上場審査(IPO審査)を通過するためには反社チェックが必須です。
とは言え「反社チェックのやり方がわからない」「より効率よくチェックをする方法を知りたい」と感じている方もいるでしょう。
そこでこの記事では、反社チェックをするべき範囲や方法、チェックする際の注意点などを解説します。
これから上場審査を受ける予定の方はぜひ最後までご覧ください。
目次
1.上場審査の前に反社チェックをする重要性
反社会的勢力と関わりがあると上場審査を通過できません。
自社を上場させたいのであれば、必ず審査前に反社チェックを行なって関わりを断ちましょう。
反社と関わると上場審査を通過できないだけでなく、以下のようなリスクがあります。
- 取引の解消:銀行からの融資がおりなかったり、取引先に断られたりする恐れがある
- 営業停止:反社会的勢力への資金提供を止めるため営業停止になる
- 法令違反:罰則を受ける可能性があり信用を失う
たとえ上場審査をくぐり抜けられたとしても、上場後に経営が立ち行かなくなるのが容易に想像できるでしょう。
これらのリスクを避けるために反社チェックが大切なのです。
反社チェックを効率的に行いたいなら↓
事例を踏まえてより詳しく反社チェックの重要性を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
2.上場審査で反社チェックを行うべき範囲
上場審査通過や健全な経営のためには、反社会的勢力との関わりがないことを示すことが必要です。
とは言え、反社チェックでどこまで調べればよいのか疑問に思う方もいるでしょう。
上場審査においては、「反社会的勢力との関係が無いことを示す確認書」の提出が求められます。
この書類では大きく分けて以下の3つの範囲をチェックします。
- 役員
- 株主
- 取引先
役員
上場申請をしたい企業の役員が反社会的勢力と関わりがないかを示しましょう。
具体的なチェック項目は以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 最近5年間に経歴(職歴)として関わった全ての会社・団体及び兼職している会社・団体等の名称及び本店所在地
役員本人が反社会的勢力ではないこと、役員が直近5年間に反社会的勢力との関わりがないことが問われます。
役員には、役員に準ずる者や子会社の役員も含まれる点にも注意してください。
株主
上場申請したい企業の株主や投資者もチェックが必要です。
上場を申請する日における上位50名が対象になります。
株主は以下3つに分類され、それぞれチェック項目が異なります。
- 法人株主:名称、本店所在地
- 個人株主:氏名、生年月日、住所
- 投資ファンド:ファンド名、所在地、運営者、大口出資者
分類 | チェック項目 |
法人株主 | 名称、本店所在地 |
個人株主 | 氏名、生年月日、住所 |
投資ファンド | ファンド名、所在地、運営者、大口出資者 |
大口出資者の定義は「株式の5%以上を保有していること」です。
該当する人がいない場合には「該当者なし」と記載すれば問題ありません。
取引先
仕入れや販売で関わる取引先についても忘れずチェックしましょう。
直前の年度における上位10社が対象です。
「反社会的勢力との関係が無いことを示す確認書」に記載すべきなのは、取引先の名称と本拠地の住所です。
3.上場審査でチェックすべき反社会的勢力の定義
ここまで上場審査に必要な反社チェックの範囲と内容を紹介しました。
しかし、そもそも反社会的勢力の定義がズレているとチェックをする意味がなくなってしまいます。
反社会的勢力の定義を確認し、チェック漏れのないようにしていきましょう。
日本政府は「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」で、反社会的勢力を「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義しています。
主に暴力団を指しますが、現代では表向きは企業として活動していることが多く見分けがつきにくいのが特徴です。
法律に反する不当な要求をしてくる企業は反社会的勢力である可能性があります。
反社チェックでしっかりと吟味し、関係を解消できるようにしていきましょう。
4.上場審査前の前に反社チェックを行う方法
反社チェックは以下3ステップで行うと、時間のロスを防いで効率よく進められます。
- ツールで調査する
- 疑わしいものはさらに調査する
- リスクが高いものに対処する
ツールで調査する
まずはツールで調査しましょう。反社会的勢力であるリスクの高い人物や企業を洗い出すのです。
ツールはコストが低く、情報を網羅的に効率よく調査できるのでおすすめです。
自社で調査する方法としては以下3つが挙げられますが、ツールが最も効率がよいからです。
- 現地調査:オフィスの雰囲気や同じビルのテナントなどをチェックする
- ネット調査:反社に関わるキーワードがヒットしないかチェックする
- ツール:疑わしいネット記事がないか一括でチェックする
ツール以外の調査方法は、時間がかかるため人件費がかさむというデメリットがあります。
効率よく行いたいならツールで一括チェックし、気になる要素がある、もしくはリソースに余裕があるのであれば現地調査なども行うという流れがおすすめです。
反社チェックに割ける自社のリソースを考慮して決めてみましょう。
より詳しい調査方法について知りたい場合には、以下の記事もご覧ください。
疑わしいものはさらに調査する
ツールでの調査で疑わしさを感じた場合には、さらに深くチェックしていきましょう。
業界団体がもつデータベースを利用します。
業界団体とは特定業界の企業で構成されており、業界全体の利益を追求する団体です。
たとえば、建設業なら「全国建設業協会」「日本建築士会連合会」などがあります。
そのほか、食品業界や出版・広告業界などさまざまな業界に業界団体が設置されています。
業界団体は業界に反社会的勢力が入り込まないように努力しているのです。
反社会的勢力に関わる情報を蓄積しているため、反社チェックに役立てられます。
自社の調査だけでは情報を集めきれない場合には、業界団体のデータベースから探してみてください。
リスクが高いものに対処する
データベースの調査でも疑わしさが拭えない場合には、外部組織に依頼するようにしましょう。
警察に相談したり、興信所に調査を依頼したりしてください。
専門家にお願いすることでより確信をもった結果が得られるでしょう。
調査を依頼する際には、ツールの分析結果やそのほかの自社での調査結果を提示するのがおすすめです。
疑わしいと感じる要素について詳しく調査してもらいやすくなりますし、スムーズに進みやすくなるからです。
5.ツールを活用して上場審査前に効率よく反社チェックを行おう
反社チェックを自社で行う場合、気になるキーワードをネットで検索して1記事ずつ確認するなど手間がかかるものです。
上場審査は準備すべきことが多いため、手間をかけずにチェックしたい方も多いでしょう。
効率よく反社チェックをしたいならツールの活用がおすすめです。
ツールなら取引先など調査したい対象を一括で登録し、複数ワードの検索を1クリックで行えるからです。
たとえば、『RoboRoboコンプライアンスチェック』は以下のような特徴があります。
- 取引先をExcelから一括登録
- 新聞社の紙面記事とネット記事の両方を一度にチェック
- 調査結果は履歴が残り、情報管理の手間が省ける
ただし、業界団体のように独自のデータベースをもっているわけではありません。
ツールで調査した後、リスクが高いと判断したら業界データベースや警察、興信所などの力を借りるのがおすすめです。
まずは、ツールでコストを抑えて情報を網羅的に精査していきましょう。
引用:『RoboRoboコンプライアンスチェック』
『RoboRoboコンプライアンスチェック』は初期費用無料、調査1件あたり100円からとリーズナブルです。
詳しく知りたい方は以下のページより無料で資料をダウンロードして確認してみてください。
6.上場審査前の反社チェックを行う際の注意点
実際に反社チェックを行う際には以下3点に注意してください。
調査の精度を高め、継続的に反社会的勢力との関係をもたないようにするためにも、事前に確認しておきましょう。
- 社内に周知する
- エビデンスを残す
- 定期的に行う
社内に周知する
社員やパート、アルバイトなどにも反社会的勢力との関わりをもたないように呼びかけていきましょう。
反社会的勢力と関わるリスクを伝えて意識を高めるのです。
実際の業務を進めていくのは従業員です。
実際に取引先とやりとりをする従業員の意識を高めておくことで、迅速に反社会的勢力の存在に気づきやすくなります。
社内に周知すると、反社チェックをしっかりと行なっていることを示せます。
従業員に反社会的勢力である人物や反社会的勢力との関わりがある人物が紛れ込むのを抑止できるでしょう。
エビデンスを残す
反社チェックを行なったらどんな方法で調査したのか、その結果はどうだったのかを記録に残してください。
調査をしていることを外部に示すことで、反社会的勢力の接近を防ぐ効果があるからです。
記録に残すためにも、調査方法などを自社の方針として明らかにする必要があります。
反社チェックの方針については以下の記事をご覧ください。
自社の方針を決める上で参考になる、国や自治体などのガイドラインを紹介しています。
定期的に行う
反社チェックは上場審査前だけでなく、定期的に行うようにしてください。
審査日には問題なくとも、その後に反社会的勢力との関わりをもってしまう可能性があるからです。
上場後に反社会的勢力との関わりがあることが明らかになると、取引を中止されたり上場を取り消されたりすることがあります。
自社の信用を守って経営し続けるためにも、反社チェックは定期的に行いましょう。
たとえば、新たに取引先や従業員を増やす場合には、契約を交わす前に反社チェックを行うと安心です。
7.上場審査は反社チェックだけでなく体制も問われる
ここまで上場審査に向けた反社チェックの方法を紹介しました。
反社チェックをすることで反社会的勢力とのつながりがないことを証明できます。
健全な経営が可能であると示すことで上場審査を通過できるのです。
しかし、上場審査では「継続的に反社会的勢力との関わりを避けうる経営体制があるか」も審査基準になります。
現時点で反社会的勢力との関わりがないことを示すだけでなく「これから先も反社会的勢力との関わりをもたない」という姿勢を示す必要があるのです。
反社会的勢力と関わりをもたないようにするための対策としては、主に以下2つが挙げられます。
- 条項
- 公式サイト
条項
従業員との雇用契約や取引先との契約をする際には、反社会的勢力との関わりをもたないことを条項に盛り込みましょう。
「契約者自身が反社会的勢力ではないこと」「反社会的勢力との関わりがないこと」を確約させるのです。
条項を定めておくことで反社会的勢力排除への意欲が高いことを示せますし、反社会的勢力が近づきにくい環境を整えることにもつながります。
また、実際に取引をしてしまった際にも契約を取り消し、関係を解消できるのも大きなメリットです。
反社会的勢力の排除条項については以下の記事も参考にしてください。
公式サイト
自社の公式サイトで反社会的勢力との関わりをもたないことを宣言するのも重要です。
インターネットが普及した現代では、公式サイトは看板やCMなどと同じように自社イメージを大きく左右します。
公式サイトにて反社会的勢力との関わりをもたないと宣言することで、よい自社イメージを保てます。
また、反社会的勢力に対する抑止力にもなるでしょう。
8.まとめ
上場審査では反社会的勢力との関わりがなく、信用できる企業であることを示すことが大切です。
反社チェックを行なって関わりがないことを証明し、同時に反社会的勢力が近づきにくい状態をつくっていきましょう。
反社チェックを効率化したい場合にはツールの活用がおすすめです。
ツールの使用には料金がかかりますが、ツールを使ってチェック時間を短縮すれば人件費を削減できるため予算の確保は難しくないでしょう。
「チェック作業が通常業務を圧迫している」「チェックの属人化を防ぎたい」という場合には、ツールの導入を前向きに検討してみましょう。
なお、チェックの結果、相手が反社会的勢力だった場合の対応方法については以下の記事をご覧ください。