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反社会的勢力に関する法律は?各業界の対応や暴排条例を徹底解説!

反社会的勢力に関する法律は?各業界の対応や暴排条例を徹底解説!_アイキャッチ

反社会的勢力に関する法律には、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(いわゆる、暴力団対策法=暴対法)犯罪収益移転防止法のほか、都道府県の暴力団排除条例(暴排条例)があり、事業者の責務も規定されているため対応が必要!

政府指針や都道府県の暴排条例では、反社会的勢力をその組織や行為で定義しています。

法律や条令で、反社会的勢力への利益供与などには罰則もあるほか、企業には反社でないことの誓約書契約書での反社条項(暴排条項)が義務づけられており、対応しなければなりません。

この記事では反社会的勢力に関する法律の変遷から、法律に準拠した誓約書・契約書の必要性、リスクを避けるための対策方法について解説します。

業界ごとの反社会的勢力に関する法律の規定や、不動産・建設・証券・金融業界などの対応も説明し、反社会的勢力を発見し、排除するために必要な反社チェックツールのご紹介もします。

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目次

反社会的勢力を規制する法律

暴力団対策法(暴対法)の施行以来、反社会的勢力を規制する法律は強化され、国、自治体、業界団体あげての取り組みが行われています。

反社会的勢力は健全な経済活動を阻害するもので、関係を持たないことが重要と知っていても、どんな法律が根拠なのか知らない方も多いのでは?

暴力団関係者を規制する法律のほか、反社会的勢力を規制する条例が重要です。

反社会的勢力に限らず、犯罪であれば刑法や、刑法犯罪のうち組織的なものを取り締まる組織犯罪対策法犯罪収益移転防止法などによっても、対策が行われます。

そこでこの記事では、これらの法律の制定の経緯や内容や、政府指針を受けて取り組まれる各業界の法律と対応について解説します。

暴力団対策法

反社会的勢力に関係する法律として、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、いわゆる暴対法があります。

暴対法は、これまで対処が困難であった民事介入暴力への対策を効果的に推進し、対立抗争による市民への危害を防止するため、1991年に施行されました。

規制対象は、従来の暴力団による犯罪と、これに関係した違反行為です。

暴力行為、覚せい剤、恐喝、賭博、ノミ行為等を規制するため、主に指定暴力団を対象にして規制、検挙するための条文が規定されています。

暴対法では、指定暴力団の規制を主眼としていますが、暴力団の威力を借りた行為など、構成員以外にも適用される条項があります。

特に企業などによる利益供与などが禁じられるほか、国や地方自治体の責務が定められ、暴排センターの設置が決められました。

暴力団対策法_画像

反社会的勢力から事業者を遮断するための対策を行うとともに、国も指針を定めて対策を強化し、やがて全国に暴力団排除条例(暴排条例)が制定される流れができたのです。

暴排条例までの経緯・反社会的勢力による被害を防止するための指針とは

2007年、政府の「反社会的勢力による被害を防止するための指針」は、省庁横断の「犯罪対策内閣会議」により公表されました。

背景には、暴力団がフロント企業などを使い、組織の不透明化を進め、証券取引や不動産取引などの経済活動を通じて資金獲得活動を巧妙化させていた背景があります。(参照元:法務省「反社会的勢力による被害を防止するための指針」)

法務省は「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説」の中で以下のようにこの指針について定義しています。

本指針は、あらゆる企業を対象として、反社会的勢力による被害を防止するための基本的な理念や具体的な対応を定めたものであり、法的拘束力はない
したがって、本指針の内容を完全に実施しなかったからといって、直ちに、罰則等の何らかの不利益が、与えられるものではない。
また、中小企業や零細企業においては、これらの内容を忠実に実施することは困難を伴うため、適宜、企業規模に応じて、指針の5つの基本原則を中心とした適切な対応をすることが大切である。

引用:法務省「反社会的勢力による被害を防止するための指針

5つの基本原則とは、下記の反社対策のことです。

  • 組織としての対応
  • 外部専門機関との連携
  • 取引を含めた一切の関係遮断
  • 有事における民事と刑事の法的対応
  • 裏取引や資金提供の禁止 

政府指針では、従来の暴力団というくくりから、反社会的勢力という大きなグループへと排除対象を拡大し、詳細は各都道府県条例に委ねられました。

各都道府県条例では、反社会的勢力への利益供与の禁止や罰則など、共通した内容が盛り込まれました。

契約で反社会的勢力を排除するための条項は、事業者の義務とする一方、罰則は設けないなど、企業への配慮もされています。

RoboRoboコンプライアンスチェックでは、都道府県の暴排条例の要請にもこたえ、中小企業でも安いコストで導入できる反社チェックを実現し、3,000社以上に導入されています。

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暴力団排除条例

指定暴力団に限定せず、広く反社会的勢力を規制する法令として、各都道府県をはじめ、市町村でも制定された暴排条例があります。

暴排条例では、規制対象者を指定暴力団以外に広く認め、多様化する反社会的勢力の形態に対応しています。

2011年には全都道府県で制定されたことで、全国で暴力団の排除を目的とした条例が完備されました。

重点強化地域などは各地域ごとに異なるため、法律ではなく各地域の条例で規制が行われています。

各暴排条例では、反社会的勢力に対する利益供与の禁止と、利益供与の享受を禁止する事項が設けられています。

違反すれば行政勧告・公表の対象となり、さらに許認可取消などの行政処分のほか、刑事罰もあります。

条例では、地方自治体や事業者の責務についても規定しており、条例はその地方自治体で法律と同等の効力を有し、反社会的勢力の規制に実効性があります。

反社会的勢力とは?

条例において「暴力団関係者」は、「暴力団員又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者」と規定されています(引用:東京都暴排条例第2条第4号)

「暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者」とは、たとえば次のようなものです。

  • 暴力団又は暴力団員が実質的に経営を支配する法人等に所属する者
  • 暴力団員を雇用している者
  • 暴力団又は暴力団員を不当に利用していると認められる者
  • 暴力団の維持、運営に協力し、又は関与していると認められる者
  • 暴力団又は暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有していると認められる者

引用:警視庁「東京都暴力団排除条例 Q&A

暴力団追放運動推進センターのモデル契約書では、催告なしに契約解除できる「反社会的勢力」として、次の9つをあげています。

  • 暴力団
  • 暴力団員
  • 暴力団員であった時から5年を経過しない者
  • 暴力団準構成員
  • 暴力団関係企業
  • 総会屋等
  • 社会運動等標ぼうゴロ
  • 特殊知能暴力集団
  • その他前各号に準ずる者

引用:暴力団追放運動推進都民センター「暴力団対応ガイド総合版

人物の属性を元に定義する属性要件(人物の属性による基準)は、契約書の多くの反社条項(暴排条項)で規定されています。

反社会的勢力とは?_画像

暴排条例で利益供与が禁止される規制対象者とは?

条例で規制される「規制対象者」は、事業者による利益供与を禁止する対象として規定されている者です。

規制対象者には「暴力団員」のほか、たとえば、暴対法に基づく中止命令等を受けた日から3年が経過していない者など、次の者が該当します。

  • 暴力団員 
  • 暴対法の暴力的要求行為等の中止命令を受けてから3年を経過しない者
  • 暴対法の暴力的要求行為の反復や、指定暴力団の威力を示して行う準暴力的要求行為等に対する中止命令や指示を受けてから3年を経過しないもの 
  • 暴力団員との間でその暴力団の威力を示す対価として、金品などの利益供与に合意している者 
  • 暴力団の威力を示す常習者で、暴力的不法行為その他の違法行為の共犯等として刑に処せられて執行が終わった日から5年を経過しない者
  • 暴力団の威力を示す常習者で、暴力団員が代表者か、または支配する法人等の役員・使用人・従業者等である者
  • 事務所や周辺で著しく粗野・乱暴な言動や威勢を示して住民・通行人に不安を覚えさせることにより公表された日から起算して1年を経過しない者

(参照元:警視庁「東京都暴力団排除条例」第2条)

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利益供与の禁止は努力義務から罰則のある義務に

暴対法では利益供与は、

事業活動を通じて暴力団員に不当な利益を得させることがないよう努めなければならない

という事業者の努力義務でした。

しかし暴排条例では、次のように罰則のある義務に格上げされました。

事業者は、事業を行うに際して、暴力的不法行為を行うこと、行ったことの対償として、

当該規制対象者又は当該規制対象者が指 定した者に対して、利益供与をしてはならない。

金品その他の利益供与をしてしまうと、行政勧告・公表の対象となり、さらに行政処分や刑事罰が科される可能性があります。

法律での反社会的勢力対策の変遷

暴対法、暴排条例によって、国、自治体、企業、業界団体、警察の一体となった取り組みが進展しました。

一方で、反社会的勢力の方でも、暴対法による取り締まりを逃れるため、組織の多様化、経済活動への介入の巧妙化、暴力団以外の共生者の活動などが進行しています。

犯罪の国際化マネーロンダリングサイバー犯罪の台頭などの傾向も、対策を強化することが求められる理由です。

暴対法で、暴追センターを設置

暴対法によって、全国暴力追放運動推進センター(全国暴追センター)と、各都道府県の暴追センターが設置されました。

警察とともに事業者の反社対策の照会や、相談に対応しています。

暴追センターは次のような活動を行う公益法人です。

  • 暴力団員による不当行為の予防に関する知識の普及などの広報活動
  • 暴力団員による不当行為の予防に関する民間の自主的な組織活動への支援
  • 暴力団員による不当行為に関する相談
  • 少年に対する暴力団の影響排除の活動
  • 暴力団から離脱する意志を有する者への支援活動
  • 暴力団の事務所の使用により付近住民等の生活の平穏や業務の遂行が害されることの防止
  • 暴力団員による不当行為の被害者に対する民事訴訟などの支援

法律に準拠した反社条項は、暴排条例の努力義務

政府の「反社会的勢力による被害を防止するための指針」では、企業防衛の観点から、相手方が反社会的勢力であると判明した時点や、反社会的勢力であるとの疑いが生じた時点で、速やかに関係を解消することを強く推奨していました。

不当要求被害を防止するため、契約書取引約款暴力団排除条項を導入するなどの対策をあげています。

犯罪行為は刑法、その他の法令で取り締まられますが、企業の契約関係には民事裁判にも耐えられる対策が必要です。

そこで暴排条例では、企業取引の契約にあたり、相手方が反社会的勢力でないことを表明・確約する誓約書と、反社であることが判明したら直ちに契約解除できる反社条項(暴排条項)を交わすことが、企業の努力義務とされました。

罰則こそないものの、反社会的勢力との関係遮断のため、企業の対応が求められます。

①誓約書

事業者は、事業の契約が暴力団の活動を助長し、暴力団の運営に資することとなる疑いがあると場合には、契約の相手方、代理・媒介をする関係者が暴力団関係者でないことを確認するよう努めることとされています東京都暴排条例第18条1項)

②反社条項(暴排条項)

事業者は、事業の契約相手または、契約の代理・媒介者が暴力団関係者であると判明した場合には、催告なしに契約を解除できる条項を、契約書で定めるよう努めるものとされています東京都暴排条例第18条2項)

あくまでも努力義務のため、違反した場合の罰則はありません。

取引相手が反社会的勢力ではないことを確認するためには、反社チェックが必要です。

反社チェックは、企業のコンプライアンス遵守が求められる昨今、信用調査と併せて実質必須な調査であるといえるでしょう。

反社チェックは契約時だけでなく、相手が反社会的勢力に影響されていないか定期的に確認を行う必要があるため、多くの企業で反社チェックツールを導入しています。

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業界を規制する法律にも反社条項が導入

業界を規制するさまざまな法律も、反社会的勢力を欠格事由として、許認可や入札からの排除などの対応ができる改正がされました。

各業界を規制する法律にも採用されています。

法律での規定例として、たとえば次のものがあります。

建設業法

建設業法では、国土交通大臣又は都道府県知事は、一定の資格要件に違反するときは、一般建設業、特定建設業の許可をしてはならないとされています。

  • 一般建設業・特定建設業の許可を取り消された日から5年を経過しない者
  • 営業の停止・禁止を命ぜられ、その期間が経過しない者

などのほか、反社会的勢力に関する要件として次の規定があります。

  • 暴対法に規定する暴力団員・暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

欠格事由に違反して許可されたときは、許可が取り消されます。

建設業法_画像

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法では、一定の資格要件に違反するときは、国土交通大臣または都道府県知事による宅地建物取引業の許可を受けられません。

  • 免許を取り消された日から5年を経過しない者
  • 免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関し不正・著しく不当な行為をした者
  • 宅地建物取引業に関し不正・不誠実な行為をするおそれが明らかな者

などのほか、反社会的勢力に関する要件として次の規定があります。

  • 暴対法に規定する暴力団員・暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

欠格事由に違反して免許を得たときは、取消事由となります。

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貸金業法

貸金業法では、次の資格要件に違反するときは、内閣総理大臣または都道府県知事は、貸金業の登録を拒否しなければなりません。

  • 暴対法に規定する暴力団員・暴力団員でなくなつた日から5年を経過しない者
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  • 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者

廃棄物処理法や、労働者派遣法、その他の多くの業界規制法に、同様の規定が置かれています。

貸金業法_画像

反社会的勢力の組織化、国際化による法律制定

犯罪や組織の国際化、大規模化も近年の反社会的勢力を規制する背景にあります。

条約に基づく国際協力や、テロ防止、マネーロンダリング防止、サイバー犯罪防止などの条約と、国際協力に対応した法律の制定や改訂が行われてきました。

条約による国際的取り組み

国連越境組織犯罪防止条約(パレルモ条約) 、ウイーン条約(麻薬新条約)など、国境を越えたマネーロンダリング対策のための条約を、さらに実効性あるものにするため、1989年のアルシュ・サミットで、国際的な枠組みであるFATF(金融活動作業部会)が設置されました。

FATFでは、2012年にマネーロンダリングテロ資金供与大量破壊兵器の拡散対策のための40の勧告から構成されるFATF勧告が策定されました。(参照元:財務省「国際的なマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策」)

日本では、犯罪の組織化、大規模化や、マネーロンダリングの国際化などに対応するための法律が施行されています。

組織犯罪防止法

組織犯罪防止法は、刑法の特別法的な法律です。

2017年にはテロ等準備罪を追加した改正法が施行されました。

組織犯罪防止法_画像

引用:法務省

刑法は、詐欺や脅迫、威力業務妨害、贈賄、その他の犯罪を取り締まる、刑罰のある法律です。

組織犯罪対策法は、一定の刑法犯罪のうち、犯罪が組織的に行われた場合に、刑法よりも重い刑罰を適用し、組織的な犯罪を取り締まるための法律です。

犯罪収益の没収や、移転禁止のための保全手続き外国の刑事事件での国際協力などについても規定しています。

実際にマネーロンダリングを発見し、捜査するための法律としては、2008年には犯罪収益移転防止法(参照:警察庁が制定されました。

犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法では、金融機関、不動産業など一定の業種に、本人確認と、取引目的の確認などの義務を規定しています。

金融機関、クレジットカード会社、宅建業者、電話代行会社などの特定事業者は、取引時に本人確認取引目的の確認をしなければなりません。

犯罪で得た収益をマネー・ロンダリングやテロ行為等へ資金供与することを防止するための確認です。

疑いのある取引の届け出や、捜査機関への情報提供をする必要があります。

捜査の結果、犯罪収益と判明した金品には没収などの措置がとられることもあります。

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反社会的勢力に関する法律・リスク・対策を業界別に解説

政府指針に従って、各業界・業種でも独自に対応を行っており、業界全体が一丸となって反社会的勢力の排除に尽力しています。

法律に準拠した普遍的な反社対策

中小零細企業はその経営体力からなかなか一社単体で反社会的勢力に対しての対策が取りにくい部分があるため、対策が進まない面があります。

業界団体が連携して対応していく傾向が全国に広がっています。

①日本経済団体連合会(経団連)

経団連では、「企業行動憲章 実行の手引き」を公表しています。

そのなかで、「第9章 危機管理の徹底」では、

  • 反社会的勢力を排除する基本方針を明確に打ち出し、社内体制を確立する。
  • 反社会的勢力による被害防止のために、全社をあげて法に則して、関係団体とも連携して対応する。

(引用:日本経済団体連合会「企業行動憲章 実行の手引き」)

としています。

②商工会議所

商工会議所も反社会的勢力についての対策を公表しています。

2012年3月、東京都中小企業4団体暴力団等排除対策連絡協議会が発足しました。

全国商工会連合会では2015年、中小企業庁からの依頼を受け、会員企業に向けて「企業活動からの暴力団排除の取組強化について」という呼びかけを行いました。(参照元:全国商工会連合会「企業活動からの暴力団排除の取組強化について」)

企業の一般的な反社会的勢力への対策は、反社の誓約書や契約条項の整備と、反社チェックが2本柱です。

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対策を行うためのコンプライアンス部署や報告体制の整備も必要でしょう。

誓約書・契約書の反社条項(暴排条項)は、汎用的に使用できる暴追センターなどのモデル条項に加え、業界特有の条項などを入れると万全でしょう。

汎用的なモデル条項は、東京都の暴追センターが公表しています。

対応方法などのガイドも充実しており、わかりやすい資料です。(参照元:暴力団追放運動推進都民センター「暴力団対応ガイド総合版」)

業界特有の条項について、代表的な業界の対応例を見ていきましょう

不動産業の法律と対応

不動産業界を規制する宅建業法では、反社会的勢力が欠格事由となり、これに違反すると許可の取消などの行政処分があります。

虚偽の書類により免許を受けた場合の罰則もあります。

不動産業界では、売買・賃貸物件と反社会的勢力との関係を見逃した場合などに、注意義務に違反し、民事での損害賠償請求がされるなどの特有のリスクもあり、注意が必要です。

2011年には、不動産関係団体の協議会と国土交通省が、反社勢力排除のためのモデル契約書を公表しました。

また警察庁、国土交通省と不動産業界6団体、全国暴力追放運動推進センター、弁護士からなる「不動産業・警察暴力団等排除中央連絡会」を設置し、さらなる連携強化と排除の推進に力を入れています。

■モデル条項1

【策定団体】流通系4団体(全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会、不動産流通経営協会、日本住宅建設産業協会)
【策定時期】平成23年6月
【モデル条項】売買契約編媒介契約編賃貸住宅契約編
【備考1】売買契約編のモデル条項に関する解説

■モデル条項2

【策定団体】不動産協会
【策定時期】平成23年9月
【モデル条項】売買契約編賃貸借契約編

参照元:国土交通省「反社会的勢力排除のためのモデル条項について

生命保険・損害保険業界の法律と対応

保険業界は、保険業法により規制されるとともに、金融庁による監督を受けて事業を行っています。

①生命保険業界

生命保険業界は、反社会的勢力との関係遮断を徹底するため、生命保険協会は会員会社が遵守する個別・具体的な事項を取りまとめた「生命保険業界における反社会的勢力への対応指針」を策定しています。

保険契約においても、保険契約者、被保険者または保険金の受取人が、反社会的勢力に該当すると認められるとき、反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているときに、保険契約を解除し、保険金等を支払わないこととする「反社会的勢力への対応に関する保険約款の規定例」を公表しています。

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②損害保険業界

反社会的勢力による保険金詐欺の被害対策のため、日本損害保険協会は会員企業に向けて「損害保険業界における反社会的勢力への対応に関する指針」を定めています。

協会の対応、外部機関との連携、取引を含めた一切の関係遮断、民事・刑事の法的対応、裏取引・資金提供の禁止という、5つの基本方針を示しています。(参照元:日本損害保険協会「損害保険業界における反社会的勢力への対応に関する指針」)

保険契約についても、さまざまな保険のパターン別に「反社会的勢力への対応に関する保険約款の規定例」を公開しています。

保険契約者、被保険者または保険金の受取人が、反社会的勢力に該当すると認められるとき、反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているときに、保険契約を解除し、保険金等を支払わないこととするものです。(参照元:日本損害保険協会「反社会的勢力への対応に関する保険約款の規定例」)

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証券業界の法律と対応

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証券業界は、金融商品取引法により規制されるとともに、金融庁による監督を受けて事業を行っています。

相場操縦やインサイダー取引などの不公正な取引は、金融商品取引法による刑事罰・行政罰などの対象となります。

犯罪収益の移転防止のため、取引や本人の確認義務もあり、反社会的勢力との関係を見逃した場合の注意義務違反など、特有のリスクもあるでしょう。

さらに証券取引所では、上場企業との上場規定により反社会的勢力への対策を規定しています。

新規上場申請のほか、市場変更や第三者割当増資などの際に、関係者や株主が反社でないことの確認を行い、確認書を提出することを義務付けています。

日本証券業協会は2010年5月に制定した「反社会的勢力との関係遮断に関する規則」の中で、会員企業に対して厳しい規則の遵守を求め、取るべき対応を明言しています。

新しく口座を開設する企業・人物に対しては、同協会の反社情報照会システムへの照会を行い、反社かどうかの確認を会員企業に対して義務づける対策を徹底しています。(参照元:日本証券業協会「反社会的勢力との関係遮断に関する規則」)

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銀行・金融業界の法律と対応

銀行業界は、銀行法金融商品取引法貸金業法により規制されるとともに、金融庁による監督を受けて事業を行っています。

銀行業界では、暴力団及び反社会的勢力によって資金のロンダリングや口座の不正利用による被害を防ぎ、銀行取引から排除するため、2008年には銀行取引約定書に、2009年には普通預金、当座勘定、貸金庫の各規定に、反社会的勢力排除条項を導入しました。

2011年には、普通預金規定・当座勘定規定・貸金庫規定に盛り込む暴力団排除条項を改正しています。

全国銀行協会では「銀行取引約定書に盛り込む暴力団排除条項参考例」を公表しています。参考例では、次の条文があります。

私または保証人が、暴力団員等もしくは第1項各号のいずれかに該当し、もしくは前項各号のいずれかに該当する行為をし、または第1項の規定にもとづく表明・確約に関して虚偽の申告をしたことが判明し、私との取引を継続することが不適切である場合には、私は貴行から請求があり次第、貴行に対するいっさいの債務の期限の利益を失い、直ちに債務を弁済します。

引用:日本銀行協会「銀行取引約定書に盛り込む暴力団排除条項参考例

信用金庫でも同様の規定が設けられています。

犯罪収益の移転防止のため、取引目的・本人の確認義務もあり、マネーロンダリングなどを見逃した場合の注意義務違反など、特有のリスクもあるでしょう。

2019年1月には、警察庁と預金保険機構との協力で、銀行が扱う個人向け融資取引を申請する者が暴力団員等にあたるかどうかの照会に応じるシステムを構築しました。

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反社会的勢力の排除をするための法律は?

刑法犯罪や組織犯罪などは、警察が捜査をして取り締まり、刑事裁判で手続が進められます。

一方、反社条項に基づく契約解除や、解除に伴う民事上の争い、反社会的勢力に関して生じた損害賠償請求などは、契約に基づき交渉などで解決を図り、解決できなければ民事裁判で争われます。

交渉や紛争解決にあたっては、民法、会社法、その他の法律の規定にしたがって、反社会的勢力の排除と、それに伴う問題解決を図ることになります。

民法による契約解除

反社でないことを表明し、将来にわたり関係しないことを確約する誓約書は、取引のほか、従業員の雇用や役員の就任などにも必要です。

反社と判明したら催告なしに直ちに契約解除できる、契約書の反社条項についても、同様です。

誓約書、反社条項のある契約書をあらかじめ用意することにより、民法の錯誤の規定などを持ち出すまでもなく、直ちに契約解除することが可能です。

民法の契約自由の原則(参照:消費者庁)による効果です。

消費者庁「法務省説明資料」_契約自由の原則

引用:消費者庁「法務省説明資料

民法による損害賠償請求

民法では、不法行為による損害賠償請求(民法第709条)と、債務不履行による損害賠償請求(民法第415条)が規定されています。

不法行為は犯罪や法令違反、債務不履行は金銭の支払いや約束を果たさないことです。

ただ、不法行為かどうか、債務不履行かどうかの争いにより、問題解決が長引くこともありえます。

そこで誓約書や契約書に、契約解除に伴い、反社勢力相手に損害賠償請求できる条項と、逆に相手から損害賠償請求されない条項を入れておくことが必要です。

民法の善管注意義務

反社会的勢力を見逃すと、民法の善管注意義務(民法第644条)違反に問われる可能性があり、反社チェックで義務を果たす必要があります。

たとえば、不動産業界の取引で、売買した物件や賃貸物件が、反社会的勢力に関係するものであった場合や、反社会的勢力に貸してしまった場合などは、契約当事者に損害を与えます。

善管注意義務違反により、損害賠償請求をされるかもしれません。

善管注意義務違反を要因として、行政の規制法違反に問われるケースもありえます。

ちょっとした見逃しが、許認可取消などの不利益な行政処分を招くかもしれません。

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会社法の善管注意義務

企業の取締役にも善管注意義務(会社法第330条)があります。

反社チェックを怠ると、善管注意義務違反に問われる可能性があり、これにより取引相手が損失を出せば、損害賠償請求をされるかもしれません。

会社が損失を出せば、会社からの賠償請求、株主代表訴訟を提起されるかもしれません。

善管注意義務違反を要因として、行政の規制法違反に問われ、行政処分となるケースもありえます。

刑法の故意・重過失を避けるには?

刑法や暴対条例などの刑事事件でも、故意過失重過失によって、責任が変わる場合があるでしょう。

故意はともかく、過失や重過失を防ぐには、やはり注意義務を怠らず、反社チェックで義務を果たす必要があります。

反社会的勢力を発見し、排除するために必要な反社チェック

各業界が業態に合わせてさまざまな対策を行っているように、法律に準拠した反社条項を契約書に入れるだけでは、反社会的勢力を遮断することは困難です。

自社の反社会的勢力に対する方針を策定し、誓約書・契約書を整備するとともに、実際に契約が遵守されていることを確認するための反社チェックが必要です。

反社チェックは取引先、商談相手のほか、従業員や役員など、関係者すべてについて行うことが必要です。

契約前に発見して取引を拒絶するために、事前にチェックするほか、定期的に反社チェックを行うことにより、巧妙に隠蔽していた反社会的勢力を発見したり、事後的に反社会的勢力への関与が生じたケースも発見できます。

善管注意義務を遵守していることの証明として、反社チェックは定期的、継続的に実行し、チェック結果は保管しておかなければなりません。

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自動化ツールで法的リスクを軽減する機能

反社チェックには、反社チェックツールを活用し、調査対象の全数について、自社でスクリーニングを行う一次調査があります。

スクリーニングの結果、重点的に調査する必要があれば、調査会社などに依頼して二次調査を行います。

一次調査は、相手企業の公開している企業情報や、インターネット上にある新聞や雑誌、官報、さまざまな噂話、口コミなどの公知情報を収集し、ネガティブワードなどで疑いのある情報を発見するものです。

RoboRoboコンプライアンスチェックでは、あらかじめ取引先や商談相手、従業員などのリストで一括登録し、簡単な設定で自動チェックを行います。

チェック結果は取引先などの調査対象ごとにフォルダ保管され、メモ機能や、自動的な反社アラート機能などもあり、一目でわかるように情報が整理されます。

roboroboコンプライアンスチェック_取引先一覧・登録画面イメージ

RoboRoboコンプライアンスチェックでのスクリーニングの結果、反社やコンプライアンス違反の疑いがある対象については、取引の交渉や入社面談を中止し、契約を行わないことが大切です。

既存の取引先に反社アラートの警告が表示されたら、調査会社に依頼して、詳細な企業情報経営実態業績動向社長の経歴や気質過去の行政処分歴などを調査します。

業務を飛躍的に効率化でき、ランニングコストも安いため、削減できた費用はいざという時の二次調査や、弁護士への相談に充てることも可能です。

反社会的勢力の法律相談は弁護士に

反社会的勢力に関して、相手方との交渉が必要な場合や、民事事件、刑事事件、あるいは行政処分などの問題に発展しかねない場合には、弁護士に相談することが必要です。

契約書のひな型を作成したり、リーガルチェックをする際にも弁護士を活用しましょう。

自社で裁判をする場合の書類作成や、少額の訴訟であれば司法書士でも行える場合があります。簡単な契約書であれば行政書士が作成することは可能です。

しかし、こと反社会的勢力の問題に関しては、弁護士が代理人とならない裁判や交渉は危険です。

また一般事件と比べても紛争性も高く、反社についてのリーガルチェックや法律相談、交渉や紛争処理は、必ず弁護士に依頼することが必要です。

なお、暴追センター警察では、反社対策のための相談照会に対応しています。

不動産業界や金融業界などでは、独自の反社データベースを構築しています。

自社にとっての反社会的勢力の定義を明確化する必要があるため、契約書のひな形を作成する時は必ず法務関係者に内容の確認を行いましょう。

まとめ

暴力団に対する法律について解説し、各業界が反社会的勢力の排除のための取り組みを行っていることがおわかりいただけたでしょうか。

反社会的勢力は今や暴力団に限らず、急速に多様化し、巧妙な方法で各業界の企業から利益を奪おうと接触してきます。

反社会的勢力を排除するためには、指針をもとに柔軟かつ迅速に、断固とした姿勢で対応しなければなりません。

自社の体制整備や、契約書などの準備、社内での報告や情報共有、問題が起きたときの相談体制などを策定することも大切です。

反社チェックでは、RoboRoboコンプライアンスチェックを導入すれば、かかる工数や人員、ランニングコストを削減でき、一定水準のチェックを継続的に実行するのも簡単です。

特許出願中の独自機能を搭載し、3段階の反社アラートで、ロボットが自動的に反社会的勢力の疑いある対象を発見してくれます。

法律や条令に準拠した品質の調査結果を証跡として保管することができるでしょう。

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Q&A

反社会的勢力についての法令をQ&Aにまとめました!

契約の締結では、相手が反社会的勢力かどうかを必ず確認する必要がありますか?

暴排条例では、事業者が事業に関して締結する契約が「暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資することとなる疑いがあると認められる場合」に、契約の相手方が反社会的勢力でないかを確認するよう規定しています。罰則がない努力義務であるほか、スーパーやコンビニで日用品を売買する場合などにまで、相手の確認をしなければならないわけではありません。

しかしツールで自動的に実行できるため、会社対会社や、個人事業者であっても、企業取引では調査対象全数をスクリーニングチェックはするのがよいでしょう。

警察に相談して反社会的勢力の照会を受けるのに必要なものは?

  • 確認を求める契約相手の氏名、生年月日、住所、電話番号などがわかる資料
  • 暴力団排除の特約を定めた契約関係資料
  • 契約相手が暴力団関係者の疑いがあると判断した資料

などを準備するのがよいでしょう。

どのような行為が利益供与違反になりますか?

暴力団の威力を利用する目的で利益供与をする場合のほか、暴力団の活動を助長し、または暴力団の運営に資することとなることを知っていながら、規制対象者に利益供与した場合に違反となります。たとえば、以下のようなケースでは、利益供与違反になるでしょう。

  • 工事業者が、暴力団事務所であることを認識したうえで、対立抗争に備えて壁の補強工事を行う行為
  • ホテルが、暴力団のパーティーに使われることを知って宴会場を貸し出す行為
  • 不動産業者が、暴力団事務所として使われることを知ったうえで物件を売却、賃貸する行為
  • 飲食店が、暴力団の運営資金になることを知りながら、物品を購入したりサービスの提供を受けて料金を支払う行為

roboroboコンプライアンスチェック_従来作業との作業量比較