「リスクマネジメントを体系的に整備したいが、何から着手すべきかわからない」と悩んでいませんか?
リスクマネジメントとは企業経営において起こりうるリスクを事前に特定・評価し、損失を最小限に抑える管理プロセスです。
ISO31000では「リスク=目的に対する不確実性の影響」と定義され、自然災害や情報漏洩だけでなく技術革新や市場変動も対象に含まれます。
本記事では、リスクの種類・ISO31000に基づくプロセス・4つの対応手法・実務ポイントまで体系的に解説します。
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目次
リスクマネジメントとは?

リスクマネジメントとは、企業経営で起こりうるリスクを事前に特定・評価し、損失を最小限に抑える管理手法です。
クライシスマネジメントや危機管理と響きは似ていますが、守備範囲はかなり違います。この区別がついていないまま進めている現場は、地味に多い印象です。
リスクマネジメントの定義
JISQ31000:2019では、リスクマネジメントを「リスクについて、組織を指揮統制するための調整された活動」と定義しています。(※1)
個々のリスクをつぶすことではなく、方針づくりから体制の構築・運用までを組織全体で回す仕組みを指します。
なお、この規格は国際規格ISO31000:2018をそのまま日本語に翻訳したものです。内容に違いはありません。
体制をゼロから設計する際にこの規格を起点にする企業は増えてきました。ただ、規格の文言は抽象的で、読んだだけでは具体的な打ち手が見えにくいです。ここが実務で最初につまずきやすい部分でしょう。
リスクマネジメントと関連用語の違い
リスクマネジメントと混同されやすい用語は主に4つあります。
| 用語 | 概要 | リスクマネジメントとの違い |
|---|---|---|
| リスクアセスメント | リスクの特定→分析→評価の3段階 | プロセスの一工程 |
| リスクヘッジ | リスクに備えた具体的な施策 | 個別の対策行動 |
| クライシスマネジメント | 重大な緊急事態への備え | より深刻な事態が対象 |
| 危機管理 | 発生した問題の拡大防止 | 事後対応が中心。日本語では事前+事後の総称としても使われる |
実務で一番引っかかるのは「危機管理」との境界でしょう。日本語の危機管理は事前の備え(リスクマネジメント)と事後の対処(クライシスマネジメント)を両方含む言葉です。
そのため、「危機管理を強化しよう」と号令が出ても、事前と事後どちらの話なのか社内でずれているケースはよく見られます。ここがずれたまま進めると、対策そのものが空回りします。
企業がリスクマネジメントに取り組む目的と必要性
リスクマネジメントに取り組む最大の目的は、問題が発生しても事業を止めない体制をつくることです。
ただ、話はそこだけで終わりません。投資家がリスク体制をIRの重要指標として見るようになり、不確実性の高い時代には「リスクを取る」判断まで求められています。
そのため、取り組みの動機自体が、数年前とはかなり変わってきました。
事業存続とリスクの最小化
危機が起きたときの損失を極小化し、事業を止めずに済む体制をあらかじめ築いておくこと。
これがリスクマネジメントに取り組む最も基本的な理由です。
中小企業白書(2016版)の調査では、リスク管理の専門部署を置いている企業の約7割が「リスクを事前に防げた」または「影響を想定内に抑えられた」と回答しています。(※2)一方、担当部署がない企業では同じ回答が4割強にとどまりました。
事前の備えが事業存続の分かれ目になっていることは、数字を見れば明らかでしょう。体制の有無だけで、ここまでの差が出るということです。
IR・コーポレートガバナンスにおける重要性
コーポレートガバナンス・コードは、上場企業のリスクマネジメント体制に明確な基準を設けた規定です。
原則4-2では経営陣の適切なリスクテイクを支える環境整備を取締役会の責務とし、補充原則4-3④では全社的なリスク管理体制の整備を求めています。(※3)プライム・スタンダード市場の上場企業は全原則への対応が必要なため、体制の構築は事実上避けて通れません。
加えて、投資家がリスク体制をIRの判断材料として重視する傾向も強まっています。取締役会でリスク報告を定期的に実施しているかどうかが、機関投資家との対話で問われる場面は多いことも。
上場企業向けの規定ではあるものの、IPOを見据えてこのコードを参照する企業は増えてきています。
VUCA時代に求められるリスクマネジメントの変化
VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代に入り、リスクマネジメントの役割は「リスクを避ける」から「取る判断も含めて管理する」へと広がっています。
ISO31000ではリスクの低減だけでなく「取る、または増加させる」選択肢も正式に認められました。(※1)DXや新規事業に踏み出さなければ成長はない以上、回避一辺倒では経営が成り立ちません。
加えて、管理すべきリスクの種類も変わってきました。AI活用に伴う判断ミスや著作権侵害、SNS上の炎上、ランサムウェアによるサイバー攻撃。IPAの「情報セキュリティ10大脅威」でもランサムウェアは組織向け1位に入っており、数年前とはリスクの顔ぶれ自体が違います。(※4)
ただ、「どこまで取るか」の線引きに正解はなく、業種や規模で答えは変わります。ここは経営判断そのものです。そのため、仕分けの仕組みがないまま走ると、判断が属人化して危うくなります。
企業を取り巻くリスクの種類

企業が直面するリスクは、大きく「純粋リスク」と「投機的リスク」の2つに分けられます。純粋リスクは損失だけを生むもの、投機的リスクは損失にも利益にもなりうるものです。
この分類を知らずに対策へ入ると、守りと攻めの議論が噛み合わなくなる場合があります。
純粋リスク(マイナスリスク)の4分類
純粋リスクとは、発生すれば損失だけを生むリスクです。利益につながる可能性がないため「マイナスリスク」とも呼ばれ、中小企業白書では4つに分類されています。(※2)
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 財産リスク | 火災・自然災害による建物や設備の損壊 |
| 費用・利益リスク | 事業中断に伴う売上減少・復旧費用の発生 |
| 人的リスク | 経営者や従業員の死亡・疾病・後遺障害 |
| 賠償責任リスク | 製品事故や過失による法的賠償・株主代表訴訟 |
見落とされやすいのは費用・利益リスクでしょう。火災で工場が止まったとき、建物の損害には意識が向いても、操業停止中の逸失利益まで見積もれている企業は多くありません。
投機的リスク(ビジネスリスク)の4分類
投機的リスクとは、損失にも利益にもなりうるリスクです。「ビジネスリスク」とも呼ばれ、4つに分類されます。(※2)
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 経済的情勢変動 | 景気・為替・金利の変動、デリバティブ損失 |
| 政治的情勢変動 | 政策変更・規制の緩和や強化・消費者動向の変化 |
| 法的規制の変更 | 税制改正・個人情報保護法等の法改正 |
| 技術的情勢変動 | 技術革新・特許・競合の新製品開発 |
純粋リスクと違い、回避だけが正解にはなりません。為替リスクを取らなければ海外展開はできず、技術革新を無視すれば市場から取り残されます。このように、避けることで別のリスクが生まれる点が、投機的リスクの厄介なところです。
近年注目される企業リスクの具体例
前述のとおり企業リスクの顔ぶれは変わりつつありますが、なかでも被害規模が大きいのがランサムウェアです。
警察庁の調べでは、2025年の国内被害報告件数は226件にのぼり、復旧費用が1,000万円を超えたケースは5割を超えました。(※5)2024年のデータでは被害企業の6割以上が中小企業で、規模を問わず狙われている実態が浮かびます。
また、SNS炎上のダメージも無視できません。従業員の不適切投稿やPRでの生成AI活用が批判を招き、一度火がつけば株価下落・売上減少・採用難が同時に押し寄せます。
ただ、これらのリスクに共通しているのは、発生してから対処するのでは間に合わないという点でしょう。サイバー攻撃も炎上も、平時の備えがそのまま被害額の差になります。
リスクマネジメントの基本プロセス
JISQ31000:2019では、リスクマネジメントを「原則」「枠組み」「プロセス」の3層構造で整理しています。(※1)原則が目指すべき姿、枠組みが組織体制の設計、そしてプロセスが実務で踏む具体的な手順です。
実際に手を動かす段階で関わるのはこのプロセス部分で、以下の5つのステップで構成されています。
- ステークホルダーとのコミュニケーションおよび協議
- 適用範囲・状況・基準の確定
- リスクアセスメント(特定・分析・評価)
- リスク対応
- モニタリングおよびレビュー
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ステークホルダーとのコミュニケーションおよび協議
JISQ31000:2019では、コミュニケーションおよび協議を「プロセスの各段階及び全体で実施することが望ましい」と位置づけています。(※1)
特定のステップではなく、全工程に横串を通す活動です。
というのも、経営層がリスクの実態を把握していなければ、現場がどれだけ丁寧にリスクを洗い出しても予算や人員は動きません。ここが抜けたまま進めて、対策が形骸化した現場は少なくないでしょう。
だからこそ、四半期ごとの報告会など対話の場をあらかじめ仕組みに組み込んでおくことが効きます。都度の相談頼みだと、忙しい時期に対話そのものが途切れる可能性があるためです。
適用範囲・状況・基準の確定
リスクマネジメントをどの範囲に、どの基準で適用するかを決めるステップです。同じ企業でも、製造部門と営業部門ではリスクの種類がまったく違います。すべてに同じ粒度で対応しようとすれば、予算も人員も足りません。
だからといって部署任せにすると、全社で見たときに抜け漏れが出ます。ここのさじ加減が一番悩ましいところです。
そのため実務では、部署ごとにリスクを洗い出し、どこに重点を置くかを決めたうえでリソースを配分していきます。ただし、部署ごとの洗い出しだけでは全社の抜け漏れを防ぎにくいため、全部署を横断で見る担当者を一人置くとよいでしょう。
リスクアセスメント(特定・分析・評価)
リスクアセスメントは、特定→分析→評価の3ステップで構成されるプロセスの中核です。
特定では、自社が直面しうるリスクを部署横断で洗い出します。製造業であれば設備故障・原材料の供給停止・労災事故などです。損失側だけでなく投機的リスクも漏らさず拾うことが欠かせません。
洗い出したリスクは、分析と評価を通じて絞り込んでいきます。分析ではリスクごとに「どの程度起きやすいか」「起きたらどれだけ痛いか」の2軸で重みをつけ、評価でその結果をもとに対応の優先順位を決めます。金額換算まで踏み込めると、経営層への説明が通りやすくなるでしょう。
ただ、低確率でも一度起きれば事業が止まるリスク、つまり大規模サイバー攻撃や取引先の突然の倒産などの扱いでは、判断が割れやすいです。
リスク対応
リスク対応は、「計画→実施→効果検証→追加対応」を繰り返すサイクルで進めます。対策を打って終わりではなく、実施後に効果を確認し、残ったリスクが許せる範囲かどうかを見極めたうえで次の手を決める流れです。
一巡で完了するケースはまれで、セキュリティパッチを当てたら別の脆弱性が見つかるといった具合に、対策後も新たなリスクが顔を出します。
モニタリングおよびレビュー
モニタリングおよびレビューは、リスクマネジメントのPDCAを回すCheck+Actにあたります。対策を実施した結果を検証し、効果が不十分であれば改善に進む。この繰り返しがプロセス全体の精度を上げていきます。
また、事業環境が変わればリスクの優先順位も入れ替わります。半年前に「低」と判定したリスクが、法改正ひとつで「高」へ跳ね上がることは珍しくありません。
そのため、最低でも年1回の見直し、できればリスク登録簿は半期ごとに更新しておきたいところです。形だけの定期観測で終わると、変化に気づけません。
リスクマネジメントの4つの手法
リスクへの対応手法は、大きく以下の4つに分けられます。
- リスクの回避
- リスクの低減
- リスクの移転
- リスクの受容
どのリスクにどの手法を当てるかは、前章のリスクアセスメントで出した優先順位と、自社のリソース状況から判断しましょう。ここからは、4つの手法を具体例とともに整理します。
リスクの回避
リスクの回避とは、リスクを生じさせる活動そのものを取りやめる手法です。
たとえば、情報漏洩リスクが高い業務を外部に出さず自社で完結させる、政情不安な地域への進出計画を白紙に戻す。
こうした「やらない」と決める判断が回避にあたります。リスクの発生源ごと断ち切れる点で、4つの手法のなかでは最も確実な手段でしょう。
ただし、その活動から得られたはずの利益も手放すことになります。撤退や中止の判断を先送りにし、結局リスクが顕在化してから慌てる現場は多く見られます。ここの天秤が、回避を選ぶうえで一番悩ましい部分です。
リスクの低減
リスクの低減とは、発生確率または影響度を下げることでリスクを小さくする手法です。活動自体はやめずに済むため、実務で選ばれやすい手法といえるでしょう。
この手法は、「確率を下げる」施策と「影響を抑える」施策の2通りがあります。
たとえば製造業で設備の定期メンテナンスを行えば故障の確率が下がり、復旧手順書をあらかじめ整備しておけば止まったときの影響を抑えられます。この掛け合わせが低減の基本です。
ただし、低減はリスクをゼロにはできません。そのため、どこまで下げればコストに見合うかの判断が求められます。過剰な対策で現場の動きが鈍くなるケースも、地味に多いです。
リスクの移転
リスク発生時の損失を、保険や業務委託を通じて第三者にカバーさせるのが移転です。火災保険や賠償責任保険への加入が典型で、情報システムの運用を専門会社に委託し、障害対応の責任ごと移すのも移転の一つといえます。
ただし、移転できるのは金銭的な損失が中心です。信用やブランドの毀損までは移せません。そのため、保険で復旧費用はまかなえても、「あの会社は事故を起こした」という評判は自社に残ります。「保険があるから大丈夫」で止まっていると、ここで足をすくわれるでしょう。
リスクの受容
回避・低減・移転のいずれもコストに見合わないとき、リスクをあえて引き受ける判断が受容です。「何もしない」と聞くと無策に見えますが、影響度が小さいリスクや、対策費用が想定損失を上回るケースでは、受け入れるほうが合理的な場合もあります。
ただし、受容は「放置」ではありません。リスクの存在を認識し、発生時の影響を把握したうえで「今は手を打たない」と決める。この判断根拠を記録に残しておかないと、あとから「なぜ対策しなかったのか」と問われたとき説明がつかなくなります。
受容こそ、記録が求められる手法といえるでしょう。
リスクマネジメントを成功させるための実務ポイント

ここまでリスクの種類・プロセス・手法を整理してきましたが、仕組みがあっても運用で崩れるケースは少なくありません。
最後に、企業の人事・総務担当者がすぐに着手できる実務ポイントを3つに絞って取り上げます。
経営トップのコミットメントを取り付ける
経営トップのコミットメントを得る最も確実な方法は、リスク報告を取締役会の定例議題に組み込むことです。議題になれば経営層は内容を把握せざるを得ず、予算や人員の判断も動きやすくなります。
近年はCRO(最高リスク責任者)を新設し、リスクの意思決定を経営直下に引き上げる企業も出てきました。「うちは大丈夫だろう」で済ませていた経営層が、報告を受ける立場になった途端にリスクへの解像度が上がったという声は珍しくありません。
逆に、トップが関与しないまま現場だけで回そうとすると形骸化しやすいでしょう。これは仕組みの問題であって、担当者の熱意だけでは超えにくい壁です。
リスクの洗い出しと優先順位付けを定期的に行う
リスクの洗い出しから優先順位付けまでの流れは前述のアセスメントで触れましたが、ここでは実務で回すための道具立てを補足します。
まず登録簿ですが、Excelで十分です。「リスク名」「起きやすさ(高・中・低)」「ダメージの大きさ」「現状の対策」などを列に並べるだけで、共有可能なリスク一覧になります。洗い出しの場ではブレストやアンケートを使い、個人の判断で「これは大したことない」と省かせないことが欠かせません。
また、登録簿は作った時点がピークで、放置するとすぐ陳腐化します。更新の担当者と頻度をあらかじめ決めておかないと、気づいたときにはリスクの顔ぶれが現実と合わなくなっているでしょう。
コンプライアンスチェック体制を整備する
取引先や採用候補者のコンプライアンスチェックは、リスクマネジメント体制に最初から組み込んでおくべき仕組みです。
暴力団排除条例や政府の反社指針が求める関係遮断を実行するには、新規取引の開始時や採用選考時にチェックを挟む設計が欠かせません。
チェックが抜けたまま取引を始め、あとから相手が反社に該当すると判明したケースでは、契約書に暴排条項がなければ解除すらできない事態に陥ります。上場準備中の企業であれば、審査そのものが止まりかねません。
とくに厄介なのは、近年の暴力団が組織実態の隠ぺいを進めている点でしょう。外見や登記情報だけでは見抜けないケースが増えており、人手の確認だけで回すには限界がある領域です。
リスクマネジメントに関するよくある質問
リスクマネジメントについて、手続き面だけでなく「どの部署が担うのか」「どのくらいの頻度で見直すのか」といった運用面で迷うケースもあるでしょう。
ここでは、実務でとくに聞かれやすい3つの疑問を取り上げます。
Q.リスクマネジメントの担当部署はどこに置くべき?
兼務体制でも、リスクごとに「誰が最終判断を持つか」さえ決まっていれば機能します。JISQ31000:2019が推奨する「リスク所有者」の考え方です。(※1)
中小企業白書(2016年版)によると、リスク管理の専門部署を設けている企業は中小で3.9%、大企業でも18.5%にとどまっています。(※2)大半は総務・法務・コンプライアンス部門が兼ねているのが実情でしょう。
兼務で起きやすいのは、責任の所在があいまいになることです。ある部門がリスクを拾い上げても、別の部門が「うちの管轄ではない」と判断して対応が宙に浮いてしまう。このように、専任部署を置けない場合ほど、リスク所有者の明確化が効いてきます。
Q.リスクマネジメントはどのくらいの頻度で見直すべき?
全体の見直しは最低でも年1回、リスク登録簿の更新は四半期に1回が実務上の目安です。ただし、この数字はあくまで下限にすぎません。業種や事業環境によって最適な間隔は変わると考えておきましょう。
リスクの変化速度は業種によってかなり異なります。法規制の改正が頻繁な金融業界や技術革新の早いIT業界では、四半期でも追いつかない場面が出てくるでしょう。逆に、事業環境が安定している業種では年1回で十分なケースもあります。
加えて、定期見直しとは別に「臨時見直し」のトリガーを決めておくことも欠かせません。大規模なインシデント、主要な法改正、M&Aや新規事業の立ち上げ。こうした変化があったときは、スケジュールを待たず登録簿を開くほうがよいでしょう。
Q.中小企業でもリスクマネジメントは必要?
リスクマネジメントは規模にかかわらず必要です。むしろ中小企業は財務的な体力が限られる分、一度のトラブルが廃業に直結しかねません。
中小企業白書(2016年版)によると、リスク対策に取り組んでいる中小企業では「経営資源の把握」(53.6%)や「人材育成」(31.7%)など、平時の経営改善効果を実感したという回答が出ています。守りのつもりで始めた仕組みが、気づけば経営の足場を固めていたという流れです。
前述のとおり専門部署を持つ中小企業は一握りですが、本記事で紹介した仕組みは専任がなくても回せるものばかりです。まずは手の届く範囲から始めてみる、それだけでも何もしていない状態とは大きく変わります。
リスクマネジメント強化に役立つ「RoboRoboコンプライアンスチェック」

リスクマネジメントの実務において、取引先や従業員の反社チェック・コンプライアンスチェックは欠かせない工程です。前述のとおり、人手の確認だけで回すには限界がある領域でもあります。
「RoboRoboコンプライアンスチェック」は、こうしたチェック業務を自動化するクラウドサービスです。
AIによるリスク自動判定で属人化を解消

RoboRoboコンプライアンスチェックは、ヒットした記事をAIが「高・中・低」の3段階で自動分類し、属人化を解消します。インターネット記事と新聞記事を1クリックで同時検索できるため、ソースごとに分けて調べる手間もありません。
さらに、注目度「高」の記事は生成AIが要約しリスクレベルまで判定します。
担当者が変わっても判定基準がぶれにくい点は、体制の安定化という面で効いてくるでしょう。属人化が課題になっている現場ほど、導入効果を実感しやすいはずです。
Excel一括登録+API連携で大量チェックを効率化

Excelにまとめた取引先リストをドラッグ&ドロップするだけで、一括登録が完了します。数百件でも数千件でも、1件ずつ手入力する工程が丸ごとなくなる。ここが大量チェックを回すうえでの利点です。
さらに、CRMやSFAとのAPI連携にも対応しており、取引先の登録から検索実行、結果の取得までを自動化できます。そのため、新規取引先が発生するたびにツールを開いて手入力し直す必要がありません。
また、検索結果や証跡はまとめてダウンロードでき、監査対応の資料づくりもそのまま済ませられます。都度キャプチャを保存していた作業がなくなる分、担当者の負担は目に見えて減るでしょう。
導入企業の活用事例

年1回6,000件の一括チェックが、最終確認わずか60件で済むようになった、コインパーキング事業を全国展開するエコロシティ株式会社の導入事例です。
同社は顧客の入れ替わりが早く、月40~50件の新規チェックに加え年1回の全件チェックが必要でした。導入前は1件5~6分、検索結果を別のExcelに手作業で記録する運用で、効率と品質の両面に課題がありました。
しかし、RoboRoboコンプライアンスチェック導入後は1件1~2分に短縮。業務代行サービスも併用し、6,000件の一次チェックを外部に任せ、社内確認は要精査の約60件だけです。総務ディレクターの嶋田佳代さんは「基準が一定に保たれ、人事異動があっても品質が下がらない」と話しています。
まとめ
リスクマネジメントは、リスクの特定・評価から対応・モニタリングまでを組織全体で回し続ける仕組みです。プロセスや手法を知っているだけでは足りず、経営トップのコミットメント、登録簿の運用、コンプライアンスチェック体制の整備まで含めて初めて機能します。
どのステップにも共通していたのは、「属人的な判断に頼らず、仕組みで回す」という一点です。担当者が変わるたびに精度が落ちる状態を放置すれば、いくらプロセスを整えても実効性は伴いません。
取引先や採用候補者のスクリーニングを強化したい場合は、「RoboRoboコンプライアンスチェック」の活用も選択肢の一つです。
【参考】
※1「JISQ31000:2019 リスクマネジメント-指針|日本産業規格」を加工し作成
※2「中小企業白書(2016年版)|中小企業庁」を加工し作成
※3「コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)|日本取引所グループ」を加工し作成
※4「情報セキュリティ10大脅威 2026|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構」を加工し作成
※5「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁」を加工し作成

