いで再逮捕されました。元従業員はATMへの現金補充作業中にも別途1,000万円を着服しており、着服した現金はオンラインカジノに使っていたとされています。
「信頼」が商品である警備会社での横領は業界全体の信用を揺るがしました。従業員による横領は、経理担当者や現金を扱う業務に限らず、あらゆる職種で起こりうるリスクです。
内部監査体制の強化、複数人によるダブルチェック体制、不自然な生活水準の変化に気づく管理体制など、日常的な不正防止の仕組みが求められます。
事例9:【メディア】日本海テレビ元局長が24時間テレビの寄付金を横領

2024年7月22日、日本海テレビの経営戦略局元局長が、チャリティー番組「24時間テレビ」の寄付金137万円と会社資金470万円を着服したとして、業務上横領の疑いで逮捕されました。
元局長は経理部長や総務局長を歴任しており、会社の資金管理を一手に担う立場にありました。社内で現金保管されていた寄付金を持ち出し、自身の銀行口座に入金するという手口で、長期間にわたり発覚しなかった点が問題視されています。
会社は2023年11月に元局長を懲戒解雇済みです。「1人に資金管理を任せきりにする」体制の危険性を浮き彫りにした事例で、中小企業やNPOなど管理人員が限られる組織ほど注意が必要です。
事例10:【飲食】個人のSNSでのコンプライアンス違反の事案
2022年、食品衛生の問題を理由に退職した、飲食店チェーン・フランチャイズ店の元従業員が、写真をSNSに投稿し、拡散したことがニュースになりました。
結局、フランチャイズ店の店舗は閉鎖されました。
保健所の検査は適正に受けていたとのことですが、法令違反にはならない場合でも、食品衛生や店の対応に問題があったなら、消費者の信用を損なうリスク、ネットでの炎上リスクがあるでしょう。
一方、元従業員の行為についても、適正な内部通報なら問題はなかったにもかかわらず、SNS投稿では名誉棄損や営業妨害とされるリスクがあります。
身近なコンプライアンス違反、個人レベルでの違反事案が起きる原因

組織ぐるみの大規模な違反も個人的で身近な事案でも、コンプライアンス違反は人が起こします。個人が違反に手を染めてしまう原因には、置かれた環境、人間関係、心理などの要因が関わっています。
ここからは、コンプライアンス違反の原因について解説します。
不正のトライアングルが揃っている
人が不正行為を行うには、機会、動機・圧力、正当化という3つの要素が揃ったとき。アメリカの犯罪学者、会計学者らがモデル化した、有名な「不正のトライアングル」理論は、コンプライアンス違反にも当てはまるでしょう。
- 機会(oppotunity)
- 動機(motive)・圧力(pressure)
- 正当化(rationalization)
企業のコンプライアンス違反を防ぐには、3要素を取り除き、継続してチェックする体制を整備することが必要です。
仕事・待遇・上司への不満やプレッシャー
不正会計が起きる営業成績へのプレッシャー、偽装の要因となる成果達成へのプレッシャー。上司によるパワーハラスメントは、それ自体がコンプライアンス違反です。職場環境や、残業などの労働環境、仕事・上司に対する不満も、不祥事の原因となりかねません。
営業妨害や、個人的犯罪などに走る行為、SNS書き込みなどでの誹謗中傷なども、環境が遠因となっている事例が見られます。
不正トライアングルでの3要素では、動機(motive)・圧力(pressure)にあたります。
職場環境・就業環境の向上や、職場でのコミュニケーション、パワハラの除去などが、コンプライアンス違反の予防に有効となるでしょう。
コンプライアンスを軽視している
会社ぐるみで不正を行い、あるいは管理職主導で違法残業を強制するなどは、コンプライアンス軽視の最たる事例です。
経営不振などが動機となっているかもしれません。
経営陣や管理職が主導するのでは、機会(oppotunity)はいくらでもあり、正当化(rationalization)されるのは自明です。
社内規定を設け、コンサルタントや社外取締役なども入れて厳格に適用すること。外部の専門家を招いての社内研修なども効果的です。
法律知識の欠如や法改正への未対応
従業員や取引先が、法律知識に疎く、知らずに違反をしてしまうこともありそうです。法令の知識は、社内研修や、外部機関が主催する研修を受ける対策で身につけましょう。
法令の改正により、新たな義務や罰則が設けられることも。関係業界の法律改正には注意し、従業員への周知、研修を行うことが重要です。
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身近にいつでも起こりうる違反事例、個人レベルでの事案と予防策

- コンプライアンス意識の欠如の予防策
- 公私混同・不正利得が要因となるケースの予防策
- パワハラ事案の予防策
- セクシュアルハラスメント事案の予防策
- 個人による差別発言事案の予防策
- 過失によるミスが要因となるケースの予防策
コンプライアンス違反は、身近にいつでも起きる可能性があると認識し、対策を立てるべきです。近年のテレワークや副業、SNS、給付金などの、社会情勢に関係する要因にも注意が必要でしょう。
身近な小さなコンプライアンス違反、従業員個人のレベルでの違反でも、見逃して放置してしまうと、やがて規律が乱れ、取り返しのつかない大規模な不正を招いてしまうかもしれません。
コンプライアンス違反の予防策としては、コンプライアンス部署の設置、各種規定の整備、コンプライアンスチェック体制の構築、社内研修の充実、相談窓口の設置など、さまざまな事案に共通する対策があります。そこで違反の類型別、要因別に有効な予防策について見ていきましょう。
コンプライアンス意識の欠如の予防策
悪いとはわかっていても、「大したことないだろう」という考えで行ってしまうのは、コンプライアンスの軽視。上司の承認なしに行う残業や、テレワークに必要だからと社外秘の情報を持ち出すことは、バレなければ問題にならない可能性もあります。
しかし、顧客情報が不正に利用されたり、悪意がなくても流出すれば大問題。犯罪に利用されることも大いにありえます。
社内規定を整備し、クラウドでの情報管理、権限の設定などを行うこと。
クラウドツールの業務日報や、リモートでも動画でコミュニケーションとるなどの対策や、社員研修が必要です。
公私混同・不正利得に対する予防策
コンプライアンス軽視の具体例として、公私混同や不正利得が動機となるケースがあります。会社からの支給品の不正取得や、経費のごまかしで、個人的に利得を得るといった事例があるでしょう。
会社の備品や情報の管理を徹底し、チェックを定期的に行うことが必要でしょう。社内規定の整備や、従業員に対する研修が必要なことも同様です。
パワハラに対する予防策
パワーハラスメントなど、特に上司、管理職の意識に関わる問題は、コンプライアンス意識の徹底と教育、そして従業員からの相談・カウンセリングを秘密厳守で行う窓口の設置が効果的です。
個人的な問題として単に本人の処分をしただけで済ませるのではなく、社内規定、相談窓口、内部通報制度、コンプライアンスチェックなどの体制を整備する必要があります。
体制整備をしなければ、個人的な行為であっても企業や組織の風土に影響が及ぶでしょう。
従業員個人の故意による行為に対する予防策
従業員個人の故意による犯罪など、従業員個人の属人的な要因は、早期発見することが必要。不適切なSNS利用や、会社の備品・器物に危害を加えるなどの行為から、さらに個人的に引き起こす重大犯罪までが考えられます。
従業員を日常的に観察してコミュニケーションをとり、定期的にコンプライアンスチェックすることが大切です。
社内研修のほか、従業員のメンタルヘルス対策を、専門家に相談するのも有効でしょう。
セクシュアルハラスメントに対する予防策
セクハラや、付きまといなどの迷惑行為も、れっきとした犯罪です。犯罪とは言えない程度の言動であっても、従業員のモラルが問われます。社外では苦情の原因に、社内では人間関係の悪化や退職などに結びつきます。
個人のちょっとした言動の段階から注意し、コミュニケーションをとり、定期的にコンプライアンスチェックすることが大切。
社内研修や、相談窓口、従業員のメンタルヘルス対策も同様に有効です。
個人による差別発言に対する予防策
企業の従業員ではなく、国内プロゲーミングチームに所属する個人の事案です。
2023年1月、外国選手に対する「差別発言」を行い、発言が拡散されたことについて、同チームが除名処分を行ったと報道されました。
出身国、性別、外見、身体的特徴、思想信条、宗教などを題材とした言動も、名誉棄損などの犯罪になりうるほか、たとえ法令違反には問われないケースであっても立派なコンプライアンス違反です。
過失によるミスに対する予防策
悪意がないのに、従業員個人の過失によるミスや、ミスを隠すための嘘・ごまかしが、コンプライアンス違反の要因となり、放置すると拡大することもあります。
請求書を間違って発行してしまっても、そのまま押し通せば売り上げの前倒し計上に。
インターネットでの個人情報の流出も、メールの誤送信や、クラウドツールの操作のミスから引き起こされることがあります。
USBメモリの紛失も、重大な情報漏洩に発展する可能性があり、クラウド利用に切り替え、セキュリティ対策をすることが重要です。
社内のコンプライアンス管理体制を構築するには

社内のコンプライアンス体制を整備するには、まずは現状を把握し、足りない部分を整備するか、一から構築するかを検討します。
できれば外部の専門家など、第三者も入れて整備するのがよいでしょう。
業務フローから、コンプライアンス違反のリスクを洗い出す
業種により、会社の業務内容によって、想定されるリスクには会社独自のものと、どの業種にも共通するものがあるでしょう。業界の関係法令もチェックし、社内の業務フローから、考えられるリスクを洗い出します。
人事・労務管理や、職場環境など、問題点・改善点の見直しも必要です。
内部管理体制を整備し、コンプライアンス規定や方針を作成する
想定されるリスクの予防に必要な、対応策も洗い出します。必要な社内規定の作成と周知、定期的な社員研修の実施などの方針を作成し、マニュアル化します。
テレワーク、従業員個人による副業、業務や業務外でのネット利用などの規定も、必要に応じて見直しましょう。
コンプライアンス研修や、改正法令の研修を実施する
コンプライアンス研修は定期的に実施し、正社員だけでなく、アルバイトなど非正規社員にも、必要な知識を身につけてもらいましょう。
コンプライアンス違反は、個人的な事案であっても、会社ぐるみの組織的なものであっても、行為自体は個人が行うものだからです。
社内研修の実施、外部研修への参加など、特に法令に関しては弁護士などの専門家によるレクチャーがあると安心です。
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事例①株式会社レセプショニスト

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同社では、このような機能を活用して効果的にコンプライアンスチェック体制を構築したことで、担当者がよりコアな業務に専念できるようになり、適材適所の人材配置を実現することに成功しました。
今後は提供サービスの拡張に伴い、ツールの活用範囲を広げていく方針です。
事例②エコロシティ株式会社

全国でコインパーキングを中心とした駐車場運営事業を展開しているエコロシティ株式会社では、月40~50件の新規コンプライアンスチェックや、年に一度の全件チェックを実施しています。
しかし、新聞社の記事データベースを活用する旧来の方法では、何かと無駄が多く、業務の煩雑化や効率性の低下が課題となっていました。
そこで、『RoboRoboコンプライアンスチェック』を導入。データ形式の細かい違い(全角・半角、スペースの存在など)などの重複を許容する設定にしたことで、大容量データを処理する際の柔軟性とスピードが向上しました。
また、コンプライアンスチェックのほとんどすべての業務を丸投げできるBPOサービスも活用しています。
結果、6,000件の定期チェック作業がわずか60件の最終確認だけで済むようになり、作業時間の大幅な削減につながっています。
「コンプライアンス 事例」に関するよくある質問
Q1. コンプライアンス違反を起こした企業にはどのような罰則がある?
罰則は大きく「行政処分」「刑事罰」「民事責任」の3つです。行政処分には業務停止命令・課徴金・企業名公表などがあり、刑事罰では法人に数億円規模の罰金が科されるケースもあります。
さらに被害者や株主からの損害賠償請求も発生し得ます。罰則そのものに加え、報道やSNS拡散によるブランド毀損が経営に致命的な打撃を与えることも少なくありません。
Q2. コンプライアンス違反をした従業員個人はどうなる?
社内処分と法的責任の両面でペナルティが科されます。社内では戒告・減給・降格・懲戒解雇などの処分対象となり、横領や情報漏洩などが刑法に抵触する場合は逮捕・起訴される可能性もあります。
会社や被害者から損害賠償を請求されるケースも珍しくなく、「会社の指示だった」「知らなかった」は免責の理由になりません。
Q3. コンプライアンス違反が発覚した場合、企業が最初にとるべき対応は?
初動対応のスピードと正確さがその後の被害規模を左右します。
基本的な流れは以下の通りです。
- 事実関係の把握と証拠保全
- 被害拡大の防止
- 監督官庁・警察への報告
- 社内外への情報開示
- 再発防止策の策定・公表
初期段階での隠蔽や矮小化は、発覚後にさらなる信用失墜を招く最大のリスク要因となるため、早期に外部専門家を交えた対応体制を構築しましょう。
まとめ|コンプライアンス違反への意識が大切
企業の不祥事や、情報流出などのコンプライアンス違反は、重大な刑事罰や法令違反でも、身近な不注意が原因となる事例が多いとわかるでしょう。
違反事例を類型別、業種ごとに説明しましたが、自社のケースに当てはめて、コンプライアンス違反を防ぐためにどのような対策が必要か、対策のきっかけになれば幸いです。
従業員による個人的で身近な事案でも、いったんコンプライアンス違反が発生し、報道やネットで情報が拡散すれば、取り返しがつかない損失や、信用失墜となることも。
法令チェック、業務フローからリスクの洗い出しを行い、社内規定の作成や周知、社内研修などのコンプライアンス対策が大切。
企業倫理や社会規範に反する事案を防ぐため、コンプライアンスツールにより自動でチェックするのもおすすめです。
【出典】
※1 東京商工リサーチ|全国企業倒産状況
※2 三菱UFJ銀行「元行員の不祥事に関する対応状況・再発防止策等について
※3 金融庁「いわき信用組合に対する行政処分について」
※4 すき家公式「すき家に関する一部報道について(第2報)」
※5 フジテレビ「第三者委員会の調査報告書」
※6 NEC公式プレスリリース「当社社員の逮捕について」
※7 個人情報保護委員会「漏えい等の対応について」
※8 消費者庁「ロート製薬株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について」
※9 公正取引委員会「カヤバ株式会社に対する勧告について」

