海外企業や国際取引での反社チェック方法は? 日本国内での調査とはどう違う?
グローバル化が急速に進む現在、国際取引や、海外企業との取引、提携や買収、海外人材の登用など、さまざまな面で海外との契約の場面も増えています。
国により反社組織や犯罪の種類にも特徴があり、その国の実情に応じた対策が必要です。
この記事では、日本でできる海外情報の調査と、海外の当該国で調査する方法や、主要国の公的機関などで調査できるデータの種類や特徴などを解説します。
グローバル取引の世界では、安全保障、経済安全保障の問題のほか、日本の暴力団とは背景や組織形態も異なる反社会的組織の実態もあり、調査方法などにも注意が必要!
海外の専門的な調査依頼のほか、多様な反社の兆候をいち早く発見するため、社内でできるツールでのスクリーニング調査方法も紹介します。
目次
海外の情報から反社チェックする場合とは?
反社チェックの方法は、日本国内ではツールやデータベースの普及により知られています。
しかしグローバル化の現在、国際取引や、海外企業との取引、提携や買収、海外人材の登用など、海外との契約の場面も増えています。
経済安全保障の問題のほか、日本の暴力団とは組織形態も異なる実態もあり、その国の実情に応じた注意と対策が必要です。
マネーロンダリング、サイバー犯罪、ネット詐欺、仮想通貨取引を装った犯罪などもあります。
海外企業との国際取引
海外企業との取引では、現地国法人との取引のほか、海外企業の日本法人との取引があります。
下請け企業や仕入先などの取引先も当該海外国の企業であることが多く、取引関係に反社会的勢力など不正な相手先がいないかの注意が必要です。
また、現地の従業員も当該国の国民が多い状況にあるでしょう。
海外への事業進出
日本企業が海外に進出する場合、現地法人や合弁会社を設立するケースもあります。
現地国の法令に準拠した対策をとらなければなりません。
現地での事業のため、下請け企業や仕入先などの取引先も当該海外国の企業であることが多く、取引先の選定には注意が必要です。
外国人経営者・従業員など、海外人材の採用にあたっても、反社対策が必要です。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、SNSも含めてインターネット検索が自動ででき、英語など外国語でのキーワード設定も可能です。
取引先の国内企業が海外事業も行っている場合の調査
取引先の国内企業が海外事業を行っている場合、その取引先には海外企業も多く、反社勢力など不正な相手先がいないか注意が必要です。
国内での反社チェックに比べ、言語の違いや情報の少なさから簡単ではありません。
RoboRoboコンプライアンスチェックでスクリーニングし、専門の現地調査会社や代理人、公的機関を通じて調査するのがよいでしょう。
海外人材の日本国内での採用
日本企業が国内の事業所で、海外から人材を採用する場合にも、反社チェックを行う必要があります。
個人の調査は、反社チェックツールやデータベースを利用してスクリーニング調査もできますが、一部の人を除いては情報が少なく入手困難です。
ただし、経営者や特殊技能を保有する人材、犯罪者や経済制裁リストにある人物など、経営者、個人の不適切な風評や、違反行為による処分などの情報も発見できるでしょう。
RoboRoboコンプライアンスチェックのようなツールのほか、必要を感じたら専門の現地調査会社や代理人、公的機関を通じた調査が必要です。
国際取引における反社トラブルとは?
日本と海外とでは国により法制度も異なるほか、政治・社会・経済制度も異なります。
当該国の安全情報や安全保障環境、反社会的勢力の状況などの、情報を収集しておくことが重要です。
組織犯罪
海外の犯罪組織は、日本の暴力団や反社会的組織とは異なり、実態は国によりさまざまです。
政治的テロリスト、詐欺・薬物などの犯罪グループ、マフィアのような暴力的犯罪組織などがあります。
「令和3年警察白書」によれば、来日外国人による刑法犯は組織的なものが多く、出身国で組織化されているケース、多国籍化しているケースがあります(参照:警察庁)。
犯罪行為の場所も複数の国に及ぶものがあり、日本国内の銀行口座を利用したマネーロンダリングなど、国際的な展開が見られます。
国際的な犯罪組織が関与する事案には、地下銀行による不正な送金、偽装結婚、偽装認知、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造などがあります。
薬物事件でも大半が海外から流入しているため、警察では、関係国の捜査機関等との情報交換、捜査協力を行い連携の強化を図っています。
出典:警察庁「令和3年 警察白書(第3章 組織犯罪対策)」
米国、EUはじめ主要国では、重大犯罪や安全保障に関連して、さまざまな経済制裁を行っています。
海外に進出した日本企業が制裁リスト対象との取引を行うと、日本企業自体が制裁の対象になるおそれもあります。
マネーロンダリング
マネーロンダリングは、組織実態を巧妙に隠した海外送金のほか、地下銀行などを利用した送金、仮想通貨取引や証券取引、貴金属取引等を通じたマネーロンダリングなどがあります。
「令和3年警察白書」によれば、マネーロンダリングの検挙件数は2020年には600 件で、前年比で11.7%も増加しています(参照:警察庁)。
日本国内に開設された他人名義の口座利用や、偽名の盗品売却など、さまざまな手口でマネーロンダリングが行われている実態があります。
出典:警察庁「令和3年 警察白書(第3章 組織犯罪対策)」
警察や金融機関の国際的協力の枠組みもありますが、すべての実態が明らかとはいえません。
取引先に反社会的勢力が紛れ込むと、知らずにマネーロンダリングに巻き込まれる可能性もあります。
海外に企業が進出したり、外国人を雇用したりする際にも反社チェックが必須です。
海外に進出した邦銀でも注意が必要です。
制裁リスト対象者による不正送金に加担した場合などに、経済制裁を受けることになります。
社内不正による事例ですが、旧・大和銀行のニューヨーク支店は1995年、巨額の不正取引が発覚したことにより、米国制裁金が科され、退去命令を受けました。
サイバー犯罪
インターネットを利用した詐欺などの犯罪や、ネット攻撃などによる犯罪などのサイバー犯罪も増加が顕著です。
一般の刑法犯などに該当する犯罪のほか、企業の取引では、金品の授受を伴う反社会的行為に特に注意すべきです。
国境を越えて行われるサイバー犯罪や、サイバー攻撃もあります。
外国捜査機関の協力が必要なケースも多く、サイバー犯罪への対策にも企業は注意し、対策をとらなければなりません。
反社の事案ではありませんが、NTTデータのスペイン子会社が、提携先による情報漏洩でEUの一般データ保護規則違反に問われ、制裁金を科された2022年の事例もあります。
海外の反社規制法令
海外取引、海外人材採用でも、当該国の実情や法令にのっとった反社チェックが必要です。
犯罪を取り締まる刑法は各国ごとに規定され適用される、属地主義を原則としています。
犯罪の内容や刑罰なども国ごとに決まっています。
一方で、犯罪の国際化、犯罪組織のグローバル展開に伴い、個別犯罪での協力や、犯罪人引渡条約ほか、捜査協力などの国際協力を行っています。
反社規制や対策として、マネーロンダリングや、テロなどの重大犯罪での国際的取り組みが進展し、各国が経済制裁リストを作成し、情報交換に利用しています。
経済制裁リストは、企業が海外進出をするうえで、チェックすべき情報です。
条約による反社会的勢力対策
国連越境組織犯罪防止条約(パレルモ条約) 、ウイーン条約(麻薬新条約)などの資金洗浄に関する条約を受けて、1989年の第15回アルシュ・サミットでは、マネーロンダリング予防策のための国際的な枠組みである、FATF(金融活動作業部会)が設置されました。
⑴資金洗浄対策のFATF勧告
FATF「40の勧告」は、普遍的に活用可能な資金洗浄対策の基本的な枠組みとして90年に策定され、改訂されてきました。
刑事司法制度、法執行制度、金融制度及びその規則、当局間の国際協力を網羅した対策です。
2012年には従来の「40の勧告」と「9の特別勧告」を統合し、マネーロンダリング対策、テロ資金供与対策、大量破壊兵器の拡散対策をカバーする40の勧告から構成される、新たな「FATF勧告」が策定されました(参照:財務省)。
⑵TATFのブラックリスト・グレイリスト
FATFは、国際基準の遵守が不十分な国・地域を特定し、改善状況をモニターするため、「行動要請対象の高リスク国・地域」、「強化モニタリング対象国・地域」を公表しています。
海外法令(アメリカ)による反社会的勢力対策
ここでは、アメリカでの反社会的勢力対策についてご説明します。
⑴財務省外国資産管理室(OFAC)の制裁リスト
米国財務省の外国資産管理室(OFAC)が、外交政策や安全保障上の観点から、指定した国・地域や特定の団体や個人について、取引禁止や資産凍結などの措置を講じています。
OFACでは3つの制裁リストを検索することができます。
⑵商務省の産業安全保障局(BIS)の制裁リスト
商務省の産業安全保障局(BIS)では、貿易制裁の観点から、脅威となる主体を制裁リストに登録し、貿易を制限する経済制裁の措置を講じています。
司法省(DOJ)が制裁違反者の訴追を、国土安全保障省(DHS)が税関での貿易の監視を行っています。
⑶日本企業の反社リスク
日本企業の現地法人が米国の制裁リストと取引してしまうと、米国の法律が適用され、経済制裁の対象とされるリスクがあります。
貿易や投資の国際間取引は多くがドル決済で行われるため、NY連銀が関与するドル決済を通じて制裁の効力が及びます。
日本企業が制裁リストに掲載されるおそれがあるほか、米国内の資産凍結、役員らの入国禁止、政府調達の排除などが科される可能性もあります。
制裁対象者とのドル決済に関与した邦銀も、米国支店免許はく奪などのリスクがあり、ドル決済からの締め出しという甚大なリスクがあります。
このような重大なリスクを避けるため、まずは自動化ツールRoboRoboコンプライアンスチェックでの反社チェックをし、さらに必要な対象者の重点チェック依頼を検討しましょう。
海外法令(欧州)による反社会的勢力対策
ここでは主に、欧州(EU)での反社会的勢力対策についてご紹介します。
⑴EUの反社対策
EUでは、金融取引の制裁リスト、旅行禁止の制裁リストなどを公表しています。
EU制裁規則では、金融規制の対象となり資産凍結される特定の個人・団体を指定しています。
EUでは、人の自由移動がある一方、国境をまたぐ刑事事件では加盟各国の協力体制がとられています。
ただし刑法などは各国により違いがあります。
EU法令による欧州逮捕状では、どの加盟国でも処罰される32の犯罪類型が決められています。
EU加盟国ではさらに、犯罪の防止と撲滅のため、ユーロポール(欧州警察機関)、ユーロジャスト(欧州検察機関)などの制度を設けています。
⑵イギリスの反社対策
イギリスでも金融制裁の資産凍結対象者リストを公表しています。
英国制裁リストおよび金融制裁実施局 (OFSI) の統合リストの検索により、資産凍結、投資禁止の金融制裁対象者の情報を見つけられます。
その他各国の経済制裁リスト
上記のほか、欧米、世界各国でも経済制裁などのリストを公表しています。
ただし制裁や公表リストの範囲は、国により異なります。
経済制裁に違反した日本企業は、その国の制度によっては制裁リストに掲載されるおそれがあります。
資産凍結、入国禁止、政府調達の排除などが科される可能性もあります。
日本国内からは制裁リストの調査が難しい場合もあり、調査会社への依頼、現地弁護士への相談が必要です。
海外取引における準拠法は?反社チェックの注意点も
海外の反社チェックでは、法制度や現地の状況について、海外の調査会社、現地弁護士などに相談しなければなりません。
国際取引と準拠法
国際取引における準拠法は、法の適用に関する通則法に規定されています。
「法律行為の成立および効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による」
参照元:e-Gov法令検索「法の適用に関する通則法」
とされ、海外企業との合意によって準拠法を定めることができます。
当事者との合意によらないときは、
「法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法律による」
とされています。
取引がされる、もっとも密接な場所の法律が準拠法となるわけです。
企業の国際取引や海外進出では、準拠法が日本法か当該国の法令かを決め、トラブル時の管轄裁判所も明確にする必要があります。
誓約書や契約書の条項も、法令に準拠して、海外業務に詳しい弁護士事務所(渉外事務所)や、現地代理人を使った対応が必要です。
刑法・行政法の準拠法
刑法のほか、行政手続や規制などを規定する行政法などを公法といい、自国の領域内に国内法令を適用する属地主義が原則です。
海外企業や人が日本で刑法、行政法に違反した場合には、日本法が適用されます。
刑罰や行政罰の規定がされた条例でも同様です。
つまり日本国内で海外企業が、たとえば刑法、組織犯罪処罰法、暴排条例に違反した場合には、それぞれの法律で罰則があります。
許認可がされないと、許可の取消など行政処分を受けるおそれもあるでしょう。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、SNSも含めて自動でインターネット検索ができ、海外企業、外国人であっても日本企業の調査と同一水準の反社チェックが可能です。
国内法令による反社対策
海外企業や外国人との取引、雇用などの契約で日本法を準拠法とした場合や、刑事事件、行政手続きには日本法が適用されます。
暴対法・暴排条例
海外企業や外国人との契約にあたり、誓約書、契約での反社条項が必要です。
反社への利益供与をしてしまうと、各都道府県の暴排条例違反により、勧告、立ち入り、公表、さらに命令となり、従わないと刑罰の対象となります。
事案によっては暴対法違反となる場合もあります。
誓約書は取引の契約時、入社などの契約時までに用意する必要があります。
誓約書は、本人または海外企業が反社会的勢力でなく、将来にわたり関係せず、反社行為をしないことを誓約させる書面です。
「反社」の定義についても、当該海外国の実情によっては契約内容に反映させる必要があるでしょう。
取引や雇用の契約書では、反社との関係が判明したときに契約を解除できる反社条項が必要です。
事後的に判明した場合、反社行為があった場合にも、反社排除の対応がスムーズにできる条項です。
損害が生じたときに賠償請求ができる条項もあると安心です。
ただし当該国の法制度や反社会的勢力の実情、海外法に対応する条項が必要なこともあり、海外に詳しい弁護士に相談するべきです。
契約によっては海外法が適用され、管轄裁判所が海外となることもあるためです。
刑法・組織犯罪処罰法
刑法は詐欺や脅迫、強要、威力業務妨害、贈賄その他の犯罪を取り締まる法律です。
組織犯罪対策法は、組織的に行われる犯罪を取り締まる法律です。
一定の刑法犯罪が組織的に行われた場合に、重い刑罰を適用するものです。
犯罪の組織化、大規模化や、マネーロンダリングの国際化などを背景に、犯罪収益の移転禁止、マネーロンダリング対策についても規定しています。
犯罪収益移転防止法
犯罪収益移転防止法では、金融機関、クレジットカード会社、宅建業者、電話代行会社などの特定事業者は、取引時に本人確認や取引目的の確認をしなければなりません。
疑いのある取引の届け出や、捜査機関への情報提供をする必要があります。
捜査の結果、犯罪収益と判明した金品には没収などの措置がとられることもあります。
行政法
各種の規制をする行政法に違反すると、行政指導、行政処分、行政罰を受ける可能性があります。
行政処分は、許認可の取消、不許可などの不利益処分のことで、行政指導は軽微な場合の是正措置です。
行政罰は、法令違反により科される罰則で、行政処分と併科されることもあります。
行政処分の例として、反社と関係した場合の宅建業や建設業の許可の取消、不許可があります。
反社に関わる海外企業、反社に関係する外国人役員がいる企業では、行政処分や行政罰を受ける可能性があります。
誓約書、契約書の反社条項などであらかじめ対策し、契約前と、契約後に定期的に行う反社チェックで、反社の疑いがないかチェックすることが必要です。
RoboRoboコンプライアンスチェックなら、契約先をフォルダごとに管理して、契約前、契約後の定期チェックも自動で行い、結果をわかりやすく保管できます。
国内の反社リスクにおいては「反社チェックが必要な理由や具体的な方法」の記事にて詳細に記載しておりますので、そちらもあわせてご覧ください。
海外反社チェックの具体的な方法とは
海外企業との国際取引や、海外事業での取引先の調査は、日本国内でできる調査もあります。
海外人材の採用については、公知情報の入手が困難かもしれません。
しかし、できる範囲での調査はできるでしょう。
海外での事業展開には、現地の専門家や調査会社に依頼するべきです。
法制度の調査や、反社会的勢力の現地での状況などの当該国の情報も、正確な調査で知るためです。
国内データベース・調査会社による反社チェック
日本国内でも、海外情報を得られる専門データベースが提供されています。
⑴海外企業情報
日本で会社情報や与信情報など、さまざまなデータを提供する民間データベースを、海外企業の反社チェックに利用できます。
企業の信用情報で有名な帝国データバンクでは、グローバル企業情報データを提携先から入手し、提供しています。
海外各地の信用調査会社・登記当局などからの、全世界約4億件の企業情報を収録しています。
財務情報、株主・子会社・関連会社、コンプライアンス関連情報、役員情報、ニュースなど、海外企業の情報検索が可能です。
⑵海外の反社情報
データベース検索により、法令違反、行政処分、警察の逮捕情報などの反社情報をもとに、反社チェックが可能です。
日経テレコンでは、新聞・雑誌記事、人物・人事情報、最新の海外情報を収録したデータベースを提供しています。
30万人の人物情報、行政処分情報、PEPs(要人)リスト、各国制裁リストなど、海外企業や経営者などの反社チェックに有益な情報もあります。
調査会社に依頼すれば、精度の高い調査が可能です。
日本の調査会社でも、海外の反社チェックに、次のようなデータ検索が可能です。
米国商務省産業安全保障局(BIS) | BIS規制リスト |
財務省外国資産管理局(OFAC) | SDNリスト(国・法人・個人) 統合制裁リスト(非SDNリスト) その他のOFAC制裁リスト |
通貨管理局(OCC) | 取引禁止・資産凍結措置リスト 不正銀行リスト |
連邦捜査局(FBI) | 犯罪アラート サイバー犯罪リスト 最重要指名手配銀行強盗リスト |
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME) | CMEグループ懲戒通知リスト |
ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS) | ニューヨーク州銀行業界の執行措置リスト |
国内の公共機関データによる反社チェック
国内でも、国際的な反社対策で海外と連携する行政機関から、情報を入手して調査することができます。
⑴金融庁
金融庁が提供する「コールド・コーリングリスト」では、投資運用会社などを装い、直接対面しない方法で勧誘する詐欺を防止するため、登録・許認可を受けていない業者のリストを公開しています(参照:金融庁)。
また、金融庁に情報が寄せられたもののうち、日本に存在しない政府機関のリストも公開しています。
これらの機関から登録を受けていると主張する業者は、コールド・コーリングの疑いがあり、注意喚起しています。
⑵財務省
財務省が提供する「経済制裁措置及び対象者リスト」では、経済制裁措置・対象者リストとして、外為法に基づく資産凍結等の措置の対象者リストが公開されています(参照:財務省)。
外為法では経済制裁の発動ができる場合として、次のものが規定されています。
- 国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき
- 国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき
- 我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるとして対応措置を講ずべき旨の閣議決定が行われたとき
⑶経済産業省
経済産業省が提供する「外国ユーザーリスト」では、安全保障貿易管理の観点から、輸出者の自主輸出管理を行う際の参照資料として、懸念のあるリストを公表しています(参照:経済産業省)。
輸出者はこのリストを確認しなければなりません。
輸出先がリストに掲載されていたら、貨物の用途、取引条件などを確認し、大量破壊兵器などに転用のおそれがあれば、経済産業省への輸出許可申請が必要です。
⑷警察・暴排センター
警察や各都道府県の暴排センターでは、日本の反社勢力に関する情報を収集しています。
反社の実態がわからないことも多く、完全なリストは存在しません。
それでも過去に海外企業・人物が事件に関与した情報などの照会、相談に応じてくれるでしょう。
さらに警察では、関係国の捜査機関等との情報交換や捜査協力を行っています。
疑いのある海外企業や人物について、警察に相談することも可能です。
ただし反社チェックのたびに、いちいち照会するのは現実的ではありません。
最低限の反社チェックは自社でまず行い、詳細調査はデータベースや調査会社のサービスを利用する自主的な取り組みが必要です。
RoboRoboコンプライアンスチェックなら、調査対象の一括登録、検索、結果の保管までが自動化できます。
「1件当たりの作業時間を約30分の1に短縮することに成功」、「コンプライアンスチェックにかかる時間を約80%削減に成功」など、効率化を実感したという声がたくさん寄せられています。(参照:導入事例)
⑸国際金融情報センター
公益社団法人国際金融情報センターは、IMF・世銀・アジア開発銀行など国際機関や各国政府・中央銀行を情報源として、主要国のカントリーリスクや情報の提供をしています。
「経済制裁措置・アンチマネロン・テロ資金供与防止等」では各国の制裁リストへのリンクがあります(参照:公益社団法人国際金融情報センター)。
海外の公共機関データによる反社チェック
海外機関の行政機関から、情報を入手して調査することもできます。
米国のデータソースには日本国内から調査可能なリストが多くあります。
ただし現地の専門家や調査会社に依頼して、当該国の反社会的勢力の情報を調査してもらう必要があるでしょう。
⑴アメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)
OFACでは3つの制裁リストを検索することができます。
SDNリスト | 米国大統領が安全保障を脅かすものと指定した「特別指定国民(SDN)」と呼ばれる個人・企業などのリストです。 SDNリストの資産は封鎖され、米国人が取引することは禁じられています。 |
統合制裁リスト (非SDNリスト) |
SDN以外のすべての制裁リストを統合した統合制裁リストです。 |
その他のOFAC制裁リスト | ・外国制裁回避者 (FSE) リスト ・Sectoral Sanctions Identifications (SSI) リスト ・コルレス口座またはペイスルー口座の制裁対象となる外国金融機関のリスト(CAPTAリスト) 各リストの詳細については、左記リンクにあります。 |
アメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)の上記各リストは、下記の検索画面から検索することも可能です。
検索画面:
「制裁リスト検索 Sanctions List Search」アメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)
⑵アメリカ商務省(BIS)
米国商務省では、主要制裁リストのスクリーニング検索ができます。
商務省、国務省、財務省の複数の輸出審査リストを統合したデータベースです。
「Consolidated Screening List」(参照:アメリカ商務省(BIS))
⑶EUの制裁リスト
EUでは、金融取引の制裁リスト、旅行禁止の制裁リストなどを公表しています。
「EU Sanctions MAP」(参照:EU制裁マップ)
⑷イギリスの制裁リスト
イギリスでも金融制裁の資産凍結対象者リストを公表しています。
「Financial Sanctions Search」(参照:OFSI統合リスト検索)
⑸その他各国の経済制裁リスト
上記の他、欧米、世界各国でも経済制裁などのリストを公表しています。
ただし制裁や公表リストの範囲は、国により異なります。
- オーストリア
Finanzsanktionen(参照:オーストリア国立銀行「経済制裁」) - スイス
Sanktionen/Embargos(参照:スイス国家経済事務局「制裁・禁輸」) - カナダ
Consolidated Canadian Autonomous Sanctions List(参照:カナダ政府「統合カナダ自治制裁リスト」) - シンガポール
Lists of Designated Individuals and Entities(参照:シンガポール通貨庁「金融制裁リスト」) - オーストラリア
Australia and sanctions Consolidated List(参照:オーストラリア外務貿易省「統合リスト」)
海外調査会社による調査
海外企業の調査では、海外の調査会社に依頼することもあるでしょう。
日本の調査会社を通じて提携先に依頼することもできます。
海外に企業が進出する場合や、金額の大きな取引では、慎重に反社チェックしなければなりません。
渉外弁護士・現地代理人による調査
企業の海外進出や、海外企業との提携、M&Aでは、反社チェックのほか、法制度の違いや経済制裁などの、専門家による調査、検討、助言が必要です。
契約交渉や契約書の文面のチェックも必要で、海外業務に詳しい弁護士事務所(渉外事務所)や、海外現地国の弁護士に依頼することになるでしょう。
反社チェックや、誓約書、契約書なども、弁護士に相談することが必要です。
自社でもできる海外の反社チェック
海外の取引先や人材について、対象者全員を自動的に検索できるツールなら、RoboRoboコンプライアンスチェックで自社で反社チェックができ、検索からチェック結果の保存までが自動化されます。
海外のビジネス情報や制度についての情報収集も、社内でできる作業です。
公的機関
公的機関で調べられる情報として、次のようなサイトが利用できます。
⑴日本貿易振興機構(JETRO)
日本貿易振興会(JETRO)では、海外進出支援、輸出支援、外国企業誘致のほか、 海外事務所による現地情報の提供、その他の支援サービスを行っています。
70か所を超える海外事務所、約50の国内拠点をもつ独立行政法人です。
国・地域別に見る(参照:JETRO)では、国ごとの基本情報、制度・手続、ビジネスニュース、レポート、見本市・展示会情報などを確認できます。
⑵外務省
外務省の海外安全ホームページでは、外務省海外安全情報(参照:外務省)を国ごとに確認できます。
危険・スポット・広域情報や、安全対策基礎データ、テロ・誘拐情勢、安全の手引、医療事情、緊急時の連絡先などが掲載されています。
⑶警察
警察庁の犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)は、金融機関など特定事業者から届け出られた疑わしい取引の情報を集約し、整理・分析して捜査機関等に提供する業務を行っています。
マネーロンダリング対策の情報や、危険度報告書を調べられます(参照:警察庁)。
反社チェックツールでできる海外調査
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、新聞記事検索、SNSほかインターネット自動検索、反社アラートでの3段階の自動判定を行い、契約してはいけない会社・個人を判断できます。
応募者の名簿ファイルを一括登録し、インターネット、新聞記事を同時検索できるため、業務を飛躍的に効率化!
圧倒的に安いランニングコストで、反社の疑いがある海外の企業・個人を抽出できます。
⑴海外企業の反社チェック
RoboRoboコンプライアンスチェックは、ロボットが自動的にインターネット全体の検索を行い、反社チェック結果の保管まで行えます。
海外サイト、外国語のサイトやSNSまでを検索でき、海外進出、海外企業との取引を行う企業のためのスクリーニング調査に最適です。
契約後も、誓約書や契約書が遵守されていることを証明し、反社チェックした証拠を残すことが大切です。
⑵海外事業を行う日本企業の取引先調査
日本企業との国内取引でも、取引先が海外事業を行っている場合に、主要取引先の調査をすることもできます。
取引先の調査は本来その企業が行うべき作業です。
しかし大口取引や気になる情報を耳にした場合などに、取引先の企業に代わって反社チェックできると安心です。
日本企業の海外現地法人や、提携先の関連会社、合弁会社などへの赴任でも、その会社や取引先を調査するのに、反社チェックツールが使えます。
提携先に出向したり、海外企業に就職する場合でも同様です。
⑶海外人材採用時の反社チェック
海外からの人材採用でも反社チェックが必要です。
個人の情報はあまり発見できないかもしれません。
しかし経営者クラスの人材や、実績があり知られた技術者などで個人の情報が検索できることもあります。
少なくとも犯罪や経済制裁などのリストにないことを確認し、採用時には本人にも誓約書で確約してもらうことが必要です。
⑷反社チェックツールでの検索の注意点
反社チェックツールでは、インターネットや新聞記事検索に、キーワードを使います。
RoboRoboコンプライアンスチェックでは、あらかじめネガティブワードを推奨キーワードとして用意しています。
しかし海外サイト、外国語の情報検索では、当該国の単語をキーワードにする必要も!
地域、業種、会社名などに対応してオリジナルの検索キーワードを設定することも大切です。
RoboRoboコンプライアンスチェックの反社チェック結果では、検索キーワードと調査対象者との関連を、注目度によってAIが自動判定し、3段階の反社アラートを表示します。
反社チェックのための参考キーワード例:
investigation | 捜査 | arrest | 逮捕 |
prosecution | 起訴 | penalty | 処分 |
sanction | 制裁 | crime | 犯罪 |
fraud | 詐欺 | laundering | マネーロンダリング |
bribery | 賄賂 | corruption | 汚職 |
injustice | 不正 | violation | 違反 |
lawsuit | 訴訟 | default | 債務不履行 |
anti-society | 反社 | gangsters | 暴力団 |
mafia | マフィア | terrorist | テロリスト |
illegal drugs | 違法薬物 | information theft | なりすまし |
8 まとめ
海外への進出や、海外からの人材採用では、日本とは異なる反社リスクもあり、現地情勢に精通した調査が必要です。
調査対象すべてを調査するスクリーニングでは、反社チェックツールが利用でき、煩雑な業務を効率化できるでしょう。
海外では法制度や反社会的勢力の実態も日本とは異なるため、インターネットなど公知情報と、専門機関などで調べる情報とを、使い分けることが大切です。
この記事では、日本でできる海外情報の調査と、海外の当該国で調査する方法や、主要国の公的機関データ、ツールにより反社チェックする方法を解説しました。
海外企業との取引、提携や買収、海外人材の登用など、海外との契約をする場面では、反社対策が必要とご理解いただけるでしょう。
RoboRoboコンプライアンスチェックなら、現地国の外国語で検索ができます。
試しにキーワードをリストアップして、現地情報の検索を試してみるのもおすすめです!
簡単な登録でアカウントができ、無料トライアルで多彩な機能を実感できるでしょう。