反社会的勢力に企業が関わってしまうリスクは、たくさんあります!
法令違反による罰則リスク、信用棄損リスクなどのさまざまな類型があります。
しかしそれだけではありません。
反社リスクには、損害を被る直接のリスクのほか、訴訟や行政処分などの法的リスク、取引先や金融機関に対する信用リスクなどがあり、企業防衛のために対応しなければなりません。
この記事では反社リスクを類型別に、事例も交えて紹介し、リスク回避の対策や、社内のコンプライアンス体制の整備、反社チェック効率化のためのツールについて解説します。
反社の組織態様がわかりにくく、社内のチェック体制を整備しなければならないため、適切な対策を考えなければなりません。
RoboRoboコンプライアンスチェックは、圧倒的に安いコストで、反社チェックとコンプライアンスチェックを自動化でき、業務を効率化しながら、リスクを軽減する対策を簡単に導入できます。
反社リスクを正しく知って、企業の社会的責任を果たす効果的な方法を取り入れましょう!
目次
”反社は見抜きづらい”リスク
反社会的勢力に企業に関わってしまうリスクには、行政リスク、信用リスク、法的リスクなど様々な類型があります。
いくつものリスクが同時に発生することが多く、反社の排除が適切にされないと、甚大な損害を被るかもしれません。
反社組織の多様化
警察庁が発表している暴力団構成員・準構成員の人数は、2005年には約8万7000人でしたが、その後減少し続け、2019年には約2万8200人まで激減しています。
総会屋・企業ゴロ等も2010年の約1,330人から、2019年末時点には約1,000人にまで減少しています。(出典:警察庁組織犯罪対策部「令和元年における組織犯罪の情勢」)
暴力団対策法(暴対法)・暴排条例の施行以来、警察や自治体、金融業界などをあげての取締りが強化され、資金獲得源の減少や、構成員の離脱が進んだことが、背景にあるとみられます。
一方で、不正な資金獲得は、取締りを逃れるため巧妙化しています。
反社会的勢力や活動の潜行化・匿名化が進行し、それを裏付けるように暴対法の適用対象外である半グレ勢力の台頭が、近年報じられています。
組織実態や活動の詳細を把握するのは警察にも困難で、暴力団と共生者の関係も指摘されるほか、SNS、仮想通貨などを使った犯罪にも関与しています。
相手が見えないリスク
反社会的勢力は、暴力団、暴力団構成員に限らず、暴対法の適用対象外のグループや個人も含め、近年は多様な組織形態があり、区別がつきにくくなっています。
ビジネスを装い、経済取引に巧妙に紛れ込むなど、企業に近づくためにさまざまな機会が常に狙われています。
企業にとって、組織実態が見分けにくいという点がリスクになっているのです。
企業形態の反社組織や、組織の構成員ではない個人による反社行為なども企業を困らせる一因です。
RoboRoboコンプライアンスチェックなら、インターネット・新聞記事の同時検索を自動で行い、企業も個人も、推奨キーワード、自由キーワードで一定品質の反社チェックが可能です。
2020年6月~2021年11月時点での、RoboRoboコンプライアンスチェックユーザーの利用状況の調査では、チェック件数12万4667のうち、1,707件(1.37%)が取引停止または保留になったというデータがあります。(オープンアソシエイツ株式会社調べ)
RoboRoboコンプライアンスチェックで取引停止を実施した企業が57.2%に対し、ツールの利用有無に関わらず取引停止を実施した企業は42.9 %と低い数値も出ています。
ツールを利用した結果、企業リスクの早期発見の一助となっています。
出典:オープンアソシエイツ株式会社(詳しくは無料で資料ダウンロード)
反社チェック体制不備によるリスク
企業が反社チェック体制や対策をしていないか、不備がある、不十分である場合には、取引先や内部者に反社の関係者が紛れ込むリスクがあるでしょう。
反社対策の体制不備
コンプライアンス対策の部署がない、人材が足りないといった不備があると、効果のある反社対策ができません。
人材不足、経営陣の認識不足、企業の予算不足などの要因から、体制不備がある企業は現在でも多くあります。
2020年に全国暴追センター、日弁連、警察庁が共同で行った、全国の企業1万社を対象としたアンケート調査があります。
過去5年間に不当要求を受けた企業が、どのような手段で対応したかについて、直接の接触(面会等)が 13 社と最多です。
出典:令和2年度 企業を対象とした反社会的勢力との関係遮断に関するアンケート
(全国暴追センター・日本弁護士連合会・警察庁)
しかし、不当要求に対応した部署では、「代表取締役等のトップ以下、組織として対応した」が8社、 「反社会的勢力対応部署が対応した」が5社でした。
「窓口となった担当部署だけで対応した」ケースも3社、「窓口となった担当者だけで対応した」ケースは2社と続きます。
反社対策のための組織的対応がいきわたっているとはいえません。
間違った対応をしてしまうと、反社のさまざまなリスクを負うことになりかねず、コンプライアンス担当部署や、弁護士の意見なども踏まえ、全社的に統一した対応方法をとる必要があります。
規定の不備
社内規定、就業規則、誓約書、契約書の不備。
反社チェックの体制や規定、マニュアルが整っていない場合にも、有効な反社対策ができません。
前述のアンケート調査によると、企業の反社対策の内容は、「契約書・取引約款等に暴力団排除条項を盛り込んでいる(またはその予定)」が 77.6%(939 社)と最多ではあるものの、反社条項を採用していない企業が22.4%もあることがわかります。
「反社会的勢力との関係遮断について、社の内規に明文規程を設けている」企業は39.5%です。
60.5%が社内規定に反社対応を盛り込んでいません。
反社チェックについては、「取引相手等が反社会的勢力かどうかの審査を実施している」企業は37.9%で、62.1%もの企業が反社チェックを行っていません。(出典:令和2年度 企業を対象とした反社会的勢力との関係遮断に関するアンケート(全国暴追センター・日本弁護士連合会・警察庁))
反社チェック体制・方法の不備
形だけコンプライアンス体制を整備しても、実際に反社チェックを行わないと、反社対策の実効性が伴うことはありません。
前述のアンケート調査では、反社対策で困難な点について、「十分な反社会的勢力の情報を得ることが難しい」が78.9%と最多です。
その次に、「社員の安全対策」(38.2%)、「不当要求に対する対応方法がわからない」(34.4%)、「対応のための人員が不足している」(27.8%)、「データベースの構築が容易でない」(17.5%)、「多額のコストを要する」(8.7%)と続きます。(出典:令和2年度 企業を対象とした反社会的勢力との関係遮断に関するアンケート(全国暴追センター・日本弁護士連合会・警察庁))
少ない人員でも、限られた予算でも導入できるRoboRoboコンプライアンスチェックの導入を検討してみてください。
反社データベースの不備
既存の反社データベースでも、組織が多様化し見えなくなっているために不完全なデータしかありません。
企業防衛の観点からは、商談や人材採用などの相手について、契約前の段階から自社チェックを行う必要があります。
前述のアンケート調査では、反社情報の入手について、複数回答で次の結果となっています。
取引先が反社会的勢力に該当するかどうかの「情報を入手したことはない」企業が、43.8%もあります。
反社のリスクを考えれば、半数近い企業が調査できていないのは驚くべき数字です。
情報の入手方法について、「無料のインターネット検索を利用する」が23.0%、「加盟している業界団体等から情報提供を受ける」が19.9%、「警察から情報提供を受ける」が16.3%となっています。
業界団体や警察から、反社の疑いがある対象者について情報を入手するのはよいでしょう。
とはいえ、商談相手や採用応募者すべてを問い合わせるわけにはいきません。
インターネット検索で実効性のある反社チェックをする方法は?
インターネット検索は広く情報を探索するには適した手段です。
しかし手作業で数多くの検索をする手間や、担当者によって調査内容やスキルが変わるため、全社的に統一基準でチェックするのには向きません。
手作業でのインターネット検索は、現場の営業マンなどが担当する商談相手や取引先について、確認する程度に考えたほうがよいでしょう。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、SNSを含むインターネット検索と、新聞記事検索が同時に自動で行えます。
調査対象のすべてを短時間に、安いランニングコストで調査でき、チェック結果の保管や反社判定までを自動でできるため、おすすめです。
業績・財務に直結するリスク
反社との関係遮断ができないと、取引の中断、信用棄損、行政処分などにより、直接に事業の障害となり業績に影響を与えます。
契約解消による業績下方リスク
前述のアンケートで、契約時に反社条項を設けていない企業が2割以上もありました。
逆に見れば、8割近い企業では、取引先に反社との関係が判明した相手との取引は反社条項に抵触し、契約解除できることになります。
多くの企業では反社の取り組みを行い、取引に際し反社チェックを行っています。
特に大企業、優良企業では契約で反社条項を入れているでしょう。
反社と判明すれば契約を解除できるよう体制を整備しています。
せっかく商談や入札で獲得した取引の契約が解除されれば、見込んでいた売上、利益が失われます。
それまでにかかっていた経費などは、損失に計上されるでしょう。
取引中止に伴う損害賠償リスク
契約にともない、下請けや仕入先に発注し、資材の仕入れ、人員の投入が進行していた場合には、相手から損害賠償請求がされるおそれがあり、重大な損害を被るかもしれません。
反社を理由とした契約解除がされても、反社ではない別の相手との契約は有効で、下請けや仕入先に対しては債務不履行となることもあります。
債務不履行による損害賠償は民法第415条によるものです。
反社に関係したことにより、業績に重大な影響があり、ときには経営を揺るがす事態に発展するケースもあります。
入札除外リスク
広く入札参加者を公募する一般競争入札、一定の基準で選んだ名簿から入札参加者を募集する指名競争入札のいずれも、入札から反社勢関係者を除外する対応がとられています。
暴力団などの反社が経営に関与し、あるいは反社勢力と社会的に非難される関係にある場合などに、指名停止、資格停止、契約不締結などの参加資格停止の措置がとられます。
特に公共事業や公共機関への商品納入などを事業とする企業にとっては、業績への影響が甚大となるでしょう。
金融取引のリスク
金融機関から借り入れを行っているなど、既存の取引がある場合には、契約書や約款が適用されます。
銀行や信用金庫、信用組合、政府系金融機関などでも、契約には反社条項が入れられています。
たとえば、全国銀行協会が公表している暴力団排除条項の参考例では、次の条文があります。
私または保証人が、暴力団員等もしくは第1項各号のいずれかに該当し、もしくは前項各号のいずれかに該当する行為をし、または第1項の規定にもとづく表明・確約に関して虚偽の申告をしたことが判明し、私との取引を継続することが不適切である場合には、私は貴行から請求があり次第、貴行に対するいっさいの債務の期限の利益を失い、直ちに債務を弁済します。
つまり、反社への利益供与、役員・経営に実質的に関与している者が社会的に非難されるべき密接関係者であると、金融機関からの取引中止リスク、最悪の場合には直ちに返済しなければならない可能性すらあります。
もちろん、反社チェックをしたのに見抜けなかった等、事情を考慮して取引が継続できることもあるでしょう。
しかし契約解除で中止になった事業の資金借入などは、早期返済となるかもしれません。
資金調達に支障が生じ、財務状況の悪化を招く可能性があるでしょう。
法的リスク
業績や財務面のほかにも、反社に関係した場合に起きうる問題として法的リスクがあります。
刑事訴訟リスク
反社との関わりがもっとも企業にダメージを与えるのは、刑事事件化することでしょう。
刑事事件はいわゆる犯罪であり、刑罰とともに、企業イメージを失墜させるものだからです。
刑事事件の例
代表的なものとして、反社会的勢力への利益供与が、各都道府県の暴排条例違反となり、刑罰の対象とされます。
ただ、違反があればまず勧告、立ち入り、公表、それでも改善されない場合に命令となり、命令に従わないと刑罰が科されます。
早期に改善するなどの対処をすることが重要です。
組織犯罪対策法は、組織的に行われる犯罪を取り締まる法律で、所定の犯罪が団体の活動として組織的に行われた際に適用されます。
通常の犯罪よりも重い刑罰が科される点や、犯罪収益の移転禁止、マネーロンダリング対策が規定されていることが特徴です。
企業でも、組織ぐるみでの犯罪行為や、取引先の犯罪収益の隠匿に協力してしまうと適用される可能性があります。
刑事事件のリスク
刑事犯罪ともなれば、報道や風評、信用棄損による重大な影響を受けるほか、進行中の事業に関連して事件が摘発されれば、業績にも直接影響するでしょう。
行政罰・行政処分リスク
行政手続や、行政目的での各種の規制をする法律に違反すると、行政指導、行政処分、最悪の場合には行政罰を受ける可能性があります。
行政罰は、刑事事件の犯罪ではないものの、法令違反により科される罰則です。
行政処分と行政罰が両方科されることもあります。
行政処分の例
行政による規制法の例としては、たとえば金融取引の規制や、届け出、認可などを規定する金融商品取引法があります。
業種を限定せずに適用される、景品表示法、特定商取引法、独占禁止法などの法律もよく知られているでしょう。
営業に許認可が必要な業種を規制する、建設業法、宅地建物取引業法、労働者派遣法、道路運送法、古物営業法などもあります。
反社との関係で下される行政処分の例としては、反社勢力との所定の関係を理由とした、建設業許可の不許可、宅地建物取引業の許可の取消などがあります。
行政処分のリスク
誇大広告などで景品表示法違反に問われ、措置命令を受けるニュースを時折見かけます。
行政処分の場合でも、報道や風評、信用棄損による重大な影響を受け、特に消費者に対し悪いイメージが広まるため、業績にも直接影響するでしょう。
多くの行政法には、行政処分・行政罰となる前に、行政指導がされる規定があります。
違反があっても早期に発見し、直ちに是正、改善できる体制をとることが必要です。
民事訴訟リスク
刑事事件や行政事件では、国や行政機関からの罰則は、それぞれ刑事訴訟法、行政事件訴訟法による裁判で結論が出されます。
これに対し民事訴訟とは、当事者間の契約や、法令違反による損害、違約金、財産の帰属などの争いを解決するための手続です。
民事事件の例
事業での取引先との間の契約の不履行、雇用契約に基づく争いごとなどは、当事者間で解決するものです。
交渉などで解決しない場合に、民事訴訟にまで発展するケースがあります。
民事事件のリスク
企業が民事訴訟などの揉め事に巻き込まれるケースとして、反社に関わったために損害が生じたり、反社を理由として契約解除をした結果、損害が生じるケースなどがあるでしょう。
反社チェックを怠ったために、反社勢力が関与するのを見抜けなかった場合に、善管注意義務違反として責任者、取締役などが賠償賠償責任を問われるリスクもあります。
このリスクを避けるため、
- 反社でないことを表明・確約する誓約書
- 反社と判明したら契約解除できる契約の反社条項
- 善管注意義務を果たすための反社チェック
がとても重要です。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、反社チェックの結果や、取引先・従業員についてのコメントなどもフォルダに分類して保管できます。
善管注意義務を果たした証拠として残すことができ、いざというときに保管データを活用するのも簡単です。
信用リスク
反社との関係で刑事事件や行政処分があれば、たちどころに企業の信用棄損に結びつきます。
民事訴訟の場合には、当事者間の争いであり、どちらかが一方的に悪いとは決めつけられません。
しかし反社との関係が要因と報道されれば、信用が失墜することになるでしょう。
会社の信用失墜リスク
反社との関係が、企業名とともに報道されれば、企業の悪い評判が知れ渡り、信用失墜リスクとなります。
近年はインターネットで風評が広まることも顕著です。
特に刑事事件や行政処分などはコンプライアンスの中でも特に重大で、悪い評判が立ちやすいため、信用を取り戻すには時間がかかります。
報道されなくても、少なくとも取引先などの当事者や業界周辺には、悪い評判が立つこともあるでしょう。
失われた評判を取り戻すには、原因となった反社との関係を絶ち切り、コンプライアンス体制を確立し、そのことを世間に認めてもらい、知らしめる必要があります。
経営体制を刷新しなければならないかもしれません。
風評リスク
報道や評判がインターネット、特にSNSなどで拡散されると、風評や、不買などの声が広まるリスクがあるでしょう。
インターネットに書き込まれ、拡散される情報は、いつまでも残るため、検索結果に出るなどの弊害が長期にわたる可能性があります。
内部者が不正に情報を流出させ、インターネット掲示板やSNSに不適切な書き込みをするなどして、会社の評判を落とすケースもあります。
退職・就職不人気リスク
企業の信用失墜は、従業員の退職を招くほか、社内のモラル・コンプライアンス意識の低下、新卒や中途採用での就職における不人気、応募者減少の要因となる可能性があります。
反社に関係する従業員がいる、不明朗な取引先に関与しているといった風評が広まると、影響は避けられません。
取引先だけでなく、従業員、役員も含めた関係者全数の反社チェックを徹底する必要があります。
株式上場リスク
上場企業、新規上場申請を目指す企業にとっては、反社との関わりは大問題です。
新規上場申請をしても、上場審査においてまず承認が得られません。
既に株式市場に上場している企業でも、不適切な取引や、役員などの反社への関与が発覚すると改善措置命令、最悪の場合には上場廃止リスクがあります。
株価が大きく下落するリスクもあり、影響は当該企業の株主にまで広く及ぶでしょう。
日本取引所グループでは、上場規定や新規上場審査において次の対応を行っています。
有価証券上場規定 | 上場会社は、反社会的勢力による被害を防止するための社内体制の整備、反社会的勢力の介入防止に努める。 |
新規上場審査 | 企業グループが反社会的勢力による経営活動への関与を防止するための社内体制を整備し、関与の防止に努めており、その実態が適当であることを審査する。 |
コーポレート・ガバナンスに関する報告書 | 上場会社は「内部統制システムに関する基本的な考え方及びその整備状況」において、反社会的勢力排除に向けた体制整備についての開示を行う。 |
新規上場審査時の確認書 | 企業グループ、役員、役員に準ずる者、主な株主、主な取引先が反社会的勢力とは一切関係がないことを確認する。 |
市場変更時・ 第三者割当増資時・ 不適当な合併などの審査時の確認書 |
企業グループ、役員、役員に準ずる者、主な株主、主な取引先が反社会的勢力とは一切関係がないことを確認する。 |
第三者割当増資などの局面でも確認書に基づく審査がされ、承認されなければ資金調達難を招くリスクがあります。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、新規上場した企業や、上場申請を目指す企業にも導入され、実際に年間何件もの新規上場実績があります。
安いコストで上場審査に耐えられる反社チェックができると好評です。
企業統治リスク
反社との企業の関係が判明すると、企業統治の根幹を揺るがし、経営刷新などの対応が避けられません。
関係者の処分
不正行為や法令違反があると、担当者や責任者など、関係者の処分が必要になることもあるでしょう。
企業の社会的責任が厳しく問われる今日、反社会的勢力との関係は、企業にとっては重大です。
ときには経営者の辞任など、経営根幹を揺るがす事態を招きます。
経営刷新にまでは至らなくても、事業で重要な任務を行い、部署を背負ってきた人材がいなくなり、事業運営や継続に支障をきたすこともあるでしょう。
コンプライアンス体制の運用
反社会的勢力との関わりなどコンプライアンス体制に問題があれば、組織の再構築が必要です。
不正行為の究明や、内部管理体制の不備などの検証をするため、第三者委員会による調査などが必要なこともあります。
たとえ短期的には悪い影響があったとしても、一から出直す覚悟で後任の体制を作るほかありません。
二度と同じようなことが起きないよう、各種規定の整備、反社チェック体制の整備などを行いましょう。
最新版!コンプライアンス違反事例集
反社に関する違反事例を、リスク別に具体例で見てみましょう。
法令違反のリスクの事例
法律違反のリスクは以下の3つです。
- 刑事罰を受けた事例(利益供与)
- 行政罰を受けた事例(反社との金融取引)
- 行政指導を受けた事例(密接交際者の経営関与)
一つずつ見ていきましょう。
⑴刑事罰を受けた事例(利益供与)
反社勢力に対し利益供与を行うと、暴力団排除条例違反となり、刑事罰もあります。
2022年9月、暴力団構成員に対し金銭援助をしたとして、新潟県の建設会社が公安委員会による勧告を受けました。
このような事例は近年も繰り返し各地で発生しています。
最近でも、金融庁の行政処分、証券取引等監視委員会による刑事告発の事例があります。
SMBC日興証券と、その幹部ら7人は2022年、相場操縦を理由として、金融商品取引法違反容疑で刑事告発されました。
SMBC日興証券と親会社の三井住友銀行が、金融庁から行政処分を受け、改善計画を提出しています。
証券取引を利用した違反行為に反社が関わる事例も、これまでに多く摘発されています。
⑵行政罰を受けた事例(反社との金融取引)
行政処分の事例では、2013年に金融庁がみずほ銀行に対して業務改善命令を下した件が知られています。
信販会社経由の提携ローンで多数の反社勢力との取引が把握され、以後も反社との取引を解消せず、関係遮断に向けた取り組みが適切にされていなかったことが理由です。
この事案では、銀行に対する行政処分を契機として、全国銀行協会、生命保険協会、日本損害保険協会などが反社の取り組みを強化し、金融庁による「主要行等向けの総合的な監督指針」、「金融検査マニュアル」が改正されました。
⑶行政指導を受けた事例(密接交際者の経営関与)
役員等または使用人が、暴力的組織や構成員等と密接な交際を有し、社会的に非難される関係を有しているとして、公共事業からの排除措置を受ける企業の例も相次いでいます。
2018年11月には、福岡県警察本部からの通報を受け、北九州市の建設業者3社が排除措置を受けました。
1年間も排除措置を受けると、経営状況は厳しくなります。
2021年に排除措置を受けた大分県の管工事・電気工事会社は、50億円規模の売上規模があったものの、自己破産を申請することとなりました。
金融機関への交渉を続けたものの、支援が得られなかったと報道されています。
民事の争いが問題となった事例
民事の争いが問題となった事例は以下の2つです。
- 民事上の損害賠償請求の事例(調査不足による損害)
- 契約違反が争われた事例(契約解除をめぐる訴訟)
一つずつ見ていきましょう。
⑴民事上の損害賠償請求の事例(調査不足による損害)
反社との関係を要因として、取引先または第三者から損害賠償請求がされるリスクもあります。
2013年8月21日の東京地裁判決では、暴力団の密接関係者の事務所ビルが近隣にあることについて、不動産業者の説明義務違反を認め、不動産売買代金の1割の2000万円を損害金額と認定しました。
この判決は、競売手続きにおいて警察へ照会し、暴力団事務所とはされなかったものの、実際には暴力団関係者の事務所でした。
民法第1条の信義則違反であるとして、損害賠償請求の一部を認めたものです。
⑵契約違反が争われた事例(契約解除をめぐる訴訟)
建設会社が工事を請け負った事案で、注文者が反社の密接交際者であったため、契約解除が認められた判決があります。
たとえば2012年12月21日の東京地裁判決では、建設会社が動機の錯誤等を主張し、認められました。
その結果、注文者である密接交際者からの違約金請求はできませんでした。
ただしこのようなケースでも、建設会社の下請け企業などが契約解除、工事中止に伴い、損害を受けた場合には、損害賠償請求などをされる可能性があるでしょう。
反社の事案ではありませんが、2022年、飲食チェーン店のフランチャイズ店舗で、元従業員が調理場などの不衛生な状態をSNSで告発し、契約違反としてフランチャイズ契約が解除されました。
従業員の不適切な行為が、重大な契約違反となることもある事例です。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、SNSも含めてインターネット検索が自動ででき、不適切な風評や、違反行為による処分などの情報も発見できます。
反社リスクを回避する対策
反社リスクを回避するためには、コンプライアンス体制、社内の運用体制を整備し、各種規定や契約書の整備、反社チェック体制を構築する必要があります。
各種規定・誓約書・契約書の整備
まずは、各種規定・誓約書・契約書の整備が必要です。
⑴社内体制・規定の整備
反社チェックなどの対応業務を行う部署と、各部署間の連携などを決め、社内規定として整備しましょう。
反社排除のための誓約書や契約書を、どの場面で使用し、どの書面を必要とするかをあらかじめ決めて運用します。
契約書などのチェック、稟議、保管までの担当部署、保管方法なども全社的に統一して運用することが大切です。
⑵誓約書、反社条項の整備
誓約書は、本人または会社が反社でないこと、反社に将来にわたり関係しないこと、反社行為をしないことを誓約させる書面です。
取引の契約時、入社などの契約時までに用意する必要があります。
取引の契約後、入社後などに万一、本人や会社が反社と判明した場合には、直ちに契約解除できるようにする書類です。
取引や雇用の契約書では、誓約書に違反した場合や、反社行為があったとき、反社との関係が判明したときに、直ちに契約を解除できる反社条項を明記することが必要です。
誓約書とともに、暴排条例で事業者の努力義務とされています。
損害が生じたときに、賠償請求ができる条項も入れておくことが必要です。
反社チェックだけでは判明しない可能性もあるでしょう。
事後的に判明したり、反社行為があった場合にも、契約書に反社条項を設けることで、対応が可能になります。
反社チェック・調査
反社チェックは、すべての取引先、商談相手、従業員や役員、採用候補者、その他関係者について行う必要があります。
反社チェックは、取引や雇用の契約書を交わす前に、事前に発見するためのスクリーニング調査として、調査対象の全数について実行しましょう。
⑴反社チェック自動化ツール
そのためには、反社チェックツールは社内で低コスト運用できる、自動化ツールがおすすめ!
対象者全員を自動的に検索できるRoboRoboコンプライアンスチェックでは、応募者の名簿ファイルを一括登録し、インターネット、新聞記事を同時検索することで、業務を飛躍的に効率化できます。
誓約書や契約書が遵守されていることを証明し、反社チェックを行った証拠を残すため、担当者や取締役らの善管注意義務を果たしている証拠ともなるでしょう。
新規上場申請を目指す企業にとっても不可欠です。
調査対象の全数を一括検索し、短時間に安いランニングコストで、反社の疑いがある会社や個人を抽出できます。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、新聞記事検索、SNSまでを含めたインターネット自動検索の結果、反社アラートで3段階の自動判定を行い、契約してはいけない会社や個人を判断できます。
名簿ファイルを一括登録して、すべてを同時検索することで、コンプライアンス部署の業務を飛躍的に効率化できます。
⑵専門データベース
反社チェックの自動化ツールは、すべての取引先、商談相手、従業員や役員、採用候補者等、膨大な数を継続的、定期的に調査するには必須です。
自動チェックで検索結果の保管もでき、反社対策に必要なコストや人員を削減できます。
一方、新聞記事情報、インターネット検索情報だけでは、専門的な情報は調査できない場合があるでしょう。
民間のデータベース事業者が提供するサービスには、詳細な会社情報や与信情報、経営者や反社などの人物情報、行政処分情報、海外情報などを提供しているものがあります。
たとえば反社チェックツールで疑いのある結果があったときに、追加調査で利用する方法が有効です。
公的機関が提供する情報にも、行政処分情報、裁判情報などがあり、同様に重点チェックで利用可能です。
⑶調査会社
企業の事務所、工場、営業所などの現地調査や、人物の行動調査、交友関係の調査、評判調査など、人の手と足を使って行う調査が有効な場合があります。
調査会社、探偵事務所などに依頼することができ、反社の疑いが強い場合などに必要な調査です。
業界団体や暴排センターへの反社の相談や、警察への照会なども重点調査、実際に問題が起きたときの対応に活用しましょう。
まとめ
反社リスクには、業績に直接影響するリスクや、法令違反による罰則・行政処分、信用棄損などのさまざまな類型があることが、おわかりいただけたでしょうか?
法的リスク、信用リスクなどもあり、企業防衛のために対応しなければなりません。
この記事では反社リスクを類型別に、事例も交えて紹介し、リスク回避の対策、反社チェック効率化のためのツールについて解説しました。
リスク回避のため、調査対象すべてをチェックするには、自動化ツールの導入が不可欠です。
RoboRoboコンプライアンスチェックを導入すれば、コンプライアンス担当者の業務を効率化でき、安いコストで巨額賠償などのリスクを軽減し、善管注意義務も果たせます。
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